医学的根拠とは何か (岩波新書)

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著者 : 津田敏秀
  • 岩波書店 (2013年11月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314585

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医学的根拠とは何か (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • 医学的根拠つまりエビデンスには三つあり、それぞれ直感、メカニズム、数量化に分かれる。大学の経営や高等教育研究にも通じる記載が多くとても参考になった。大学のIRは疫学から学ぶことが多いかもしれない。

  • 日本において統計学的分析が広がらない現状を警鐘を鳴らす。

  • 疫学/EBM(エビデンスベースト医療)の入門書。入門書ではあるけれど、口が悪いw 「辛口批評」というよりは怨念。とはいえ、津田氏の他の本に比べれば怨念の顕在度は小さいので、さすが岩波新書だなと思ったw

  • 歴史的には医学的根拠は3つ存在する。個人的経験を重視する直感派、生物学的研究結果を重視するメカニズム派、疫学を重視する数量化派。国際的には、数量化が直感やメカニズムよりも優先すべき科学的根拠と合意されている。日本ではまだこの優先順位についての合意がない。そのために被害が拡大した水俣病、O157、SIDS、PM2.5、タバコとがんもしかり。そして福島。実態は日本では疫学を知らず、メカニズム信者の医師が多数を占めているからという事実。

  • 痛快な本。一気に読み切った。これまでの、そして現在も続いている医学研究や教育についての問題点を痛快に書かれている。ここまで書いていいのだろうかと実名で色々な研究者を批判もしている。数量化の著者による直感派やメカニズム派への批判であるが、数量化が現在の科学的根拠となっている。水俣病や放射線の問題も直感派やメカニズム派の意見のために間違った結論しかでていないと手厳しい。EBMもこのように説明されると理解しやすいが、素人のような読後感となってしまった。

  • 日本の医学界の閉鎖性をエビデンスを軸に追及しているのだが、これだけ国際的な学術交流というものが盛んでありながらそこまでガラパゴスになれるものかという疑問も拭えない。

  • ◆日本の「医学的根拠」は大きく立ち遅れている。世界的には、統計学的なデータの比較や検討によって病因を確率的に判断する疫学的手法(統計学的ともいえる)が追究されてきたのに対して、日本では経験的・感覚的に判断する「直感派」や、あくまで細菌などのごく細かな因子(要因)にこだわる「メカニズム派」がほとんどを占めているという。

    ◆しかし「直感派」と「メカニズム派」の彼らは、自身の知見を一般化する言葉を知らない。このことは、福島原発事故による放射能の人体への影響や、水俣病認定問題などで大きく誤った「医学的根拠」を生み出した。また、「メカニズム派」は、細菌などの狭いレベルで原因となる要因(因子)を全て特定することこそが医学的根拠であると考える。彼らは食中毒問題(O157や雪印)に対して原因となる細菌と食材を結びつけようとするが、細菌・食材と発症の因果関係には目を向けない (1:後述)。

    ◆彼らは「数量化派」に対し「疫学的な手法は、一般的な傾向を示すだけであって、それぞれの個体に当てはまるとは限らない」などというが、著者は「個々の違いがあるからこそ、(中略)その経験を一般的な判断に用いる (p. 79)」ための手法として、疫学があるのだと強調する。

    ◆著者は、こんにちの日本でもみられるこうした言説を「19世紀のフランスの議論」としたうえで、その問題は実験を重んずる日本の医学界全体にあるとする。そのうえで「数量化派」の役割を強調し、「直感派」や「メカニズム派」の知見を一般的な法則(科学の言葉ともいえると思う)に帰する方法として疫学があるのだと主張する。◆冗談交じりとはいえ、「お前殺されるぞ」と忠告されたという本書の主張はとても力強い。そして一貫しており、わかりやすい。ずさんな「医学的根拠」に関心のある方や、これから統計学を学ぶ人におすすめしたい。


    * メモ *

    (1) O157事件に対処したメカニズム派の細菌学者や行政は、食品衛生法に定められている悉皆調査(ここでは”発症しなかった人”も含める学校生徒・職員全員への調査のこと)さえおこなわず、「入院患者の喫食情報」ばかりを集め、「食べた食材と発症との因果関係を調べる肝心のデータを集め分析しようともしなかった (p. 104)」。

    ◆PM2.5

    1988年 : 健康影響に関する”調査研究を推進”
    1993年 : ”調査手法について調査検討”した。疫学的調査、評価手法の検討などについて”さらに検討する”
    1997年 : アメリカ環境保護局、新しい大気汚染基準にPM2.5(それまでは総粒子物質TPM)

    「ヨーロッパでは、2000年代に入ったころにはおもな都市が年ごとに"大気汚染による人体影響の程度"を測定して発表していたのに対し、日本では"大気汚染の程度"を発表するだけで、大気汚染による人体影響の測定にはほとんど手が出ていない状況が今も続いている (p. 10)」

    ◆カネミ油症
    「食中毒事件・カネミ油症事件では、1968年の最初の報道の数日後に原因食品の名が付いた研究班(油症研究班)を九州大学が”原因究明”を掲げて結成したが、肝心の原因食品の回収命令は出されなかった (p. 142)。」

  • 日本でいまだに続いている医学的根拠の混乱について、疫学者の立場からするどく問題提起している。
    自分の中にも、直感的判断、メカニズム重視の思考、統計学的根拠それぞれが混在しているのを思い知らされる。
    「真実とは何か」に一歩近づくことができる。

  • 疫学の入門として読みやすいんではないかな。

    疫学史や、日本へ近代医学が導入された歴史を ①直感派、②メカニズム派、③数量化派のキーワードを用いながら概観して最近(2014現在)の医学研究に絡む時事問題まで至り、そこから日本の医学部教育の問題点(非科学性)を明らかにしていく。

  • 知人に統計の勉強をしたいと言ったら、貸してくれた本。気軽に読める本ではないけれど、目次を見ると、理解しておきたいとても重要な内容であると思われる。早く読みたい。

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医学的根拠とは何か (岩波新書)の作品紹介

日本では医学的根拠の混乱が続いている。そのため多くの公害事件や薬害事件などで被害が拡大した。混乱の元は、医師としての個人的な経験を重視する直感派医師と、生物学的研究を重視するメカニズム派医師である。臨床データの統計学的分析(疫学)という世界的に確立した方法が、なぜ日本では広まらないのか。医学専門家のあり方を問う。

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