砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

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著者 : 川北稔
  • 岩波書店 (1996年7月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005002764

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)の感想・レビュー・書評

  • 茶や綿織物、現在の石油と同じ「世界商品」である砂糖を通して、世界の歴史がどのように影響を受けてきたかを解説。「砂糖のあるところに、奴隷あり」と言われたほど砂糖と奴隷制度は密接に関係していた。本書のように、モノや人々の慣習を通じて観察する学問を歴史人類学と呼ぶらしいが、大航海時代以降、世界が一つにつながっていることがよくわかる。

  • 1996年刊行。著者は大阪大学文学部教授。タイトルどおりの書だが、砂糖を中心軸に据え、世界史に及ぼした影響を初学者(中学生でも読めそう)向けに解説。勿論、砂糖が世界に広くいきわたった時期、すなわち近世から近代かけての西洋史が基本。①砂糖(サトウキビ栽培・砂糖製造)⇒プランテーション⇒奴隷貿易・奴隷制度。②砂糖(西端)と茶(紅茶。東端)とを結びつけえた英国。③砂糖貿易・販売で獲得した富が産業革命を準備した。④英の紅茶、米の珈琲という違いが生まれた経緯と地理的条件、⑤近世期の英仏対立等多面的解説がなされる。
    とはいえ、コーヒー・茶に関しては類書の方が詳しい。叙述が砂糖だけに絞っているわけではなく、やや物足りない印象は残る。ただ、エピローグ「モノを通じて世界史を見る」という箇所は、心構えという意味でも意義深い。
    補足。奴隷貿易(英や西・葡)、プランテーションの構造、これらサトウキビ栽培と砂糖製造のプランテーションが産業革命と米国独立革命に及ぼした影響は、簡潔かつ明快な説明で得心。

  • <キーワード>
    砂糖きび、大航海時代、植民地、プランテーション、モノカルチャー、三角貿易、奴隷、砂糖革命、世界商品、イギリス、紅茶、ステイタスシンボル、イギリス生活革命、コーヒーハウス、産業革命、近代世界システム、ビート

    ・1つのモノを通じて、世界のつながりがみえてくるということをとても分かりやすく示してくれている。(年代や出来事や人名を覚えることが、歴史を学ぶことではない)

  • 砂糖の世界史であり、また、奴隷の世界史、でもあった。我々の世界がいかにして成り立っているか、いかなる犠牲のもとに成り立っているかを考えさせられる。

  • 砂糖はいつどこで発祥したのか、そしてどのように世界中に広まったのか、主に欧米を中心に砂糖を通じて世界史を読み解く作品。

    砂糖は紀元前の頃から存在していたようだが、ヨーロッパに持ち込んだのはイスラムの商人らしい。そして大航海時代が始まると共に、ヨーロッパ諸国が植民地である中南米にプランテーションを拡大したことによって、現在にも続く大ヒット「世界商品」となったのである。

    しかしプランテーションには大量の労働力が必要だったため、たくさんのアフリカの人々が奴隷として中南米へ送られる事となる、絶望のあまり奴隷船から海に身を投げる人もいたそうだ。
    結果としてヨーロッパの国々は砂糖の製造販売で儲け、インディオから搾取した金銀で儲け、奴隷貿易でも儲けるという、なんとも理不尽な三角貿易を確立させたのである。

    その後一般市民にも広く普及した砂糖が、産業革命の原動力になった事は間違いないが、いまだにプランテーションがあった地域は、産業が育たず発展途上国となっている場合が多いらしい。
    一部上流階級の嗜好品として栽培された砂糖が、現代まで続く大きな負の遺産を残してしまったのだ。そして今現在も世界のどこかで、アンフェアな貿易が行われているかも知れない事を、決して忘れてはいけないと思う。

  • 砂糖という世界商品を通じて見る近代世界史。紅茶に砂糖、という、日常が、実は、イギリスの世界帝国としてのビジネスがあったからこそ、とわかる。そして、ヨーロッパ諸国のエゴイズムも。

  • 特に大きな事件に触れるわけではないが、砂糖を通して歴史の確かな流れと世界が構造化していく過程が見事に活写されている。日本のように主食、副食つまりおかずという概念がある方が珍しいなど豆知識も面白い。

  • 【「教職員から本学学生に推薦する図書」による紹介】
    貞許礼子先生の推薦図書です。

    <推薦理由>
    「岩波ジュニア新書フェア2015大人に薦めたい入門新書のロングセラー」の一冊です。砂糖にまつわる歴史から、近現代の世界をみることができます。歴史が苦手だった人にもぜひ読んでいただきたいです。

    図書館の所蔵状況はこちらから確認できます!
    http://mcatalog.lib.muroran-it.ac.jp/webopac/TW00355184

  • 砂糖の発祥から拡がりまで、地理や歴史的な背景を紐解き語られる。

    強烈な印象として残るものは無かったが、教養として染み込んだ気がする。

  • とてもわかりやすく、世界史を学ぶ前に読んでおくと、大量の暗記を要求される退屈な科目、と思わずに済むし、今世界にある格差が、歴史によるものだということがよくわかる。モノカルチャーや、国の政策に従う危険性にも気づかされる。
    中高生に薦めたい良書。
    ただ、紅茶がコーヒーより支持されたのは、コーヒーより淹れるのが簡単だから、と何度も出てくるが、ここだけは納得しかねる。紅茶は茶葉を摘んで揉んで発酵、乾燥させたものを買うから、お湯を注ぐだけ、と言えばそうだけど、コーヒーだって豆を摘んで乾燥させた状態で輸入して、各自焙煎して、挽けば、あとはお湯を注ぐだけ、そうかわらないと思うけど。挽いた状態で売ってもよいし、コーヒーミルなんて作り出すのはわけないんだから、焙煎した豆の状態で売ってもよい。フランスはワインを飲む文化があったので紅茶が拡がらなかったとあるけど、コーヒー・紅茶という、アッパー系(覚醒系)の飲み物と、ダウナー系(酩酊系)の酒を一緒にはできないだろう。イギリスは紅茶、フランスやイタリアはコーヒーになったのは何故か、知りたかったが、イギリスの紅茶についてしか書かれていない。

  • 非常に読みやすい本。

  • 三角貿易、プランテーション、産業革命、
    モノカルチャー(単一経済)ー現地の経済・文化発展の妨げ

  • 世界史を一つの物から捉えることは、今までの自分の物の見方を変えてくれる。教科書を断片的に読んで覚えた知識は地政学的な繋がりも、その国・地域ごとの事情も何も汲んでいない。砂糖という「世界商品」で同時代のそれぞれの国の事情を踏まえ、そして現在へのつながりを、立体として考えることは、ほかの物事の見方を考えるのにとても有用だった。

    世界システム、三角貿易から成り立つイギリスの豊かな社会はカリブ海の黒人奴隷によるプランテーションによって得られている。これは今の日本にもどこか当てはまるのでは。

  • 砂糖は麻薬と言われています。
    ネットを調べれば、いっぱい情報は出てきます。

    そんな砂糖を誰がどんな意図を持って
    広めたのかに興味がありました。

    やはり砂糖=金です。
    砂糖のある所に奴隷あり。

    世界を支配する砂糖。
    起源知っておいて損はないと思います。

  • 「近代世界史ステム」の入門書として、評判の高い本です。かなり前に購入していたのですが、近代世界史ステム論をもう少し勉強してから読もうと思っていました。専門なら著者の訳したウォーラーステインの方が先だと思います。入門書なので、あまりイデオロギーは強くないですが、要所にエッセンスがちりばめられています。専門外の人ならこちらを強くおすすめ。

  • ベアフットランニング→低炭水化物食→糖質不要論→からの流れで、本書。いや、おもしろい!!そしていろいろとひどい。ヨーロッパによる植民地支配&奴隷貿易がどれだけその後の世界の構造を(おもに悪い意味で)変えてしまったのかがよく分かる。そして彼らの中に根深い差別意識と後ろめたい贖罪の意識が同居していて、未だにいろいろこじらせて大変だということも。現在の世界の成り立ちを理解する上で歴史を知ることは本当に大事だなあ、としみじみ実感。今後先進国において糖質を摂取しないことを「選択」する傾向がますます強まるというのはある意味人類の歴史上必然的な流れのようにも見えるが、果たしてどうなんだろうか。

  • 世界的に流通している商品である「砂糖」に着目して、その生産と流通の歴史を紐解くことで今の世界を成り立ちを探っていこうとする本書。

    「なるほど、そういうことだったのか!」と目からうろこが落ちるとはこのことだ。
    一応、高校時代は世界史を選択していた私だけれど、こういう視点で歴史を眺めたことはなかったので、とても興味深かった。

    万人に愛される砂糖であるけれど、その生産のために大量のアフリカ人奴隷が使役されていたこと、イギリスの産業革命の勃興による労働者のカロリーを満たすためにはその砂糖が必要だったことなど……

    これから歴史を学んでいくうえで、大いなるヒントを与えてもらった。

  • わかりやすくて面白かった。

  • 岩波ジュニアだが大人も読むべき良書。世界史を勉強し直そう的な本よりこれを読んでほしい。

  • 世界システム論のイメージが出来ました。

  • 最近はまっている「モノの世界史」の一つ。期待に違わず面白い。
    砂糖の歴史は文化の発展史であるとともに、奴隷の歴史でもある。光と闇の両面から世界史を眺める新しい視座を与えてもらったよう。

  • 池谷裕二先生が
    「読売新聞」(2014年10月12日付朝刊)で
    紹介しています。
    (2014年10月12日)

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