- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006003067
作品紹介・あらすじ
著者の一大テーマであるスケープゴート(贖罪の山羊)論。中心にある権力は周辺にハタモノを対置して自らの力を正当化し、ハタモノは一時は脚光をあびるがついには排除される。歴史の中で犠牲に供されたトロツキーやメイエルホリドらの軌跡をたどり、スケープゴートを必要としそれを再生産する社会の深層構造をあぶり出す。政治という祝祭空間への独創的接近。
感想・レビュー・書評
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山口ワールドを堪能。
自分が知らない人物であっても、ゆっくり読めば「エッセンス」はつかめる。
そう思えば、この博学者が知識のなすがままに書き落とした作品も、もう少し読者想いに心を寄せてくれてもいいのに・・・とも思う。
それにしても、博識だなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
政治の祝祭と演劇性。
話があちこちとんですごいスピード感。
メイエルホリドの舞台見たい。
ほかのもよむ。 -
140209 中央図書館
カラフル、豊饒なイメージ。社会的、政治的、歴史的に、「なんとなく」感じていたことが、具体的で明確な言葉を与えられ、理論に姿を変えていき、目を見開かされられる思い。
「死を除いては、生は、その特殊な意味も'かたち'も保持することはできない」(ジンメル)如く、世界がいのちを吹き込まれるためには、生贄として十字架に供する物が必要である。鎮魂とは、人を無に対面させる混沌のエネルギーと直面させる行為であり、民衆は、祝祭における正負の弁証法というモデルによって、歴史を彼自身の小宇宙に取り込む。否定的形象に触れることによって、再びインテグリティを獲得し、彼を取り巻く時間と空間が新たに甦るような体験を持つことになるのである。
また、上位の者の持つ神話的知識は、下位の者にとってミステリーであり、それを専有する人間の権威の源泉となる。
この流れで、佐々木道誉、ガルシア・ロルカ、トロツキー、メイエルホリドの例が引かれる。