原発プロパガンダ (岩波新書)

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著者 : 本間龍
  • 岩波書店 (2016年4月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316015

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原発プロパガンダ (岩波新書)の感想・レビュー・書評

  • 2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故が起きる前から、
    原発の安全神話については懐疑的だった。原子力だよ?核だよ?
    安全対策は万全だというけれど、地震列島・火山列島の日本に
    人間が制御出来ないモノを作って本当に大丈夫なのか…と。

    だから、新聞紙面に掲載されていた電力会社の広告も胡散臭く
    感じていた。専門家だとか、有名人だとかが、原発の必要性や
    ら安全性を説いていても「本当かよ」って感じだった。

    広告業界の片隅にいたから分かる。畳みかけるように何かを
    主張する広告ほど、危険なものはない。著者の一連の原発広告
    関連の書作を読んでいると「やっぱりな」との思いを強くする。

    新聞に、雑誌に、テレビに、ラジオに。電力会社や関連団体のみな
    らず、関係官庁までもが膨大な費用を使って安全神話を振りまいて
    来た。メディアにとっては有難い広告主である。だが、この広告主
    はメディアが本来、報道しなければならなかったことを潰して来た。

    電力会社を少しでも批判したらどうなるのか。本書では報道すべき
    ことを報道したのに、組織の保身の為に犠牲になった人たちの話
    も詳しく書かれている。

    そうだよね、田原総一郎氏もそのひとりだったんだよね。

    スポンサー・タブーは古くから言われていることだけれど、福島第一
    原発事故以前のメディアの及び腰も酷いものだわ。それに輪をかけ
    て酷いのは読売新聞だけれどね。

    原発事故直後から姿を消していた電力関係の広告が、原発立地県
    から徐々に復活している。あれからまだ5年しか経っていないのにね。
    日本の原発すべてが停まっていても大停電なんか起きなかったのに、
    今度は再稼働に向けてのプロパガンダかね?

    電力関係の多くを手掛けたのは広告代理店最大大手の電通である。
    電通の前身は「日本電報通信社」だ。戦前の満州鉄道調査部で、
    対外宣伝と宣撫工作を担った。プロパガンダはお手のものだよね。

    福島第一原子力発電所は廃炉に向けての作業が続いているが、いつ
    になったら完了するのかの目途さえ立っていないのが現状だろう。
    廃炉費用だって実質、どれだけの金額がかかるのさえはっきりとは
    していない。

    なのに、原発プロパガンダは復活する。まるでゾンビのように。

    国策として原発推進をしてきた自民党本部も、プロパガンダをまき散らし
    てきたメディアの本社も、そのプロパガンダで金儲けをしてきた広告代理
    店も、福島第一原子力発電所の近くへ移転したらいいのに。

  • 元博報堂マンの原発広告のレビュー。
    業界内部にいた人だけあって、原発広告の歴史、やり方、事件が書かれていて、とても面白い。かつ恐ろしい。
    物量で圧倒している相手は、とても手強いことがよくわかる。
    放射線の影響に関しては首をかしげる部分もあるが、それを補って余りある内容。
    「戦争広告代理店」が思い出される。これはいわば情報戦なのかもしれない。

  • ストレートな主張、とても良い。

  • 原発問題について全く知識がなかったが反対ではあった。ゼミの先生から勧められてこの本を読んだがおかげで原発プロパガンダの実体がよくわかった。
    広島の原爆についても調べていたし自身の家系にも被爆者がいるので放射性物質の危険性は言われるまでもなくわかる。だから原発がなぜこうも推進され続けてきたのか、メディアなどの監視体制がどうなっているのかを知りたかった。
    まさに極悪非道としか言いようがない傲慢さが推進派グループの本質だ。そのプロパガンダの方法は確かに効果的で評価に値する。人々はまんまと騙された。でもそれに加担した私利を追求したメディアや企業各社、そしてタレントや専門家などの個人は断固として許されない。
    勿論、メディアに対しての監視を怠った大衆にも責がある。だからこそ著者が指摘したように自ら努力して中小の信頼できるメディアを探さなければならないし、ちゃんとした情報を発信しようとしているグループをサポートするために出資していくべきだ。タダでいいものは手に入らない。

    でも原発の話を抜きにしたら広告の手法など面白く読んだ。

  • 「CMで(テレビで)やっていたから」
    賢いランクの高校一年生女子と話していて、よくこの言葉が出てきた。

    そして、この本。
    騙されていた、というか、自分がただ単に楽していた、という感じ。

    そりゃあ、相手の思い通りになるよな、と。
    でも、同じ手を見破られるようになりたい。今からは。

  • 元広告マンだった著者は、原発と広告の関係を余すことなく、語り尽くしている。
    この一冊を抜きに、原発問題は語れない。
     ここであげられている発信力のあるメディアは、OurPlantTV, IWJ, マイニュースジャパン,マガジン9,8bitnews,
    ニューズオブエドなどだ。

    ▶斎藤美奈子
    {巨額の広告費、メディアも陥落}
     原発に反対する人は国と電力会社を批判する。権力におもねって、正確な報道をしないメディアも批判する。では両者の間をつないでいるのは誰? 広告代理店である。特に上位2社の電通と博報堂は原発の「必要性」と「安全性」を人々に刷り込む上で、不可欠な役割を果たしてきた。
     本間龍『原発プロパガンダ』は厳しくいいきる。
     〈一九五〇年代から国策として国が主導し、政官学と電力業界を中心とする経済界が展開した原発推進PR活動は、実施された期間と費やされた巨額の予算から考えて、まさしく世界でも類がないほどの国民扇動プロパガンダだった〉
     ナチス・ドイツにも似た巧妙な宣伝戦略。実際、1970年代から2011年の福島第一原発事故までの40年間、原発推進広告のために使われた額はじつに2兆4千億円超。巨大なグローバル企業の広告費でも年間500億円であることを思えば破格の額だ。しかもそのすべては利用者の電気料金で支払われる。
     半ば想像していたとはいえ、その内実を具体例とともにあらためて示されるとムカムカしてくる。
     原発立地地域の地方紙には巨大広告が載り、それと引きかえに原発に懐疑的な記事が消える。タレントや文化人を招いたシンポジウムの報告が、記事のような顔で載る。広告は載せるが原発批判も辞さなかった北海道新聞や新潟日報のような例はまれで、多くのメディアは札びらで頬をなでるようなやり方に陥落した。
     最大の問題はしかし、3・11後、一度は影をひそめた原発広告が13年3月ごろを境に復活していることだろう。「安全神話」のかわりに、現在流布されているのは「事故で放出された放射能の危険性は小さく、健康への悪影響はない」という「安心神話」だ。震災復興、風評被害対策という錦の御旗の下でくりかえされるプロパガンダ。自分は騙(だま)されていないといいきる自信があなたにはある?
        ◇
     ほんま・りゅう 62年生まれ。著述家。博報堂で営業を担当し06年に退職。著書に『電通と原発報道』など。

  • 原子力ムラが仕掛ける、安全神話。
    それを手助けする電通などの大手広告業者とTV局。
    著者は原発プロパガンダの危険性を伝えるNPOを立ち上げたいとのこと。応援したい。

  • 古本市で購入。

  • 広告を載せない暮しの手帖の商品テストは画期的な雑誌のあり方だったのだとあらためて思いました。原発の広報は過去に事故があった年ほど、活性化し、例外的な出来事であるかのように装ってきたことが良くわかりました。マスコミは花形の職業の印象があるものの、ひとびとの生活の中に入り込んでは、真実を見えにくくする仕事に加担していることがあると思うと、現場から離れたくなる方がいる事情も分かる気がしました。

  • メディア・リテラシーについて実際の広告がどのようになっているかを考えていく基礎資料である。

  • 政府及び原子力ムラがどのようにして国民に「安全神話」を信じさせてきたのか、その実行主体と協力者、そしてその手法と事例を実名を上げて解説した本。
    メディアも営利企業なので、金には弱いってことだ。ではなぜこれほど「原発押し」なのか、それほど原発事業は儲かるのか、そこに斬り込んで欲しかった。

  • 読む前から読んだら暗くなるのがわかっている本を読むことが多く、どうしたものかと自分で思っている。
    そして、実際読んだら、想像以上にひどいことが書かれていてますます暗くなる。

    国民をなめているのか。
    特に、主婦(女性)や子供をなめているのかと思うかつて国が委託した団体の報告書(今も似たような感じかもしれない)があって、バカにするのもいい加減にせえと、とても腹立たしかった。

    震災以前の関電の原発CMに星野監督が出ておられた時、ガッカリしたのを覚えている。
    それはもう仕方がないとして、まだこれから原発推進のCMに出る人は、ちょっとなあと思う。

    こんなにも大がかりに、国、大手メディア、広告代理店に洗脳みたいなことをされ続けていて、これからもされ続け…これは原発だけの問題ではないのだけれど。
    最後、メディアの情報に接する時の留意事項が示されていて、それが救いになった。
    小さなメディアを応援し続けるのも大事だということもわかった。

    本文を読み終わって、さ、暗くなってないで、できることからやっていこうと思ったら、巻末に資料が。「日本原子力産業協会 会員名簿」。
    え、こんなたくさんの会社が会員なの?あの会社もこの会社も…
    手ごわい。相当手ごわい。負け試合⁉︎
    それでも、できることからやっていこう。
    情報を精査して、自分で考え、行動しよう。

  • 電力会社とマスコミ・広告の関係

    プロパガンダが行われていることは

    重々承知していますが、

    その内面は今まで見えてきませんでした。

    広告の内側にいた人が書いた本だけに、

    広告予算も含めた詳細な流れは

    いろいろな側面から勉強になりました。

    自分にとっては凄く良い1冊でした。

  • 原発プロパガンダ・・・は、定着しないだろうな。
    扇動広告とか新語を提示した方がインパクトがありそう。
    偏執狂的な文章もいただけないかも。

  • 広告費の恐るべきしくみ.東電関電の戦略は的確で恐ろしい.ニュースは心して見なければばらないと新ためて思う.

  • 原発を擁する電力会社,電通などの広告代理店が何百億という莫大な広告料をメディアに払いがんじがらめにし原発に不利な報道をさせないようにする.半分視聴者をだますようなあの手この手の原発翼賛広告.3.11でさすがに一時下火になったがまた息を吹き返しつつある.

  • すさまじい宣伝攻勢があったことがあらためてわかった
    メディアに出てくる宣伝には注意をしていかなければならない

    ところどころ強い表現が見られるので、この本自体がプロパガンダみたいだった
    「これを目にした人は、日本を代表する一流企業がきら星のごとく名を連ね、原子力ムラとはすなわち日本の社会そのものだという、深い絶望感を味わうことになるだろう」という文章はさすがに小説的すぎて説得力がなくなる。
    淡々とした表現のほうが原発プロパガンダをより意識づけられたと思う


    5章が残念な感じ
    風評被害はないと言ったりリスクコミュニケーションを軽視したり。
    「風評という言葉の意味は非常に曖昧である。実際に害が発生しているからこそ、
    その周辺に噂が立つのであって、火のないところに煙は立たない。
    原発事故によって実際に放射能汚染や被害が発生してるのに、
    それらをすべて「風評被害」と呼ぶのは、真実を見て見ぬふりをするのと同じである」
    とあるが、検出限界地以下のところまでマイナスイメージがついているのは風評被害だろう。
    そういう見方のほうが「真実を見て見ぬふり」だと思うのだが。
    まあこの本の見どころは宣伝攻勢を知ることだろうし、その辺の主張は無視して読めばいいと思う。

    上杉隆を参考先にあげているという時点で著者のリテラシーの程度は知れるなと思った。

    読売新聞の表記が讀賣新聞なのが珍しいなぁと思った。
    まあこの手の人たちはやたらカッコつけた言い回しをするので特に理由はないのだろう。

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原発プロパガンダ (岩波新書)の作品紹介

世界有数の地震大国日本になぜ五四基もの原発が建設され、多くの国民が原子力推進を肯定してきたのか。そこには電気料金から生じる巨大なマネーを原資に、日本独特の広告代理店システムを駆使して実現した「安全神話」と「豊かな生活」の刷り込みがあった。四〇年余にわたる国民的洗脳の実態を追う、もう一つの日本メディア史。

原発プロパガンダ (岩波新書)のKindle版

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