原発のコスト――エネルギー転換への視点 (岩波新書)

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著者 : 大島堅一
  • 岩波書店 (2011年12月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313427

原発のコスト――エネルギー転換への視点 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 原発コストが他の発電方法に比べ圧倒的に高いという主張の内容。

    原発については事故後対応や使用済核燃料処理などの社会コストを含んでいるにもかかわらず、代替の化石燃料発電のCO2対策などには何も言及されていないのが気になった。

    この本に限らず現在出版されている本のほとんどが脱原発推進だが、あの事故以降なお原発推進を唱える方々の主張をまとめた書籍も読んでみたい。
    そのうえでこの問題に対して一定の理解を示したいと思う。

  • 原発は決して安価な電源でなく、さらにはエネルギー収支もプラスにならない(建設、燃料製造、再処理、廃炉、廃棄物管理に投入するエネルギーの方が生み出すエネルギーより大きい)という内容の本を読んだのはもう30年ほど前であろうか。福島の事故でこういう真実がより多くの市民に知られるようになったのは不幸中の幸いである。
    ただ書名に『原発のコスト』とあるのに、それについて分析したのは3章だけで、あとは反原発の総論的な内容に終始している。原発コストの大半を占めると思われる事故リスクや廃棄物処分のコスト試算も詰めが甘い。また総括原価方式を採用しているが故に、固定資産額の大きな原発の保有は電力会社の経営に有利であったことにも触れられていない。これでは30年前の本(残念ながら書名を失念してしまった)より内容に乏しく、福島の極めて大きな代償が無駄になっている。経済学者としてもっと踏み込んだ分析を期待したい。

  • 2011年刊。著者は立命館大学国際関係学部教授。◆類書も多い中、岩波新書らしい丁寧・詳細な叙述。現在の電力供給量の7割(=原発の完全停止時の予想電力供給量)は1986年頃のそれ(バブル少し前)。ならば、それほど達成困難ではなさげに思える。ただ、本書の方法論をいかに政策マターに落とし込むか。政治家・官僚を味方につける方法論が問われるだろうが、遅々として実効性を持ちえない天下り禁止、巨大広告主たる電力会社(ひと頃のサラ金の様)、労組も経営側も電力会社側として政治家に影響を及ぼしうる点等、絶望的にも思える。
    今回のフクシマにて、東京電力に税金が投入されるのであれば、経営者の責任は当然追及されるべきである。かつて破綻金融機関に税金投入された場合には、当該金融機関の経営陣に対しては責任を追及するということが行われてきた。これに比べ、東電経営陣の民事・刑事の法的責任が追及されないのであれば、余りにも国民を馬鹿にしていないか。

  • さすが大島先生。
    原発のコストを単純化して

    原発運営コスト+政策的投資(電源開発立地交付金)+バックエンド処理
    などを詳細に検討して、原発の発電費用が決してやすいものでないことを論じている。

    これにくわえ、シビアアクシデントが生じたときにこれ以上のコストがかかる。

    やはり節電を進めつつ、自然エネルギーを活用して縮原発へと進めていくしかないんだろうなぁ。

  • 小浜に大島先生が来てくれて、お話しを聞いてから 説得力を感じています。鯖江市出身の人なので、福井県のこともわかってくれている。わからないことはわからないと言うところが 普通の大学の先生らしくなく 私はいいと思います

  • 読了。

  • 名著「自動車の社会的費用」の原発版。
    事故時の賠償費用が巨額になることはもう実証されているが、平常時であっても実は高コストであることを、経産省資料などを基にわかりやすく説明している。特に、未着工時から自治体にばら撒く巨額の交付金など、原発のコストを丁寧に計算している第3章が面白い。
    本書を読むと、原発建て替え検討を認めた有識者会合は、何じゃそりゃ、って感じですね。まあ、経産省は2015年に原発のコストを見直すそうだから、どんなものが出て来るか見ものです。
    なお、筆者の主張が強すぎるのが玉に瑕。

  • 原子力発電の本当の費用について計算している。原発については火力発電より安いというのが3.11以前に巷間での共通認識で合ったようだが、実際には電源交付金などのコスト(外部不経済性のあるものではないので、コストとして認識しづらいが)を考慮に入れておらず、このコストを考慮したならば他の発電方式より割高になるということである。また、本書では核燃料サイクル方式についても言及しており、コストについては事業者サイドで集計されているが、過小評価であるという。こう見てくると何のために原子力発電を推進しているのかさっぱりわからなくなってくる。

  • 大仏次郎賞を取った著作ということで、書店にもたくさん平積みになっていた。それで手を出した。広井良典氏の著書でもそうだったのだけれど、賞をとっているからと言って、自分にとってすごく良い内容というわけではない。かなり前に高木仁三郎先生の著書で、原発についての問題点や利害関係は読んでいたし、20年以上前から、環境問題をあつかう授業では一貫して原発は即刻止めるべきだとうったえてきた。と言いつつ、「きっづ光の科学館」に子どもを連れて行って楽しんだりしていたので、自分なりに矛盾は感じていた。そして今回の福島の事故で、いよいよ皆気付くだろうと思っていたのだが、選挙ではあのあり様。本書の著者もがっくりと肩を落としたことだろう。結局は自分の利益のことしか考えない人が多すぎるのだろうか。とにかく原発は人間があつかえる技術ではない。コストもかかりすぎる。一部の人間にとっては利益であっても、全体にとってはマイナスでしかない。もっと他の発電方法に時間とお金と人をかけるべきだ。

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原発のコスト――エネルギー転換への視点 (岩波新書)の作品紹介

他と比べて安いと言われてきた原発の発電コスト。立地対策費や使用済燃料の処分費用などを含めた本当のコストはいくらになるのか。福島第一原発事故の莫大な損害賠償を考えると、原発が経済的に成り立たないのはもはや明らかではないか。再生可能エネルギーを普及させ、脱原発を進めることの合理性をコスト論の視点から説得的に訴える。

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