荷風と東京(上) 『断腸亭日常』私註 (岩波現代文庫 文芸 153)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021535

作品紹介・あらすじ

永井荷風(一八七九‐一九五九)の『断腸亭日乗』を読み込み、荷風の生きた時代と彼が愛した東京の細部を浮かび上がらせる。荷風はどんなものを食べ、どんな映画を見、どんな女性と付き合っていたのか。上巻では築地や麻布偏奇館での生活、鴎外への景仰、二世左団次との親交、深川・砂町の探訪、荒川放水路と元八まんの発見などが取り上げられ、併せて経済生活にもふれられる。

感想・レビュー・書評

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  • 「断腸亭日乗」を読もうとして何度も挫折しはや数十年。まずはこちらを読んでみることに。
    無機質な日記の羅列が読者によってこんなにも変わるとは。
    古典はやはり人を選びますね。
    また挑戦する気力が湧いてきました。

  • [ 内容 ]
    <上>
    永井荷風(一八七九‐一九五九)の『断腸亭日乗』を読み込み、荷風の生きた時代と彼が愛した東京の細部を浮かび上がらせる。
    荷風はどんなものを食べ、どんな映画を見、どんな女性と付き合っていたのか。
    上巻では築地や麻布偏奇館での生活、鴎外への景仰、二世左団次との親交、深川・砂町の探訪、荒川放水路と元八まんの発見などが取り上げられ、併せて経済生活にもふれられる。

    <下>
    『断腸亭日乗』によりながら、著者自ら荷風が歩いた東京を時間旅行し、失われた風景を幻影を見るように見る。
    下巻では銀座での交遊、写真や映画との関わり、玉の井の探索と傑作『〓(ぼく)東綺譚』の執筆の経緯、戦時下の浅草の哀愁が描かれ、東京大空襲による偏奇館焼亡、市川・八幡での終焉に至る。
    田園のなかに古き東京を見た荷風の幸福とはどのようなものであったか。

    [ 目次 ]
    <上>
    「病余の生涯唯静安を願ふのみ」―「老い」の見立て
    老翁、俗を脱したり―「老人」への共感
    「持てあます西瓜ひとつやひとり者」―単身者の文学
    山の手の子の下町住まい
    三味線の聞える町―築地界隈
    下町のうっとうしさ
    崖の上の家―偏奇館独棲
    「余花卉を愛する事人に超えたり」―庭の小宇宙
    庭好む人―焚き火と掃葉
    山形ホテル
    鴎外への景仰
    「小鰺の塩焼、里芋田楽、味甚佳し」―淡白な食生活
    左団次との親交
    歌舞伎―愛すべきいかがわしさ
    隅田川を渡って―深川
    放水路の発見
    煙突の見える新開地―砂町
    「偶然のよろこびは期待した喜びにもまさる」―元八まんへの道
    立ちあがる大東京―震災後の復興
    ランティエの経済生活

    <下>
    探墓の興―墓地を歩く
    車が走るモダン都市
    「つゆのあとさき」のころ
    「銀座食堂に〓(はん)す」―東京の復興は飲食物より
    銀座の小さな喫茶店で
    「見る人」の写真道楽
    「活動写真」との関わり
    私娼というひかげの花
    ある夜の女
    〓(ぼく)東の隠れ里―玉の井
    陋巷での安らぎ
    「〓(ぼく)東綺譚」と「寺島町奇譚」
    玉の井から浅草へ
    浅草の「一味の哀愁」
    日中戦争下の日々
    「門松も世をはばかりし小枝かな」―戦時下の物資窮乏
    「家も蔵書もなき身」―偏奇館焼亡以後
    田園に死す

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 文人趣味、隠棲趣味、陋巷趣味、老人趣味、江戸趣味、落魄趣味…、血が騒ぐ。嫉妬に近いのかも?

    文語体で日記をつけることによる「生活の芸術化」の指摘が面白いと思った。

    浅草オペラ館閉館の様子に涙。

    *上下とも読了

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著者プロフィール

川本 三郎(かわもと・さぶろう):1944年東京生まれ。「週刊朝日」「朝日ジャーナル」記者を経て、評論活動に入る。訳書にカポーティ『夜の樹』『叶えられた祈り』、著書に『映画の木漏れ日』『ひとり遊びぞ我はまされる』などがある。

「2024年 『ザ・ロード アメリカ放浪記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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