農は過去と未来をつなぐ――田んぼから考えたこと (岩波ジュニア新書)
- 岩波書店 (2010年8月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784005006625
作品紹介・あらすじ
イネを植えるのに、なぜ田植えって言うんだろう?田んぼの生きものを数えてみたら、5700種もいることがわかった。田んぼはイネを育てるだけでなく、多くの生きものを育てているのだ。環境稲作を提唱してきた著者が、生産者減少や食料自給などの問題を考えながら、「農」が本来もっている価値を1つ1つ拾いあげていく。
感想・レビュー・書評
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2010年読後、著者に会うため大学主催のサミットに参加。
農が持つ多面的な魅力を再認識。
この本には、作る人も受取る人もみんなが共有したい大切な
ことが書かれている。
著者に心からありがとうと言いたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
610-U
閲覧新書 -
#虫見板カネや時間で測れないただの風景映すひといき
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栄光ゼミナール1年3月理科実験。
2013〜2015年中学入試でよく出題された作品。 -
とても筆者の情熱が伝わってくる本です。日本の農業…自分からは遠いもので、今まで考えたこともなかったこと。それが少し近くなりました。田んぼのある風景、田んぼで育まれる生き物たち、全てひっくるめての農業なのですね。自分の生活を少し見直すとともに、是非機会を作って田んぼを見に行きたいなと思いました。
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自然な風景、当たり前の風景。
田んぼにかこまれた土地でずっと暮らしている私にとっても、それは当たり前の風景。
しかし、少しづつ変わっていく、当たり前の風景。
生きるために仕事をするのか、仕事をするために生きるのか。
生きているから仕事をするのか、仕事をするのが生きることなのか。
それなら、楽しく仕事をしたいと思わないのか。
いろんな、当たり前のこと。
いろんな、誰もが考え付くこと。
だけど、それは普通じゃない。
筆者が、生粋の農家、百姓ではなく、外からこの世界に踏み込んだ人間だというのが、この本の語ることを一番よく表している気がします。 -
農業は、儲けるためにするのか。そうしてしまったのは、政府。田んぼの実り、それは「できる」ものであって「作る」ものじゃない。生産効率だけを追いかけて、じゃあ、田んぼの生きものたちは何?全てが関わって米ができるのに、目を向けないできた。
近代化の中で、見落とされて、軽んじられてきたものに目を向ける。それが現代の農業が抱える課題に何か道筋を拓くものではないか、と。 -
農業立村に住んでいると否応なく「農業」という産業についてあれこれ考えることが多くなります。 でもね、正直なところ落ちこぼれながら会計人だった KiKi のいわゆるビジネス・センスとかビジネス哲学と農業ってどうしても相容れないことが多いような気がするんですよね~。 要するに都市部の、ひいては現代社会では当たり前になっているある種の尺度では測れないことが凝縮されて成立しているのが農業という産業のような気がして、いえ、そもそも産業という捉え方をして「工業」とか「商業」と並立させる発想で俯瞰しちゃいけないのが農業のような気がして仕方ありません。 ま、そんなモヤモヤとした想いを言語化する1つのきっかけになれば・・・・・と手に取ってみました。
今回この本を読んでみて目からうろこだったのは、「農業の生産物とは果たして何だろう?」という視点でした。 KiKi のようなサラリーマンあがりの人間にとってそれはやっぱり「米」であり「野菜」であり、要するに「市場に売ることができるもの限定」と思い込んでいました。 でも、KiKi のようななんちゃって農家の営む田んぼでも、赤とんぼが生育しています。 もちろんこの生育に KiKi は一切手を貸しておらず(赤とんぼの成虫を田んぼに離したわけではないし、卵を採集して羽化まで見守ったわけでもない)、ただ単にIおばあちゃんに教えられるままに、田んぼを耕し、田んぼに水を引き入れ、稲を植えただけです。 でもその営みがトンボをここに呼び寄せ、産卵させ、勝手に育ち、勝手に赤とんぼになっているだけのことではあっても、田んぼがなければ生まれなかった命でもある・・・・・ということに、初めて気がつかされました。
(全文はブログにて)