- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004313151
作品紹介・あらすじ
福島第一原発事故により、原発の安全神話は完全に崩れ去った。私たちには原発から脱却する以外に道はない。そしてそれは可能なのだ。これまでも原発の危険性に警鐘を鳴らしてきた一四名が、事故を徹底的に検証し、原発の問題性を多角的に考察。原発を終わらせるための現実的かつ具体的な道を提案する。
感想・レビュー・書評
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原子力発電の仕組み、限界。普及のからくり。福島第一原発事故で何が問題だったか。今後の道筋。14人の著者の論考が並びます。断片的には理解していたつもりですが、これだけまとまっていると腹にずっしりときます。ほとんどの著者が冷静かつ真摯で、説得力をもって迫ってきます。彼らはたぶん、ずっと反原発運動をしてきた一方で、今回の事態に責任を感じている。そこがイエロージャーナリズムと違う。もちろん、責任は僕にもある。それを痛感させてくれました。読む価値のある一冊と思います。
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3.11後、福島第一原発の事故を受けて書かれた本のひとつ。
さまざまな視点から書かれていて、課題を浮き彫りにしようという筆者の方々の意気込みというか熱い思いが伝わってくる。
が、今、読むと、これだけの悲惨かつ重大な事故が起こったのだから、当然ながら、原発からは撤退せざるを得ないだろう、そのためにどうするか、どんなふうに進んでいくべきか、などを立脚点として語られていて、13年後の現在とのギャップに驚く。
そう、事故直後は、当然のように、もうこれ以上、原子力発電が続けられるわけがない、それは国民の総意である、と誰もが思っていた、はず。
しかし、そうはならなかった。ほんの10年ほどで、この時の思いや学びは、どこかへいってしまった。そのことを、あらためて考えてしまう。
脱原発へ、大きく振り切れるとみられた方向性は、振り子のように、一度、大きく振れたものが、徐々に角度を戻し、今は反対側に振れている。
この振り子を、今一度、事故に振り戻して考えてみなければならない。 -
▼福島大学附属図書館の貸出状況
https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90235539
(推薦者:経済経営学類 沼田 大輔先生) -
福島第一原発事故(原発で何が起きたのか◆事故はいつまで続くのか◆福島原発避難民を訪ねて)
原発の何が問題か―科学・技術的側面から(原発は不完全な技術◆原発は先の見えない技術◆原発事故の災害規模◆地震列島の原発)
原発の何が問題か―社会的側面から(原子力安全規制を麻痺させた安全神話◆原発依存の地域社会◆原子力発電と兵器転用―増え続けるプルトニウムのゆくえ)
原発をどう終わらせるか(エネルギーシフトの戦略―原子力でもなく、火力でもなく◆原発立地自治体の自立と再生◆経済・産業構造をどう変えるか◆原発のない新しい時代に踏みだそう)
編著者:石橋克彦、1944神奈川県生、地球科学者、東京大学理学部地球物理学科→同大学院理学系研究科、神戸大学名誉教授 [続きを読む]
著者:田中三彦、1943栃木県生、科学評論家、東京工業大学工学部生産機械工学科卒
著者:後藤政志、1949-、技術者、広島大学船舶工学科卒
著者:鎌田遵、1972-、大学非常勤講師
著者:上澤千尋、1966-、原子力資料情報室
著者:井野博満、1938-、金属工学者、東京大学名誉教授
著者:今中哲二、1950広島県出身、原子力工学者、大阪大学工学部原子力工学科→東京工業大学大学院理工学研究科、京都大学原子炉実験所助教
著者:吉岡斉、1953富山県生、科学史家、東京大学理学部物理学科→同大学院理学研究科、九州大学教授
著者:伊藤久雄、1947-、㈳東京自治研究センター研究員
著者:田窪雅文、1951-、ウェブサイト「核情報」主宰者
著者:飯田哲也、1959-、環境エネルギー研究所長
著者:清水修二、1948東京都出身、経済学者、京都大学文学部史学科→同大学経済学部経済学研究科、福島大学経済経営学類教授
著者:諸富徹、1968大阪府生、経済学者、同志社大学経済学部→マインツ大学→京都大学大学院経済学研究科経済政策専攻、京都大学教授
著者:山口幸夫、1937-、物理学者、原子力資料情報室共同代表・法政大学教授 -
カテゴリ:図書館企画展示
2016年度第9回図書館企画展示
「災害を識る」
展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。
開催期間:2017年3月1日(水) ~ 2017年4月15日(金)
開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース -
『「反原発」の不都合な真実』(藤沢数希著)と並べて読んだ。こちらは、福島原発に思い切り寄った接写。対する藤沢本は思い切り引いたロングショット。感情はこちら、理屈は藤沢本に裂かれる。難しい。
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10年後までに原発をなくしながら、節電発電所で20%、自然エネルギーで30%を賄う。2050年までには化石燃料も全廃し、全廃発電所で50%、自然エネルギーで50%を目指してはどうか。
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タイトルで損をしているのでは。
原発の論点を、多角的に整理、概観していて、是非のポジショントークとならない議論の端緒となりうる。 -
この本は原発の危険性に警鐘を鳴らしてきた一四名が、事故を徹底的に検証し、原発の問題性を多角的に考察したものでございます。脱原発か?それとも推進か?今に至るまでにそんな議論があること自体にも驚きます…。
この記事を書く前に新聞を読んでいると、原発推進派の学者と脱原発を標榜する学者が公開討論をするという記事があったことを知って、改めてその『意義』について考え込んでしまいました。
この本は地震学者の石橋克彦教授をはじめとする十四人の著名人がそれぞれ、原発事故というものを徹底的に検証し、今後の具体策を提案したものです。しかし、この本は新書ながらかなり内容が専門的で、あまりオススメできるか?といったら疑問符が残りました。
僕はほとんどテレビを見ないので、ここに記されていることがどれだけ報道されているのかがまったくわかりません。ただ、この本を読んでいて深刻だなぁと思ったことは『国策』の名の下に建てられた原発は基本的に過疎地に建設されているということで、原発が町の雇用や産業を支えてきたということで、『原発がなくなると困る』という声があるということでした。その辺はやっぱり『うまいなぁ』ということを思わずにはいられなかったことをここに付け加えておきます。
仮に今止めたとしても廃炉までには何十年と時間がかかる。今回の事故で漏れた放射能はとてつもない年月、大地を汚染し続ける。重い命題をつきうけられますが、本格的にこの問題を突き詰めて考えたいかた向けの本で、万人ウケはあまりしないものでないかというのが、現在の読後感です。