イギリス史10講 (岩波新書)

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著者 : 近藤和彦
  • 岩波書店 (2013年12月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314646

イギリス史10講 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • イギリス史はカオスであることを痛感。ステイツマンという言葉に日本の政治家にはない矜恃のようなものを感じた。日本との関係よりも世界史の中でのイギリスの役割を学んでみたくなった。サッチャーの仕事も。

    ・SIRは平民の最上位。貴族を意味するLORDではない。イギリス近世の政治社会を支えたのは、ジェントルマン。
    ・産業革命は、年来の貿易赤字の解決であり、科学革命、啓蒙、消費社会の所産、すなわち舶来品に代替する模倣商品の勝利。社会哲学の議題への政治経済的な解答。
    ・すでに同性愛は1861年に死罪ではなくなっていた。

  • イギリス史の大家による新書。イギリス史の始まりから現代までを非常にコンパクトに、興味深くまとめられている。コンパクトではあるが、全体を貫く緊張感は知的な心地よさを感じる名著である。

    10講とあるので、教科書的な叙述を想起させるのだが、内容はまったく教科書的ではなく、むしろ逆に教科書で書かれているような内容を最新の歴史学、イギリス史研究の成果をもって覆しつつ、それでいて小難しくないところが良い。

    たとえば、中世末。「長い16世紀」を迎える直前の、第1次百年戦争の叙述。本当の争点は、クラレット、「すなわち鮮明な赤ワインこそ、百年戦争の第三の、いや本当の争点だったかもしれない。」(63ページ)。そして、「一七八六年、英仏は通商条約を結び、これによりイギリスは赤ワイン(クラレット)を安価に入手し、工業製品の販路をフランス国内に確保した。[中略]英仏の経済は、一つの条約だけで運命を分けたわけではないが、八〇年代に両国は決定的に分岐する。」(184ページ)。ほかの箇所でも、赤ワインについて繰りかえし叙述されているが「それだけ重要だからである」(あとがき)。

    「グローバル化」も全体を貫くライトモチーフである。最初のグローバル化は「長い16世紀」の時代。そして革命の17世紀を経て、「産業革命」の18世紀が第2のグローバル化。現代の我々が迎えているのが第3のグローバル化であり、いずれにおいてもイギリスは最重要なアクターであり、結節点であった。1688年の「名誉革命」も、「ホウィグ史観が礼讃した輝かしい「無血革命」とはイングランド国内だけの話で、ブリテン諸島でもヨーロッパでも、これは有血革命であり、戦争であった。」(145ページ)

    第6講「財政軍事国家と啓蒙」・第7講「産業革命と近代世界」は経済史的な長期変動、思想史的な「啓蒙、商業社会、モラル[社会]哲学」の展開が重要なテーマであり、かつそれとの関係で第2のグローバル化と日本との関係も語られる(193〜197ページ)。

    そのほかにも本書の読みどころは多々あるが、近現代に入ると同時代を舞台に作られた映画や文学作品の引用が多くなる。イギリス史の俯瞰図をもって、そうした諸作品を見返したりすることも楽しそうだ。「小冊であるが、手間ヒマかけて制作した」(303ページ)と述べられるだけのことはある。

  • 著者が近世史の専門家ということもあってか、清教徒革命・名誉革命あたりの話がとくに面白くて、学校の歴史の授業で受けたイメージとは全然違う。
    清教徒革命は宗教戦争だったというのはまあ分かるが、名誉革命の実態はオランダによるイギリス征服で、議会派のやったことはほとんど外患誘致に近い。

    時の王権の正統性を、血統、賢人集団の推挙、神/教会の加護という3つの要件でチェックするのも面白い。
    EUとかCKとかの歴史ゲームだと、要件の一つでも欠けると、ライバル国がCBを獲得したり、内乱が起きるよなあ、とニヤリとした。

    氷河期からブレア政権までのイギリス史を新書1冊に詰め込んでいるだけあって、素人には付いて行くのがやっとの濃さではあるが、ところどころで、
    「(ケンブリッジ大学から)ケム川をさかのぼってグランチェスタ村の茶店「オーチャド」まで逝けば、気難しげなB・ラッセル先生とウィトゲンシュタインが、数学か哲学か言語かを論じながら、裸で水遊びした場に立つことができる。」(p258)
    といった洒脱な一節があったりして、ちょっとした息抜きにはなる。

    やっぱり濃すぎる。マイナス1。
    唐突に学者の名前がポンポンでてくるのは、先行研究を幅広く提示するという意味では歴史書として誠実なのだろうけれども、素人にはむやみにハードルが上がる。マイナス1。
    星3つ。でも、いい本だと思います。
    シリーズ(?)の、フランス史10講とドイツ史10講も読まなきゃ。

  • セクハラ・ヘンリー8世の合理主義、錬金術ニュートン先生の科学革命、雪だるまヴィクトリア女王の君臨すれど統治せず、秀才ケインズの同性愛と異性愛、就活に失敗したサッチャー首相の婚活成功・・・。徳川家康も夏目漱石も「80日間世界一周」も、盛りだくさんで、歯ごたえあるイギリス史(世界史)。知的な刺激にみちた読書に自分が向いているかどうかをためす試金石みたいな本。

  • 少しでも英国史の知識(世界史で勉強した程度でも)あれば、通説とは違う解釈で書かれていたりして面白いと思う。時々、関係する映画も言及されるので2度楽しい

  • 読むのに3日ほど掛かった。1613年、英国国王ジェイムズの親書は徳川家康を「君主、エンペラ」(p.106)と呼んだそうだが、家康は将軍に過ぎず語義揺れて錯誤に近い。図書館本。 127

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=7177

  • 読了。

  • 蘊蓄に傾きすぎて鼻に付く処もおおいし、事実を追うのに込み入りすぎて、ついていけないところも少なからずあるが、読み通せたので、合格者。イギリス史に詳しい人がよむとはおもえないのに、こう思っているだろうが、最近のがくせつでは、そういう事になっている、といった記載が駄目。

  • ドイツ、フランスと続いたシリーズ第三弾がやっと読めた。

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グローバル化は今に始まったのではない。ストーンヘンジの時代から、サッチャー後の今日まで、複合社会イギリスをダイナミックに描く。さまざまな文化の衝突と融合、歴史をいろどる男と女、王位問題と教会・議会、日本史との交錯など、最新の研究成果を反映した、タネもシカケもある全10講。

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