不可能を可能に――点字の世界を駆けぬける (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315605

感想・レビュー・書評

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  • 音声デジタル図書のネットワークを創り、駅ホームの転落防止?設置に尽力。日用品に点字の説明をつけることや、道路の点字ブロックのありかたにもたずさわる。10代末で光を失った著者が、これまでの歩みや活動を綴る。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40229793

  • 田中徹二『不可能を可能に』岩波新書 読了。点字で執筆された日点理事長によるエッセイ。点字・デイジー図書のネットワーク化、コンピュータ技術講習会の実施など、デジタル化の進展を取り込むことにより、視覚障害者の可能性を開かれたものとしてきたことが窺える。本書は少なくともその象徴だろう。
    2015/10/10

  • 点字に少し興味があって、しかし、だからといってすごく知りたかったというほどでもなく読み始めたら、とても面白かった。
    点字がどんなシステムなのかも、初めて分かった。
    しかも、今はそれをデジタルデータ化する時代だ。
    アーカイブや、そのデータを管理するシステム、やり取りするネットワークなどの整備が進んできていることも分かった。
    日本点字図書館が、少ない予算の中で、こうした取り組みをしていたんだと。

    後半はホーム柵など、公共空間でのバリアフリー化のことが話題になっていた。
    意外だったのが、ドイツの例。
    自己責任論が主流で、テレビ塔に盲導犬を連れて入ろうとしたら断られたとか、ホーム柵はないし、エレベーターの設置も6~8割だとか。
    もちろん、日本には日本の課題もたくさんあるのだけれど、そういうインフラ整備が進みやすいらしい。

    知らないことをたくさん知ることができた。
    点字ボランティアにも、いつかチャレンジしてみたく思った。

  • タイトルのとおり、点字とともに駆け抜けてきた著者の半生記。
    著者の歴史でもあり、日本の点字界の歴史でもある。
    仕事本としてもエッセイとしても点字の歴史としても、興味深くて面白かった。

    十代で失明した著者は、点字を学び大学に通い、日本点字図書館や点字用具の発展をすぐそばで見ている。(著者自身が立役者の一人でもある)
    だから、その時を知っている人の語りの面白さがある。

    パソコンなどデジタルな手段が登場して生活が飛躍的にかわった、という話をみて、そうだよなと思った。
    慣れてしまった今となっては「昔の人はこんな大変な思いをしていたのか、私にはできない」なんて簡単に言っちゃうけれど、それしかしらないときは大変だとは思いつつけっこうやれちゃうもんだよな。

    余談だけど、昔は激動の時代を見た人の話を見聞きしても、たまたまその人がそこにいたと認識していた。
    でも、ある程度の年を重ねてみて、いつでも誰でも過渡期の中にいるんだと思うようになった。
    なんかそういうことを思った。


    関連
    『盲留学生』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4620906840
    『音のない世界と音のある世界をつなぐ』
    http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4005007767

  • 視覚障害者がどう新しい情報を手に入れていくかについての困難。年をとって目が悪くなっていくのはよくあることで、ここに描かれている視覚障害者はちょっと未来の自分かもしれない。決して他人事ではない。

  • 点字表記にも流派があるとは…

  • 2015年10月新着

  • 盲導犬のこと、バリアフリーのことが日本ほど進んでいる国はないとのこと。世界(ドイツ)では、まだまだマイノリティへの風は冷たいということでしょうか。
    パックの上に半円形のくぼみがあるのが「牛乳」であることを初めて知った。

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著者プロフィール

社会福祉法人日本点字図書館理事長
1934年生まれ。国立東京光明寮であん摩、はり、きゅうを学び卒業。早稲田大学第二文学部卒業。日本点字図書館館長を経て、現職。障害のある人びとの社会参加と平等、ノーマライゼーションの理念の実現に向けて事業をおこなう日本障害者協議会副代表もつとめた。著書に『不可能を可能に――点字の世界を駆け抜ける(岩波新書)』(岩波書店、2015年)

「2021年 『目の不自由な人をよく知る本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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