勝てないアメリカ――「対テロ戦争」の日常 (岩波新書)

  • 82人登録
  • 3.86評価
    • (5)
    • (10)
    • (6)
    • (1)
    • (0)
  • 20レビュー
著者 : 大治朋子
  • 岩波書店 (2012年9月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313847

勝てないアメリカ――「対テロ戦争」の日常 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 長期戦に持ち込めば持ち込むほど、「持てるもの」は費用や兵力がかさみ、反戦世論が高まる。これに対して小規模な戦略で臨む「持たざる者」は失うものも比較的少ないので時間が味方すると言う。タリバンなど反政府勢力は、そのことを十分に解し、最大限に使うつもりのようだ。119-120p

    会合に居合わせたアフガニスタン国軍の拒んだり大39歳がつぶやいた「この国は戦争続きだ。人々は国家の未来より、まず自分の未来を考える」。…政府も警察も長らく存在しなかった地域の村村に、突然、政治だ選挙だと言って急ごしらえの「中央政府」を作っても、それがどれほど人々の信頼を集めるだろうか。138p

    一般に、アフガニスタンで1人の青年に戦闘を教え、武器と給与を与えた場合の1ヵ月の費用は200から500ドル(16,000円から40,000円)。アフガニスタン駐留の米兵が、1ヵ月に消費する食品にも満たないほどだ。…IETは民家の台所で作ることができるほど簡単な作りで、安いものでは1個10ドル程度で製造できる148p

    兵士の戦士と言う犠牲があるからこそ、米国はこれまで国民も政治家も、戦争には慎重になってきました。多数が死傷すれば、派遣に賛成した議員は選挙で負けるからです。けれどもパキスタンでの空爆は(米兵が死なないので)米議会で審議されず、戦争と言う認識さえ持たれていません。これは無人機戦争の拡大が生み出した民主主義社会の破壊です210p

    オバマ政権は、地上部隊によるCOINが充分進まず、人心をつかめていない中、空爆戦略を中心とするCTを同時並行で進め「成果」を見せようと急いだ。…だが正確な情報がないままの空爆は誤爆を生み、そのことで反米感情はさらに高まり、地上での「人心をつかむ競争」をさらに不利にした。これこそがまさに、オバマ政権の陥った悪循環のスパイラルだ。223-4p

  • MRAPや軍病院などゲーツさんの自伝で見た懐かしい単語が出てきた。現場でのあるいは帰国してからの米兵の苦しみが生々しい。外傷性脳挫傷TBIは初めて知った。実際に対テロ戦争の現場を取材してIED攻撃を体験しており、その話も面白い。

  • ゼミ同期の毎日新聞大治記者の渾身の作品。
    アメリカはもちろんのこと、戦地であるアフガニスタン、隣国のパキスタンまで足を運び非対称戦争の持つ意味や今後予想される未来まで、事実に裏打ちされた確かな文章で読む者を感心させた。

  • 毎日新聞女性記者が米軍に随伴し取材したレポート。
    対テロ戦争のリアルが淡々と語られている。

  • 読了。

  • 時間切れ タイムリーだった ISとのこれまでのこと少しわかります アメリカに巻き込まれるのはごめんです

  • 本当に文章がうまい人は擬音語をほとんど使わないんだなあと思った。

  • 2階岩波新書コーナー : 392.53/OJI : 3410154877

  • テロとの戦いと称してアメリカはアフガンに軍隊を派遣している。
    戦地から戻ってきた兵士たちの多くがTBIという見えない疾病に悩まされているという。外傷性脳損傷。記憶障害や光に過敏に反応する、イライラなどの症状が出るとのことだ。そして、このTBIの原因と考えられているのが、IEDだという。即席爆破装置のことで10ドル程度で作れる安価な小型爆弾であり、圧倒的な軍事力を持つ米軍に対して絶大な効果をあげているらしい。タリバンらはこの安価な爆弾をあちこちに仕掛けて米兵を苦しめている。昔であれば、爆破で死亡するところが、ヘルメットや防護服の進歩により死ななくなったが、目に見えない障害を受けているという。それがTBI。
    このようなゲリラ戦を称して非対称戦争というようだ。軍隊と軍隊の正面からの戦争ではなく、軍隊と非軍隊の戦争、ということか。正規の軍隊とゲリラの戦いは、泥沼化しIEDのような弱者によるカウンターが強者が「勝てない」状況を作っている。
    最近は、無人兵器などを投入されるようになったが、それでもやはり非対称戦争は終わることがない。
    本書は、それだからどうだとかどうすべきという提言はしていない。簡単に答えがわかるならとっくに米軍もやっているのだ。
    著者は従軍取材をしていて、兵士の生の声も伝えてくれている。右傾化し国防軍がなんだといってる日本において、こうした戦争の実際のようなものを多く吸収する必要があると思った。

  • 米軍はあれだけベトナム戦争で苦労したのに2007年になる直前まで不正規戦、戦闘員と非戦闘員との区別がつかないような戦いを行うマニュアルもなかったそうだ。しかし、地元の役に立ち、住民の支持を受けながら戦いを終わらせると言うが、頼んでもないのにテロ撲滅という題目でやってきて戦争を始めて勝つことなど、どう考えてもできそうにないものだが。

全20件中 1 - 10件を表示

大治朋子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印

勝てないアメリカ――「対テロ戦争」の日常 (岩波新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

勝てないアメリカ――「対テロ戦争」の日常 (岩波新書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

勝てないアメリカ――「対テロ戦争」の日常 (岩波新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする