- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004312994
作品紹介・あらすじ
多くの教科書にその作品が採用されている魯迅は、日本で最も親しまれてきた外国の作家の一人である。その生涯を東アジアの都市遍歴という視点でたどった評伝。ハリウッド映画を楽しむ近代的都市生活者として魯迅を描きだしながら、その作品が東アジア共通のモダンクラシックとして受容されてきたことを明らかにする。
感想・レビュー・書評
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/705901 -
魯迅の生涯を語りつつ、魯迅が東アジア各国でどのように読まれ
また中国においては死後どのように利用され、
現在人々に意識されているのかを描く一冊。
読みやすく分かりやすいが、村上春樹に関する記述は
やや過大な印象を受けた。 -
本書の後半は、中国、日本、韓国での魯迅受容について紹介されており、それがやはり貴重で、面白かった。
中国では魯迅は革命の精神を体現する作家として神格化されている。
これは個人的には既に聞いたことがあること。
「故郷」は、「こんなに人民を考えてくれた作家がいたとは」と、感動的な作品として読まれている、と。
本書から知ったのは、そういう中国では、特に若い女性の魯迅離れが進んでいるということ。
思想教育的な要素が敬遠されているとの由。
中国の表の顔と裏の顔を見た気分である。
現在では「個性的読み」の試みが始まっているという話も紹介されていて、今後、中国でのスタンダードな読みはどう変わっていくか、興味が惹かれる。
また、韓国も魯迅の評価が高い国とあった。本書では概略的な紹介だけだったが、このことについてはもっと詳しく知りたい。
また、個人的には魯迅暗殺説(日本人医師に暗殺されたと遺族が書いている!)にショックを受けた。 -
藤井省三が、岩波から魯迅の本を出したとは知りませんでした。
フランツ・ファノンと魯迅のポートレートが貼ってあったのは、高校生の頃の私の部屋です。
どんな新たな魯迅の顔をのぞかせてくれるのか、すごく楽しみです。 -
前半は魯迅の評伝。
後半は東アジアの魯迅受容や教科書にも採用された竹内好訳の問題点について、具体例を挙げつつ指摘する。
魯迅の描いた「阿Q」が、国境を越えて受け継がれているという指摘によって、魯迅の偉大さを改めて認識した。 -
魯迅とはこんなにも影響力を持った人だったのか。これはもっと勉強しないといけないな、と痛感させられた。
著者の竹内好批判も新鮮だった。となると、中国語の読めない私はどの訳本を読めばいいのだろうか。
あと、村上春樹への魯迅の影響も初めて知る。「風の歌を聴け」をもう一度読まないといけないぞ。
なんか、やること一杯にしてくれた一冊だった。いやぁ、面白かった。 -
正直に言ってしまうと、著者訳の光文社古典新訳文庫の訳者あとがきをもう一度読んでいるような気がしてしまいました。
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魯迅に対する肉づけがされた。魯迅の作品も読んでみよう・・・。