辞書の仕事 (岩波新書)

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著者 : 増井元
  • 岩波書店 (2013年10月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314523

辞書の仕事 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 長年「広辞苑」「岩波国語辞典」などの辞書作りに関わってきた元編集者による一冊。派手さはないけれど、辞書にまつわる話のあれこれが面白く、辞書や言葉が好きな人には楽しいと思う。

    最初の方で出てくる、辞書を使った「たほいや」っていうゲーム、結構愛好者がいるそうだが、いやあ寡聞にして知りませんでした。辞書に載ってはいるがほとんど誰も知らない言葉を親が出題して、子は各自その解説をいかにもそれらしくでっち上げ、それらと正解を一緒に提示して、これぞと思うものに投票する、というもの。公式ルールもあるらしい。とても面白そうで、やってみたーい!と思うのだが、著者も書いているとおり「センスがあってヒマもある」人が五、六人は必要で、うーん、これは無理だよ。第一、ちょっと自分でやってみようとしたらわかるけど、辞書の解説らしく書くってほんとに難しい!なんとハイブロウなゲームであることよ。

    ちょっとした衝撃だったのは、著者が勧める辞書の備え方。出番を多くするために「置き場所を居間に、できれば手の届くところに」 うんうん、これは当然で、私もそうしてますよ。「函やカバーははずして」 え?ボロボロになったのをしつこく補修してどっちも後生大事に付けてるんだけど…。「できるなら手近なところで開いた状態で寝かせておく」 えーっ?まさか!傷むでしょ!「かざっておくものではありませんから、大事に保護しておくよりは、開くまでに手がかからないことを優先されるようお勧めします」 うーん、そうですか…。

    辞書作り一筋の著者が、電子辞書の膨大な容量を使って遊んでみたいこととして書かれていたことの一つが、「岩波国語」や「広辞苑」で、同一の項目について初版から現行の版に至るまですべての解説を収録したものがほしい、ということ。これはまったく同感だ。一つの言葉をめぐって、辞書執筆者、編集者が様々に頭をひねってきた経過を見て、あれこれ考えるのは想像するだけでも楽しい。どこかやってくれないかな。

    他社の辞書について論評したくだりもあるのだが、基本的に辞書編集者というのは、自社の他部署の編集者よりも、他社の辞書関係の人との方が共感し合えるものだそうで、その仕事ぶりへの敬意が伝わってくる内容だ。ところがその中で、人気の「新明解」についてだけは、控えめではあるけれどちょっと辛口なのが面白かった。

    次のようなところに、著者の辞書を愛するこころがよく出ていて、共感する。

    「いま『教養』ということばははやりませんが、直ちに必要ではないかも知れないがあることについて知っている、という豊かさ・贅沢さを味わわせてくれる紙の辞書は、なかなかのすぐれものだ、と私は高く買っているのです」

    広辞苑を読み込んだ川柳は数少ないそうだが(そりゃそうか)、著者が「ひそかに愛する」という一句が紹介されている。

    人の世や 嗚呼にはじまる 広辞苑     橘髙薫風







    私の手元にある一番古い広辞苑は、昭和五十三年発行の第二版補訂版。広辞苑に絶対の信頼をおいていた父が、大学の入学に際して買ってくれた。以来、辞書を引くと言えばまず広辞苑。現在の第六版に至るまで、改訂されれば買い、職場用に買い、子どもの進学時に買い、いったい何冊買ってきたことか。

    今もすぐそばにあって、考えてみれば、ずいぶん頼りにしてきたものだ。今やずいぶん老いた父をしみじみ思ったりする。これでちゃんとお礼を言ったりすれば「いい話」なのだろうが、これがなかなか難しいのよ。まあ、広辞苑がピカピカの新品のまま、本棚の重鎮としてまさに「不動」の位置を占めている我が子たちに比べれば、立派な親孝行じゃない?と勝手に思っている。

  • 個人的には、非常に気に入りました。
    「舟を編む」にはないよさです。
    実際に辞書を作り上げている人の話は、地に足がついた感じがして、非常に好感が持てました。
    読後感が非常に良い一冊。
    辞書読みの人の中では、すでに知られた作品でしょう。

  •  この本を読んで、辞書を引いたり、書き写したりするのが好きだった子ども時代を思い出した。言葉の選定から意味、用例の書き方、紙の質に関することまで、細かい色々なことがエッセイ風に書かれてあるので非常に読みやすかった。溺れそうなほどにたくさんある言葉を言葉で説明するって難しいなぁ…と果てしない気持ちになると同時に、これからも辞書を引く習慣をなくしたくないと思う。

  • 「辞書を編む」(光文社新書)が非常に面白かったので読みましたが、内容は少し違います。「辞書を編む」が執筆者の立場から言葉について書かれているのに対し、こちらは編集者の立場で辞書について書かれています。自分はどちらかと言えば言葉についてしりたいので、この本の前半部分、辞書についての細かい話は正直退屈でした。ただ後半、他社の辞書の特徴について書かれた部分は面白かったです。
    辞書を読むほど好きって方には全編楽しいのではないでしょうか。

  • 広辞苑を中心にした辞書作りの話だが、多くの話題が満載だ.その中でも"「目が点になる」はいつから使われた"や"顰蹙は「買う」もの"が面白かった.辞書を引くことは苦ではないが、知らない言葉が多い!

  • 広辞苑などを担当した辞書編集者のエッセイ。言葉って生き物だなと考えさせられるエピソードが多数。仕事のスパンが長い辞書編集。〝完成品〟を見ずに異動などで部署を離れる場合も少なくないらしい。『舟を編む』は希少な例か。(途中で異動になる人も描かれているけど)

  • 「広辞苑」「岩波国語辞典」の編者が語る辞書作成蘊蓄。光文社新書の「辞書を編む」が編纂業務中心に描かれているのに比べると辞書製作全般に渡っている。新明解にはやや否定的。

  • いろいろな辞書について書かれているのを読むと、欲しくなってしまって困る。

  • 言葉が好きな人なんだなと思う。辞書を作るのにこんなに苦労があるなんて思いもしなかった。

  • 「たほいや」…懐かしい!

    第4章の「辞書の文体」「不適切な用例」は
    考えることが多い。
    「日本語」に対して
    「日本語と接すること」に対して
    また少し新たな気持ちをもてるようになった。

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いま、辞書に注がれる視線が熱い。数多あることばから何を項目として選び、どこまで簡潔な一言で説明するか。どんな用例を載せるのか。地道な作業ながら、そこにはことばに対する深い理解と"ドラマ"がある。辞書づくりにかかわるあれこれのエピソードを、『広辞苑』『岩波国語辞典』などその道三〇年の元編集者が楽しく語る。

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