世界の海へ,シャチを追え! (岩波ジュニア新書)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005008728

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  • 水口博也、、、といえば90年代のイルカ写真で、楽園の三好和義と人気を二分していた写真家だった。
    というか、当時はイルカ系の商業畑にはその二人しかいなかったの、本当に。
    あとはラッ◯ンに走るしかなかったの。マルチの。
    まあそれはいいとして。

    今回はじめて、その水口氏の文を読んだ。
    文がうまくて感心した。読みやすいし、わかりやすいし、綺麗に表現してくれる。シャチへの大きな愛も感じた。
    失礼ながら今回、氏の経歴も初めて知った。(京大)

    この本は岩波ジュニア向けなので、子供のためにシャチの生態を教える文体で、ダーウィンが来たのような世界観。

    シャチには二種類あって、定住して割と大きな群れで家族で暮らして魚を食べる穏やかなタイプと、外海を移動しながら他の割と大きな生物(イルカやクジラ)を襲う小集団のタイプがある、とはじめて知った。
    この二つのグループは互いに全く交流がない。
    そしてメディアによく登場する獰猛なシャチのイメージは、後者のグループから創起されたものらしい。

    驚いたのはシャチが長生きなこと。
    60歳くらいの、自分の孫(娘の子供達)を世話してあげているおばあさんシャチのニコラの話は面白かった。
    生殖能力を失った雌の個体が、自分の娘の生殖能力がなくなる年齢まで生きるのは、新世代の教育が大変な生き物の証ということだろうか。
    娘の育児を手伝うことがおばあちゃんの仕事、という言説を思い出した。
    実際、本書では、各地でシャチたちは独特な狩を行い、それを子供達に伝えていく様子が見られた。

    環境問題にも触れていて、岩波ジュニア新書として、お手本のような一冊なんですが、読んでいて何よりイイナアー!と思ったのは、世界各地で写真を撮るために、波打ち際のベース場所(もしくはシャチに見られないようにしてある隠れ場所)で、コーヒーを飲みながらゆっくりシャチを待つ作者の様子。
    ここ!!大人も!読んで!うらやましいから!!

  • 意外に長生きのシャチたち
    ほぼ人間と同じくらいの寿命をもち
    背びれの形で 個体判別もできるので
    群れの世代交代を観察することが出来ます
    そうなると 一つの群れは
    一つのシャチの文化みたいなものですね

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著者プロフィール

1953年、大阪生まれ。1978年、京都大学理学部動物学科を卒業後、出版社にて自然科学系の書籍、雑誌の編集に従事。1984年に独立し、写真家、作家として世界各地で海生哺乳類を中心に調査、撮影し、生態のレポートを行う。研究者との交流も多い。この十数年は、野生動物への影響を考慮しながら撮影を続けると同時に、地球環境の変化を追い極地への取材も多く行う。近年は、自身の活動が環境に与える影響も視野に、身のまわりの自然に視点を移している。
主な著書に、『オルカ――海の王シャチと風の物語』(早川書房)、『オルカ アゲイン』(風樹社、講談社出版文化賞写真集賞受賞)、『マッコウの歌――しろいおおきなともだち』(小学館、日本絵本大賞受賞)、『世界で一番美しい ペンギン図鑑』『世界で一番美しい シャチ図鑑』『世界で一番美しい クラゲ図鑑』(誠文堂新光社)、『黄昏』『世界で一番美しい アシカ・アザラシ図鑑』(創元社)、『南極ダイアリー』『クジラの進化』(講談社)ほか多数。

「2023年 『世界アシカ・アザラシ観察記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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