NHK 新版――危機に立つ公共放送 (岩波新書)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315216

作品紹介・あらすじ

公共放送の使命とは何か。創立以来最大の「自主・自律」の危機に直面するNHK。権力によるトップ人事支配に「民主主義の危機」と警鐘を鳴らす著者が、構造的要因を解明し、再生への展望を示す。NHK研究歴五〇年の第一人者が、克服すべきすべての課題に鋭くメスを入れる。定評ある前著を全面改訂して問う緊急提言。

感想・レビュー・書評

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  • NHKが公共放送として果たすべき市民的公共圏の擁護者として権力者の監視するという、民放では果たせない役割を放棄し、むしろ時の政権に迎合するという皮肉。

    本来政治的不党性であるべきなのに、実際には実質的国営放送。
    民放が政権寄りのスタンスを取るのはなんとなく分かるのだが、公共放送である以上是正してほしいと思った。

  • 改めて公共放送としてのNHKについていい勉強になる一冊でした。すべてを鵜呑みにするわけではないのですが、やはり改革が必要なんでしょうね。

  • ★お堅過ぎて★元新聞記者の大学の先生が書いたというからくだけた本かと思っていたら、思いのほか放送の意義など法律や学問に近い内容だった。ちょっとそこまではついていけず・・・

  • 対立する考えは、どの作品を読めば良いのか。

    個人的には、日経新聞の報道で明らかになった人事に関する先行報道や、政府の目的を遂行する人事とされることがしっかりと書かれていることが言われて納得と思った。

  • 2015年3月新着

  • 勉強になりました。

  • NHKに限らないと思う。日本の組織は多かれ少なかれ「おかみ」のいいなりになっている。
    それを疑おうともしない(庶民レベルでは)。
    長い歴史で培われた民族的性格なのかも。

  • 2005年に刊行された『NHK -- 問われる公共放送』(新赤版947)の改訂版。積読している。


    出版社PR
    “創設以来最大の危機に直面しているNHK.現政権に「乗っ取られている」と危惧する著者が,公共放送の役割を根本から見つめ直す.権力による不当な支配をはね返して,現状を打開していくためには,いま何が必要なのか.密着取材歴35年,NHK研究第一人者が,克服すべきすべての課題に鋭くメスを入れる.定評ある前著を全面改訂して問いかける緊急提言.”

    著者プロフィール
    “松田浩(まつだ ひろし)氏は、1929年東京都生まれ。東北大学経済学部卒業後、日本経済新聞社に入り、1962~87年、放送担当記者・編集委員。立命館大学教授、関東学院大学教授を経て、現在 放送評論家 メディア総合研究所研究員。著書に『ドキュメント放送戦後史(I、II)』(双柿舎)、『知られざる放送』(共同筆名・波野拓郎 現代書房)、『講座現代ジャーナリズム(3)―放送』(共編著 時事通信社)、『戦後史にみるテレビ放送中止事件』(共著 岩波ブックレット)ほか。”
    (岩波書店HPより)


    【目次】

    序章 いま、なぜNHKか
    発端は経営委の首相“お友達人事”/BBCも「NHKの危機」を特集/“偏向”是正/「視聴者のみなさまと語る会」での一コマ/公共放送の役割は「権力監視」/「NHK支配」の根源にメスを

    第1章 公共放送とは何か――国家のNHKか、市民のNHKか
    メディアの公共性とは/公共放送の役割とは/政府からの自立/電波管理委と「市民社会の論理」/「言論の自由市場」の思想/「政府の政策を徹底させること」/NHKとBBC/ジャーナリズムとしてのあり方/有事法制反対大集会の場合/視聴者への説明責任と公開性/デジタル化の方向性と進め方

    第2章 「三つの独立」とその空洞化
    政府からの三つの独立/「財政の独立」の空洞化/組織・人事への介入/委員長通じ会長人事を左右

    第3章 NHKの体質はどのように培われたか
    政府監督下のラジオ誕生/準国営放送への道/敗戦とGHQ/民主化の風/重視された放送/「放送委員会」のメンバー/高野岩三郎会長の訴え/新生の気運/不発に終わった“編集参加”構想/逆風と民主化の挫折/裏切られた理念/電波管理委員会の廃止/風刺バラエティ「日曜娯楽版」/吉田自民党の敵意/「NHKは国策の徹底を」/報道を飛躍的に強化/脱皮した日放労/前田会長の時代/「介入」と「自立」のせめぎ合い/歪められた「日本の未来像」/「対立を激化させないのがモットー」/沖縄返還協定テレビ調印式/参院選への宣伝効果/深刻な数字/「偉大なちゅうぶらりん」/会長選出と137万人署名/経営委員長と市民代表が対話/ロッキード・三木発言カット事件/報復人事と島元会長の証言/「効率化・商業主義化」路線へ

    第4章 ETV番組改変事件が提起したもの
    屋台骨を揺さぶった大事件/どのような番組だったのか/改変に次ぐ改変/東京高裁判決の意義とは/聞き流された経営委員の訴え/一般論にすりかえられた最高裁判決/早くも「編集権」強化の声/放送倫理検証委の「意見書」/「事実」と向き合う勇気/大型企画の“落とし穴”/集中攻撃浴びた「アジアの“一等国”」/偏向攻撃の狙いと思惑

    第5章 「改革」へのせめぎ合い――籾井体制につながった経営委員会強化
    放送法改正と一体の古森人事/「危機」から始まったNHK改革/政・財主導の官製「NHK改革」/経営委の性格を変えた「法改正」/前面に出てきた「偏向」是正/値下げは「構造改革」の証し?/生かされなかった「自主改革」の提言/市民の「改革」提言運動/監視と激励の参加型運動

    第6章 「国策」優先か、公共性の視点か――問われる「ユニバーサル・サービス」
    「国際放送」強化と4K・8K実用化/繰り返されるか「国策」の推進/デジタル懇の貴重な警告/産業政策的「国策」の“風圧”/「あまねく」条項の拡大解釈/視聴者不在の地デジ化の教訓/値上げの正攻法を避けたNHK/「先導的役割」は何のためか/莫大な設備投資/「ニュースウオッチ9にみる権力傾斜/最下位の独立性・公正さ

    第7章 通信・放送融合時代に問われるもの――試練に立つ受信料制度と公共放送の使命
    激変するメディア環境/公共圏の危機/始まるNHKのネット同時送信/世界の潮流に逆行するNHK

    第8章 再生のために何が必要か――市民的公共放送への道
    NHK危機の本質とは/NHK問題の根深さ/私の「NHK改革」提言/民主党「構想」不発の教訓/公共放送の存在意義/国民的規模で議論を

    あとがき 
    NHK戦後歴代会長一覧 
    NHK歴代経営委員長一覧 
    NHK略年表 
    主な引用・参考文献 

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著者プロフィール

1972 年生まれ。慶応義塾大学博士課程単位取得。文学修士。フェリス女学院大学文学部日本語日本文学科教授。専攻は上代文学。
共編著に『古典文学の常識を疑う(I・II)』(勉誠出版)、論文に「梅花の宴歌群「員外」の歌―大伴旅人の〈書簡〉の中で読む」『文学』(第16 巻3 号・岩波書店)など。

「2021年 『和歌・短歌のすすめ 新撰百人一首』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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