ルポ 貧困女子 (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004316213

感想・レビュー・書評

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  • 飯島裕子さんに聞いた:中高年単身女性の貧困から見えるジェンダー不平等社会 | マガジン9
    https://maga9.jp/230308-3-2/

    「ルポ 貧困女子」「貧困の現場から社会を変える」書評 弱者への無理解、改めるために|好書好日(2016年10月16日)
    https://book.asahi.com/article/11589731

    ルポ 貧困女子 - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b266325.html

  • 自分も苦しかった頃があったので、共感したくて手に取った。ここに書かれている女性達は人間の尊厳も剥がされた経験をしている方が多くて、胸が苦しくなった。でもインタビューに答える、自分の体験をオープンに話すことは勇気が必要であり強さを感じた。現実問題に正面から向き合う作者に本を書いてくれてありがとう、と思った。

  • 一歩間違えればそれは私の物語だったかもしれないし、これからも一歩間違えば、それは私の物語になり得る。
    世の中は決して、全ての人に優しくはつくられていない。男性にも女性にもだ。しかし、確かに女性ならではの困難さもある。特に子供についてのことは、決して男性にはわからないと思う。男性は産めない。女性は産める。ひとつの命を誕生させるかさせないか、それは遡って、その命を世に出したいと思える人に出会えるか、恋愛関係になれるか、といった別の分岐点を作り出す。男性にももちろん同じ分岐点はあるけれど、女性のそれとは違う。
    この本に出てくる女性たちの最初のつまづきは、ほとんどの場合仕事で、みんなもっと世の中に必要とされたいと願っている。たぶん、その願いの方が仕事云々のことより本質的で、だからこそ彼女たちは悲壮に見える。これは個人的な認識だけれど、ほんとうに生きていくのに必要な給料しか稼げないと、その給料分しか自分は価値がないのではないかと思ってしまうものだと思う。そして、へこむ。何もしたくなくなる。
    貧困、というタイトルは、言い得て妙だ。

  •  大人の貧困は自己責任で片づけられがち、という部分に頷きつつ、自分の生活と地続きだなとしみじみ思う。
    「女性の場合、『貧困』と『不安定雇用』はデフォルト(初期値)であるということだ」(9ページ)
     つらいなあ。

  • アラフォー、非正規、シングル…
    「一億総活躍社会」の掛け声の陰で、困難を抱えてひっそりと生き抜こうともがく女性たち。〝貧困にすらなれない女性たち〟を可視化させる。

    男女不平等が当たり前で女性は結婚すると仕事をやめて出産する、という時代ではなくなった。結婚するか、専業主婦になるか、子どもを持つか、フルタイムかパートタイムか。現代の女性にはたくさんの選択肢が用意されていて、自らの意思で自由にそれを選べるようになったかのように見える。
    でもその選択肢の多くは結婚を前提にしたものであるし、苦しい立場に置かれた女性たちほど選択肢は少なくなる。
    格差の壁には阻まれてやむなく選んだ状況を、自らの意思で選んだのだから自己責任だ、と判断されてしまう怖さ。

    取り上げられる体験者たちの生い立ちは、複雑な家庭環境で暴力を受けて、とか、性風俗で、とかショッキングでドラマティックなものではなかった。どこにでもいそうな普通の女性が、ちょっとしたことから格差の壁にぶちあたり、貧困へ転落していく様がリアルだった。
    そうやってセンセーショナルに語られることもなく、断絶されたままひっそりと貧困に苦しむ女性たち。
    行政の支援から零れやすい女性たちを救うような社会を。


    ほんと、はやく男性も妊娠出産できるようになるといいのに。

  • 20-40代の貧困女子の日常、背景など、自分にとっては衝撃的な内容だった。
    なんだかんだいって日本は豊かな国というイメージは、本書を読んで日本の別の顔が見えた気がする。
    生まれた家庭、進学、就職、結婚、出産、育児、老後など、女性は様々なライフステージを生きることになるが、一度ルートを外れると、途端に生きにくくなる。
    だからといって、全てを国が助けるわけにはいかない。

    私が思っているより、この問題は深刻で、闇が深い。
    他人事ではなく、明日は我が身と気が引き締まる思いで、読ませてもらった。

  • 20代前後から40代の若年層女性における貧困について、構造的な問題が存在するのではないかと検証する本。筆者が出会った貧困女子たちからのインタビューを中心に話が展開される。数年が経ち、当事者たちはどのように過ごしているだろうか。継続的に検証、取り組みがなされるべき問題が多い。

    非正規雇用、ブラック企業、虐待などの問題は、見出しだけが耳に入ってきがち。その実態となると、個別の問題だからと避けたり、ひとくくりにして見えない場所に押し込めているかもしれない。一つ一つのケースごとに丹念に検証して、誰にでも起こりうる問題として、意識させてもらえたのが良かった。

  • 読みながら将来に対する不安が4倍に増した気がします。
    知るべき今の日本社会の現状。200万円未満の年間給料をもらってる方増加中ですし、生活の維持もままならない。
    非常に勉強になる一冊。

  • もうこんなの知ってる話だけどしんどい。完全に自分の生活と地続きだから。一方こういう現実がいっさい視界に入らないで生きていける人たちもいるしんどさ。

  • 非正規雇用の増加、ブラック企業の増加、転職のしにくさ、女性に家事や育児などを期待すること、などなど複合的に絡み合っていることが伝わってきた。
    女性の貧困は把握しづらい、と何度も出てくるが確かにどのように働いているか、家族構成はどうか、など単体で見ても判断できない。それまで問題なくても、同居の親の収入が途絶えたとか夫と離別したなどの変化で一気に貧困となる場合もあるだろう。
    以前『最貧困女子』という本も読んだが、著者が女性だからか今回の本の方が様々な女性の事情が取り上げられ整理されていたように思う。
    何かひとつ「こうすればいい」というようなものではないとは思うけど、一つは男女とも非正規雇用の拡大の流れを食い止めることが大事ではないかと思う。

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著者プロフィール

ノンフィクションライター

「2017年 『20年後、子どもたちの貧困問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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