- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006020453
作品紹介・あらすじ
未完の美しい物語「銀河鉄道の夜」は、多くの詩人たちを魅了しつづけ、想像力を喚起してきた。宗教学者である著者は、ジョバンニの銀河体験をシャーマンの脱魂体験や宇宙体験と結びつける。「ほんたうのさいはひ」とは何か。テキストの変遷を追いながら、賢治が表現しようとした人間の存在論的な孤独に迫る圧巻の新読解。
感想・レビュー・書評
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一次稿から載ってるのが欲しがったので、とても満足しました。
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「銀河鉄道の夜」を、より深く味わいたいと思っていました。
作品の構成が詳しく書かれていたこの本を見つけ、読み込んでみました。
「ジョバンニの切符」は、どこまでも行ける切符でした。
12日に、こまつ座公演・・「イーハトーボの劇列車」を観てきました。
劇中に、この切符と思われるまさに切符が、重要な位置づけをされていました。
精読本には、詩集・・『春と修羅』からの引用も多く、
今後は、詩集に浸ってみるつもりです。 -
先行研究をしるため図書館で発見。
主にジョバンニの孤独に視点をあてて、四回の改訂の変化を追う。
巻末には一次~四次全てが掲載されていて、大変参考になる。
本書では、ジョバンニの孤独を際立たせるために、ブルカニロ博士の消滅は必要だったとあるが、どうも納得できない。それは、自分が読み、慣れ親しんだ銀河鉄道が三次と四次を合わせたものだったからなのかもしれない。
いずれにしても、作者自身が推敲段階のまま終わらせているので、真実はわからない。 -
カムパネルラとジョバンニは親友だ。
貧しいジョバンニを、カムパネルラはいつもそばにいてわかってくれる。ある祭りの夜、ジョバンニは不思議な汽車に乗りカムパネルラと旅に出る。その汽車は、線路ではなく星空の中をどこまでも走るのだ。
発掘現場のプリオシン海岸、サギを捕まえてお菓子にする不思議な狩人、沈んだ船の乗員が天上の駅で降り立つ。不思議な旅の中でジョバンニはかけがえのないカムパネルラとの時間を抱きしめるようにかみしめるのだった。
この物語には、不思議な展開のあちこちに心にしみるような台詞が出てくる。沈んだ船のくだりには、水に落ちて亡くなった人を慰める灯台守のこんな言葉がある。「何がしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでも、それがただしいみちを進む中でのできごとなら、峠の上りも下りもみんなほんとうの幸福に近づく一あしずつですから。」
カムパネルラは実は川に落ちて亡くなったのであるが、ジョバンニはカムパネルラはもうあの銀河のはずれにいるのだとわかっているのであった。
この物語は、宮沢賢治の精神世界のような不思議な展開ばかり続くが、私は物語の面白さよりも、宮沢賢治の生き方がよく表れている点に感銘を受けた。みんなの幸いのためならば、ぼくのからだなんか百ぺん灼いてもかまわないという台詞は宮沢賢治の宗教観がよくあらわれていると思った。 -
※読んでみたい本
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鎌田東二先生の本。シャーマニズム的立場から、銀河鉄道の夜を読み解く。