ナグネ――中国朝鮮族の友と日本 (岩波新書)

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著者 : 最相葉月
  • 岩波書店 (2015年3月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315391

ナグネ――中国朝鮮族の友と日本 (岩波新書)の感想・レビュー・書評

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  • さすが、最相氏の著作である。表層から真相へと導く。中国朝鮮族の軌跡。ノンフィクションとしても、交友録としても珠玉である。自省に基づく観察眼は、読む者の心を揺さぶる。著者は懐疑的だが、宗教への姿勢の深まり方も唸らされる。そして、極め付けのあとがきだ。ナショナリズムと人間の抜き差しならない緊張関係への配慮に涙する思いだ。

  • なかなか面白いルポ

  • 東欧に強制移住させられた朝鮮族のことしか知らなかったので、宗教弾圧のことも含め、初めて知ることばかりだった。親の莫大な借金のため働き続ける彼女の頑張りは、切なくて言葉にならない。最相さんが本にすることで、貸し借りがチャラになるという発想はいいなと思った。

  • 最相さんの年下の中国朝鮮族の友達・具恩恵との十数年のかかわりを書いたもの。
    日本に来てまもない恩恵に駅で道を聞かれた最相さんは、そんな行きずりを機に彼女に資料整理のアルバイトをしてもらったりしながら仲を深めていく。とはいえ、自分との接点以外には立ち入らないという一定の線を引きながら。ところが、細々と続く関係性のなかで、何度か危なっかしい恩恵の行状に触れもする。そして、本書を書くにあたり改めて彼女の話を聞くことで、自分がものわかりよく一歩引いているときに、いかに恩恵が大変な道を歩いていたかを知る。
    最相さんは身元引受人になったり、まとまった額の金を貸したりと決していいとこどりのつき合いだけをしていたわけじゃないし、日本人の友としての責任を常々考えていたと思うが、それでも恩恵の来た道を知らされると、日本で異邦人として生きることの大変さを改めて知らされるようなことがいろいろあった。
    特に、恩恵は中国朝鮮族だ。私も数年前に韓国に興味をもつようになってようやく知ったこの人々のことを日本のどれだけの人が知っているだろう。彼らのような境遇の人々の誕生にかつての日本が一枚かんでいたというのに。
    ただ、恩恵も恩恵の家族も過去のことは「過去のことだから」と大して触れようとしない。それは渦中の人の本音でもあるだろうし、また恩恵が言っていたように、過去を振り返っている暇もないからかもしれない。そこに日本人はあぐらをかいているといえないか。
    と、何だか硬い話になってきたけど、何があろうとやはり友達は友達。この仲が、国家とか形のないものを通じて生まれた恩讐を癒したり赦しや理解に導いてくれる。
    東日本大震災の直後、もともと人間には期待しないと言っていた恩恵に対して、最相さんは「世の中が絆、絆と連呼している最中、私のすぐ目の前で、絆という文字がバラバラにほどけていく。私は、これほどの事態となっても日本に留まろうとした恩恵の日本人に対する信頼が失われる日が訪れるとしたら、その最終的な責任は私にあるのだと覚悟した。」(p.160)という。
    このように、真剣に誠実につき合いたいもの。そういう意味で最相さんがこういうごく私的なつき合いをもとに一冊書いたのは素敵なことだと思う。個人的なつき合いとして書かれるなかに、普遍的な関係性のあり方が含められているような気がするから。

  • ウイグル人、ユダヤ人、クルド人、チベット民族、、、歴史に翻弄され、流浪と家族離散、差別に苦しめられてきた民族は少なくありません。
    中国朝鮮族もまた、そのような民族の一つであり、本書は日本に渡り生活基盤を築いてきた一人の中国朝鮮族のの女性と著者(最相葉月氏)との交流をもとにしたノンフィクションです。
    中国・朝鮮・日本、それぞれの国に深く関係しながらも、どこからも不当な扱いを受けつづける民族。日本の歴史に深く関係し、地理的にも近いにも関わらず、これまで私は、ほとんどその実態を知ろうとしたことがありませんでした。本書はそのきっかけを、強烈な形で与えてくれました。

    安定した国家に生まれ、その国民として生きることができる幸せにしっかり向き合わなければならないことを、教えてくれる一冊です。

    【本書抜粋 具恩恵(仮名)】
    なぜクリスチャンになったかとか、文化大革命のこととか、少数民族がどうだとか、そんなことはこれまでまったく考えたことがなかったです。今日を生きるのに必死だったから。そんなことを考えられる人は余裕があるからですよ。
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  • 勉強になりました。

  • 配架場所 : 新書
    請求記号 : SHIN@334@S101@1
    Book ID : 80100014054

    http://keio-opac.lib.keio.ac.jp/F/?func=item-global&doc_library=KEI01&doc_number=002464503&CON_LNG=JPN&

  • 2015年5月新着

  • まだ知らないことがたくさんあった。

  • 2015/5/2

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ナグネ――中国朝鮮族の友と日本 (岩波新書)の作品紹介

電車の行先を訊ねられたのがきっかけで親しくなった中国朝鮮族の女性と過ごした十六年間。実家の「地下教会」での抑圧された日々、日本で砕かれた夢と現実、植民地支配と戦争で分断され、移動を余儀なくされたナグネ(旅人)としての朝鮮族の歴史などを振り返り、東アジアを跨ぎ自立していく女性の姿を描くノンフィクション。

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