- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004315148
作品紹介・あらすじ
急激な人口減少と産業の衰退のために、世界中の都市が「縮小」し、時に破綻している。しかしそこには、空き家や荒廃地、廃校といった不良資産化した「空き」を再活用し「小さく、賢く、成長する」ための挑戦も存在した。破綻からの再生を目指すデトロイトとトリノの試みからその具体策を学び、日本が進むべき道を導き出す。
感想・レビュー・書評
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/687473詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
縮小都市の挑戦
amazonからのメール -
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縮小都市(Shrinking Cities)
縮小都市論: 「縮小する都市の現実」を理解し、「持続可能な縮小都市の「かたち」」を考える(p13)
都市の郊外化&主要産業の衰退→都市の縮小 -
都市間協働、中心市街地の戦略的選定、地場の企業(製造業から小売業までの多様な産業)の振興の必要性を学べた。
「自治体の活性化」には空間的な視野が必要なのだと感じた。 -
ジェイコブズやハーヴェイへのシンパシーが明瞭で、その視点からのコメントが多いのだが、サジェストされるポイントの数々は、かなり豊かな内容で、1000円未満の新書版にしては、みっちり腹に溜まるボリュームがあった。なにより、文章が読み易い。
デトロイトは、今も苦悩するが、トリノは再生の兆しがあるとな。 -
最初、コンパクトシティ論と縮小都市論の違いがわからず戸惑いましたが、デトロイトとトリノの事例に触れる中でなんとなく理解できたような気がします。人口減少社会に突入している私たちの国にとって地域のこれから、というテーマは避けて通れないものになってきます。その時、都市を効率で考えるのか、養育という概念で考えるのか、という違いが都市間競争か、都市間連携か、という違いになっています。まるで「地方消滅」と「地方消滅の罠」の違いみたい。これを神学論争にせず、まったなしの問題へのアクションにするためにはどうすればいいのか?まずは本書で初めて知ったジェーン・ジェイコブズ曰くの「イノベーションにつながるインプロビゼーション」の実践で小さな協働の顕在化をいっぱいに!ということかな、と思いました。これ、都市論だけじゃなくて、会社論でもあったりして…
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人口減少問題は、私がいま最も関心のあるテーマなので、これはと思う本は取り寄せて読んでいます。
というわけで、今回は矢作弘さんの「縮小都市の挑戦」。
ともにかつては自動車産業で栄えたものの破綻に直面したデトロイトとトリノの再生への道程から、都市のあり方を考察しています。
両市とも以前はフォーディズム(大量生産、大量消費を可能にした生産システムのモデル)が骨の髄まで染み込んだ都市でした。
ただ、破綻を経験し、そこから脱皮しようと模索しています。
キーワードは「ブランディング」。
本書の表現を借りれば、「都市イメージを再位置化する戦略」のことです。
その点、
「ブランディングを考える時に立ち返るべき起源は、都市の歴史や文化、それらが自然との交わりを通して育む風土である」(P137)
との指摘は大変重要ではないでしょうか。
さすがに財政の厳しい昨今はあまり見られませんが、以前はその都市の歴史や文化、風土とまったく無関係なブランディングに走る都市が少なくありませんでした。
そして実行に移された挙句、例外なく失敗しました。
本書で紹介されているデトロイトとトリノの取り組みは、無論そのままどこの都市にでも適用できる代物ではありませんが、大いに参考になると思われます。
たとえば、都市が活力を維持したり復活したりするために守るべき四原則(ジェーン・ジェイコブズが『アメリカ大都市の死と生』の中で提示したもの)は、知っておいて損はありません。
①街路は狭くて短いこと
②ふるい建物を残し、利活用すること
③人口密度が高いこと
④多機能的な地区が寄り添っていること
デトロイトとトリノの「死と再生」について考察した後は、人口減少と高齢化の最先端を走る日本についても考察しています。
興味のある方はどうぞ。
あ、あと、矢作先生は文章が大変に上手くて惚れ惚れします。