- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784005006694
作品紹介・あらすじ
短歌は古めかしい?難しそう?いえいえ、そんなことはありません。この本では、五・七・五・七・七のリズムにのって、楽しく短歌をつくるテクニックをたくさん紹介。標語やことわざを利用したり、昔話やレシピを短歌に翻訳したり、短歌の新しい世界が広がります。短歌の魅力とそのつくりかたが自然に身につく短歌入門。
感想・レビュー・書評
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とにかく平易で肯定的なところがいい。突飛なところも、納得できない説明もなく、親しみやすい。ちょっとしたコツや工夫も具体的に述べられていて分かりやすい。
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短歌気軽にやってみよう!ていう本
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短歌を作るときのコツがわかりやすくまとまってました。句切れ、言いたいことはひとつにまとめる、情景と感情をセットにする、オノマトペ、比喩、しらべ、など。色々な作品の例示とか、ためしに作ってみるワークみたいなのも多くて実践的でした。題詠、歌合とかの説明もあり、読みやすいけど盛りだくさんでした。
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栗木京子(1954年~)氏は、名古屋市出身、京大理学部生物物理学科卒の歌人。「コスモス」短歌会、歌人集団「中の会」等に参加し、「塔」短歌会所属。「読売新聞歌壇」選者。現代歌人協会理事長。若山牧水賞、芸術選奨文部科学大臣賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞、毎日芸術賞等を受賞。紫綬褒章受章。
本書は、ジュニア向けに、短歌をつくるためのヒントをまとめたもので、2010年に出版された。尚、著者は、同じくジュニア向けに、短歌を鑑賞するためのヒントをまとめた『短歌を楽しむ』(1999年)も出している。
私はアラ還の会社員で、近年短歌に興味を持つようになり、俵万智、穂村弘、東直子、枡野浩一、木下龍也、岡野大嗣、九螺ささら等による入門書や歌集、現代短歌を集めたアンソロジー等を読み、暫く前から新聞歌壇への投稿も始め、しばしば採用されるようにもなった。
そうした中で、最近強く感じるようになったのは、短歌の幅の広さと、フィールドによって好まれる歌に違いがあるということである、具体的には、現代短歌は、近代短歌とはかなり違うし(勿論、近代短歌風の歌を得意とする歌人も少なくないが)、現代短歌の中でも、穂村弘と枡野浩一と木下龍也と九螺ささらの作風は全く異なる。更に、新聞歌壇で選ばれる歌もまた異なる雰囲気を持っている(これは、言わば選者の好みなのだが)。
そして、私が今般敢えてジュニア向けの本書を読んでみたのは、自分の歌が自然と新聞歌壇向きの作風になっていると感じており、もっとベーシックでオーソドックスな作歌のヒントを得たいと思ったからである。
果たして、本書では、標語を活用する、物語を短歌に翻訳するなどの定型への親しみ方から、オノマトペ、固有名詞、数詞、比喩、母音と子音、対句とリフレイン等の基礎的な技術まで、ジュニア世代が短歌を始める基本が書かれていて、それなりに役に立ったように思う。(ただ、著者は、力試しをしたくなったら、まずは新聞歌壇に挑戦してみることを勧めており、新聞歌壇的な歌から作風を広げたい私のジレンマをどう思うだろうか。。。)
(2023年2月了) -
中高生に短歌を教えることを考えている。本書を選んだのはその方法を知りたいがためである。その目的には大変ふさわしい本である。
短歌はその伝統ゆえに敷居が高いと考えられがちである。また俳句との混同もある。これは中高生にとどまらない社会一般の傾向と言える。まずはこの常識を崩さなくてはならない。本書では「短歌はおおらか」「不思議な小箱」といった表現で、初心者への入り口を広げている。
また交通標語などの575のあとの77をつけるといった試みや、橘曙覧の独楽吟の手法などを紹介し、短歌作成を自然に行えるように工夫している。
中高生のための入門書であるが、大人が読んでも十分に参考になる。私も短歌を作り続けているのだが最近は下火である。本書の読後、もう一度心をこめて作りたいという思いが湧いた。 -
入門書として丁寧で適切な1冊。
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穂村弘、河野裕子、俵万智らのおかげか、短歌に興味を持ち始めて約2年。詠んでみるのが一番と思いつつ、構えてしまってきっかけがつかめないのが現状だ。恥ずかしいという感情がかなり薄れてきているにもかかわらずだ。ちょっと背中を押してもらいたくて、本書を読んだ。
身近な標語をアレンジしたり、昔の歌を拝借したりと取っつきやすい。「捨てる勇気を持つ」というのは何も短歌に限らない。文章を書く上でも参考になった。オノマトペや視点の付け方などやさしく解説。けれど、まだ一歩を踏み出せない。 -
短歌とは―
たった31音の中に、歴史も宇宙も人生さえも詰め込んで、読む人の心に波を起こす。
ある歌は情景を、ある歌は思い出を、またある歌は新たなひらめきを。
小説よりもはるかにみじかく、キャッチコピーよりちょっと長い。
約1300年前から日本人により添い生き抜いてきた、粋でしなやかで、そしてたくましい素晴らしきもの。
そんなことを教えてくれる一冊。良書。 -
登録日:12/16
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観覧車回れよ回れ思い出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)
教科書等で読んだこの短歌が印象に残っている人も多いに違いない。「君」と「我」との相手への思いの差を受け入れつつ、いつまでも観覧車が回ることを思う「我」。やがて終わる観覧車、やがて終わる一日。やがて終わる「君」との日々。
この名歌の作者・栗木京子が、岩波ジュニア新書から作歌の入門書を出した。結論から言うと、いい意味でジュニア新書らしい、とても良質な一冊だった。
最初は定型の調べに慣れるところから始まって、常識的な思い込みを捨てて観察すること、音の響きやオノマトペを意識すること・・・と徐々に歌の世界に分け入っていき、最後は歌合わせや本歌取りまで。この順番に、作者のとても行き届いた配慮を感じる。入り口はあくまで低く、そして気がつくといつの間にか短歌の世界に分け入っている・・・という感じがするのだ。さすがキャリアのある歌人、きっと初心者の手ほどきを長年されていて、その経験がここに生かされているのだろう。口調もとても親しみやすく、初めて短歌を読んでみよう、作ってみようという人、それからもっと幅広く言葉をつかって表現しようという人には、とても面白くって参考になる一冊であることを保証しちゃおう。
個人的には、この本で短歌に慣れ親しんだあと、俵万智「考える短歌」を読むと面白いと思う。歌人たちが一つ一つの表現にどういう思いをこめているのか、この二つの入門書を通じて感じることができると思うから。(他だと、枡野浩一の「かんたん短歌のつくりかた」も良いかな)