鳥獣害――動物たちと、どう向きあうか (岩波新書)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316183

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  • イノシシ、シカ、サル、クマなどによる鳥獣害が全国で深刻化している。鳥獣害はなぜ増えたのか。各地の対策は。そして今後、どうなっていくのか。農業経済の研究者が、みずから田畑を耕すなかで考察する。【「TRC MARC」の商品解説】

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    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40242241

  • 615-S
    閲覧新書

  • ☆ディープ・エコロジー:動物にも感情はある。菜食主義。植物には感情はない。

  • 鳥獣と農家との向き合い方も勿論書いてあったが、歴史、宗教、肉食、ベジタリアン、更には地球温暖化まで話が広がっていって、置いてけぼりになった。最後の方は難しくて覚えてない。殺したら食べようと思った。

  • 農学系の本にありがちな原体験偏重の記述はあまり見られず、客観的な記述が多い。筆者が農業経済の研究者であることがよく現れていると思った。

    思想史のあたりもとても参考になる。かなり考察されていて、納得感もあった。ただし、多少農家さんの農業観に引きつけられた解釈と思うこともあった。

    このほか、具体的取り組みが豊富に紹介されてアイデアの種になる。狩猟法制の参考になった。

  • 思わぬところでビーガンに関する謎の答えの一つが見つかった気がする。
    キリスト教世界では人間は神に似せられて作られた特別な存在と理解されていたのに、あるとき突然動物にも感情があることに気付かされてエコロジストはビーガンになってゆくという説。それでも植物には感情がないと主張するあたりは根本的に変わっていない。日本のアニミズムと結びついた仏教世界は万物に仏性が宿るという考えだから隔たりが大きいし、そんなことをわからない連中は・・・という気持ちになるわけ。
    害獣駆除をすべきかどうかという話からここまで展開してゆくのはなかなかヘビーではあって、興味のない人は読むのがつらいだろう。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】
    ・ザッと目を通した。動物に対して、妙にものわかりのよい偽善的なセリフがないのがよい。言ってることは当たり前なことなんだが、こういう本がもっと広く読まれて、無責任な動物愛護精神が啓蒙されるとよい。

    ・大学の図書館で人工知能関連本を読んでいるついでだったので、本書の中で、デカルト方法序説にある人間と動物の違いについての言及されているのが興味深かった。

    ・この本の書評なんかをうちのスタッフが書いてみるのもいいかも。

    【目次】

  • 配置場所:摂枚新書
    請求記号:615.86||S
    資料ID:95161058

  • 著者:祖田 修 [そだ おさむ]

    【書誌情報】
    通し番号:新赤版 1618
    刊行日:2016/08/19
    9784004316183
    新書 並製 240ページ 在庫あり

    クマ,シカ,サルなどによる鳥獣害が急増している.田畑を荒らして経済的な損失を与え,時には人を襲うことも.近年は都市部にも現れる.なぜ増えたのか.各地の対策は.農業経済の研究者が,自ら田畑を耕すなかで考察する.
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b243841.html


    【目次】
    第1章 「田園回帰」のなかの鳥獣たち―害獣化する野生
    第2章 街なかを闊歩する野生鳥獣
    第3章 農村に跳梁する野生
    第4章 鳥獣との闘いと苦悩―全国初の捕獲補助金交付の町
    第5章 人と動物の共存への模索―各地域での実践
    第6章 人は動物たちと、どう向きあってきたか
    第7章 庶民の食の変容と動物たち
    第8章 新たな動物観への展望
    第9章 人と動物、共存の場所―形成均衡の世界へ

  • 鳥獣害 祖田修 岩波新書

    日本中の里山にイノシシやシカやカモシカや
    クマやキツネやタヌキやサルに
    外来種のヌートリアやアライグマやヘビやカメや
    クモやトカゲ
    更にはインコやブンチョウやオオムなどが徘徊しだし
    街にまで出没して人に混じって信号を渡るようにまでなった

    無責任に餌付けして可愛いで済む間は問題ないけれど
    味をした野生の動物達が
    田畑を荒らし家畜を襲い家に入り込み
    人をも襲い持ち物を奪うようになるころには
    知恵がついて豊富な餌によって手がつけられない数に成長してしまう

    人間世界も物が溢れて退屈になり利己的な気持ちで
    エセリベラリストや自称有識者というインテリ−達が
    狭い視野で動物愛護運動などに夢中になって
    甚大な被害にやむを得ず農家や林業家が野獣を
    追い立てたり殺したり食べたりするとヒステリックに騒ぎ回る
    その上義務も責任も考えずに権利の主張ばかりで
    旅の恥はかき捨てといった感じに餌をやったりして弄ぶ

    西洋では大自然が人間のためにあるという選民意識にあり
    東洋では全てが対等な関係だとする共生観にあり
    依存心による支配欲の強い者が相手の固有の文化などお構いなしに
    侵略して来たのが有史以来の今に至る歴史である
    デカルトは動物が意識を持たまい機会であると主張し
    フェリはキリスト教の教えは
    人間が全ての権利を持つという人間中心主義だと発言している
    ダーウインも《人間の由来》や《種の起源》で進化論や突然変異に至り
    迷いながらも競争と自然淘汰を柱にした論理でまとめている
    それに対してピタゴラスは輪廻転生の思想と
    数の原理が存在の構成原理であるという二極の自然観を持っていたという
    又今西錦司は棲み分け共存の自然観を主張していた
    これに対して祖田修は現実の知識と技術において人間だけが特出しておる以上
    自然界の鉱物に植物に動物の全てを支配して依存搾取するか
    リーダーとしてお互いの対等性を維持する役目を買って出るかの
    どちらかにならざるをえないとする
    そして人間の生活と精算の空間と野生動物の侵入排除空間と侵入許容空間と
    野生動物の生活空間及び林業空間の四つからなる環境を推奨しているが
    少し誤魔化しているように感じる
    やはり円の全体観の中で力あるものが謙虚になって
    対等に棲み分けと食物連鎖による環境を用意して共生すべきなのだと思う
    人間社会が充実していれば動植物が侵略してくることなどないはずである

    一時にまとまって押し寄せて棲み分ける間もなく傲慢に侵略するのと
    謙虚な旅の者と文化交流するのとでは問題がまるで違う
    競争と切磋琢磨と同じように真逆の内容である

    この本の後半は全体観に添う調和を目指す大自然の摂理と
    浅知恵がつき過ぎて神に成り代わってこの世を支配する気になり
    視野を狭くして自滅に向かう部分感に溺れた人間の振る舞いの落差の現状に
    人間自らがどう気付き抜け出せば良いのかを模索する内容である
    とても深い気付きを持った意見である

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著者プロフィール

1963年京都大学農学部農林経済学科卒業。
農林省経済局、龍谷大学経済学部、京都大学大学院農学研究科教授、放送大学客員教授、福井県立大学学長、日本学術会議第6部長等を歴任。
現在、京都大学名誉教授、福井県立大学名誉教授。
専攻は農学原論、地域経済論。

「2019年 『失われた居場所を求めて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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