日本の納税者 (岩波新書)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315445

作品紹介・あらすじ

税金はややこしくてわからない-。いや、ちょっと待て。わからないでは済まされない。税務署がどこにあるかさえ知らない日本の納税者。その無関心につけ込んだ「お上まかせの税制」が、今日の財政危機と格差社会を生んだのだ。大多数の国民が、いかに税金に関心を持てなくされているか。その背景と現状を伝える。

感想・レビュー・書評

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  • 税務署がどこにあるかさえ知らない日本の納税者。その無関心につけ込んだ「お上まかせの税制」が、今日の財政危機と格差社会を生んだのだ。大多数の国民が、いかに税金に関心を持てなくされているか。その背景と現状を伝える。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40226303

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1544/K

  •  三木先生と言うと、この人は租税法学者でして、また青山学院大学の学長まで上り詰めた方ですから、私も下手なことを申し上げることは当然できかねますが、どうにもこの本には些か疑問が残る形となりました。
     身も蓋もないことを言わせてもらえば、この人は結局、租税法の複雑難解さによって生計を立てていたわけでして、言うなれば「租税法利権」の受益者である、というのが私の認識です。
     従いまして、私にとって三木先生は、同氏が糾弾する日本社会における租税を巡る「ものの見方」に関する共犯者だと思うわけです。
     なるほど租税法の複雑難解さは目に余るというのはわかるわけですが、そしてその見直しの必要性についてというのも理解はできるのですが、ただ、三木先生は学者として、新たな租税法の規定の在り方を提言されたことがあったのでしょうか。
     むろん、解釈法学者にそうした立法に踏み込んだ提言を要求するというのは、あるいは失当かもしれませんが、しかし、私は何も魚屋に明日から野菜を売りなさいというような無理な注文をしているわけではありません。
     一例として、租税法の文言をより分かりやすいものにするために、ある法律のある条文の文言を変更いたしますと、その変更後の条文が従来のものと同一の内容なのか、又は以前から変更したものなのか、という疑義が当然生じます。
     文理解釈が支配的な租税法の世界では、普通の場合後者となることが多いわけですが、いずれにせよ、ひとまず文言変更後の解釈がどうなるか、ということについて世間が全く無関心ということはありえません。
     そうなりますと、この解釈はいったい誰が明らかにしてくれるのか、ということになるわけですね。課税庁が顔を出すことは容易に想像できるでしょう。
     これに対する反論として、従来の条文は従来と同一の意味とする、という見解を採るとしても、改正や追加に当たっては、従来の条文の文言の法則が妥当しないこととなるわけですから、これについての疑問は残ってしまう。
     従って、難解ながらもひとまず解釈手法の確立した法律について表現の平易化という外科的手術を施すに当たっては、租税法において重視されるべき予測可能性を損なわないように努める、ということに留意する必要があるわけですが、その技術的に微妙な調整こそ三木先生初め学者先生のお仕事ではないかと感じるわけです。
     問題提起は大事なことですが、その問題の解決に当たって遭遇する困難に言及してほしかったな、あるいは何らかのご提言があるのであれば、民主党との合作のみにとらわれずご披露する、それが租税法の職業専門家が発揮すべき良心だったのではないか、と考えるのです。

  • 日本の民主主義はとことん国民の無知の上に成り立っているのだと思い知らされる。
    震災のように、実際の破綻が訪れるまで何も考えないというのは国民性という言葉で片付けて良いものではないだろう。
    税制の問題など見向きもせずに、政治家を人格の好き嫌いで判断することを先導するようなメディアのあり方に対しても強い疑問を感じる。
    「難しいことはとりあえず無視する」ような人々に民主主義はまだ早かったのだろうか

  • お金

  • 昨年の委員会活動のおかげで、すっかり税金に関心が高まってしまった。
    一度読んでおきたい。残念ながら紙版しかないみたいだけど。

  • 日本の納税者意識の問題提起。

    国民の税金について知識、関心が相対的に低いことによる問題点を指摘。選挙のときだけ減税を掲げる政党、増税・減税ばかり声高に報道するマスコミ、それを妄信する国民。細かい点は官僚が決めているというこの構図が続いており、変わる気配はない。

    税や金融についての教育を早い時期に行うべきと思う。現状全く足りておらず、給与所得者のほとんどが無知に近いのではないか。

  • お金の絡む本はほとんど避けてきたのですが、多様な意見を聞くことなく突き進む現政権を目の前にして、帯に書かれているメッセージが目にとまり読んでみようと思いました。
    「減税は正義か?」との刺激的な呼びかけに始まり、歴史的な背景も振り返りながら、今の税制に関する問題点を納税者の立場から解き明かした展開に引き込まれていきました。「年末調整」や「源泉徴収」制度は、自分の税金に関心を持てなくされている仕組みに一役買っていることなど全く知りませんでした。
    「そろそろ、義務としての納税から自分たちの意思としての「払税」に変え、社会の責任ある主権者として政治に、税制に、予算支出に関わっていこう」(おわりにより)との呼びかけに応えていけるように、一定の実務性含めて自分の力高めていきたいです。

  • 良書。
    納税者の義務は教育されたが、権利はどうだったのか思い出せない。確かに、納税者の権利をもっと表に出すべきかも。政府に騙されてはいけない。

  • 日本の税制を主権者である納税者の立場から見た本。
    終戦後国民主権になったが、憲法には納税の義務の項目が追加され明治憲法とあまり変わらない。またGHQは申告納税制度を導入させたが、年末調整制度による給与天引きが中心となり、2000万人強しか確定申告をしていない。それらのことが税とその裏側の政府の再分配への意識の希薄化を産んでいる。
    また税務署や税に絡む司法は複雑かつ官僚に有利になっており、真剣に争われるケースが少ない。国政における審議の場の確保と権利憲章の制定が重要としている。

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著者プロフィール

青山学院大学前学長,弁護士

「2024年 『よくわかる税法入門〔第18版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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