近代日本の政治家 (岩波現代文庫 社会 42)

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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006030421

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  • 140621 中央図書館
    初代首相・伊藤博文、「民衆政治家」大隈重信、「平民宰相」原敬、挫折の政治家・犬養毅、最後の元老・西園寺公望。
    それぞれに、稚気のある行動派であったり、名誉欲の強い衒学家であったり、細密な事務タイプであったりするが、明治から昭和へのビッグネームである。岡先生の文章のリズムはとても快い。
    こういうビッグネームの屹立する大物が、未熟な民主主義のもとで封殺され、テクノクラート的な軍部官僚が権力を手にしていったことが、太平洋戦争へと日本を導いた。

  • 政治学の泰斗による明治大正の5人の政治家の実録。明治天皇を過剰に尊敬する伊藤博文と、公家出身で明治天皇と友達のような付き合いをする西園寺公望の対比などが面白い。

  •  山内昌之さんの『リーダーシップ』の参考文献で記載されていたので購入。

     まじめな政治学者による、明治大正の政治家、伊藤博文、大隈重信、原敬、犬養毅、西園寺公望の分析本。

     岡先生は、名前だけ知っているが、東大の政治学の先生。

    (1)元老政治の最後の元老、西園寺のなんとなく無気力でやる気のなさが気になった。「今頃人気で政治をやろうなんて、そんな時代おくれのかんがえじゃだめだね。」(p306)

     近衛文麿を批判した言葉。生まれながらに華族で、総理も二度やったのに、国益を全力で追求する強さが感じられない。公家さんだからか。

    (2)犬養毅の挫折感。犬養毅は、ずっと少数政党の党首をやっていて、一度引退してから、政友会の党首に担ぎ出されて、総理までやったが、軍部にもみくちゃにされたあげく、5.15事件で暗殺された。

     岡は、端的に、満州事変の犬養の対応について「犬養を甚だしく困惑させた」と記述する。
    (p258)

    (3)政友会を率いた原敬に対して、岡先生は、「ひとをして原敬を回想させる戦後政治のこのような貧困、それをわれわれはいかなる言葉を持って形容すべきだろうか」(p173)
    と記述する。

     伊藤博文を初めとする明治の偉勲から、大正の大政治家も、別に今の政治家を格別違うわけではないなと思う。

     西園寺の言葉のとおり、人民のレベルにあった政治家を得ることができるということだな。

  • 近代日本を代表する5人の政治家-伊藤博文・大隈重信・原敬・犬養毅・西園寺公望-に関する政治史からの詳細な人物評である。内容にはあえて触れないが、本書の特筆すべき点は岡先生の論説構成と文章の巧みさにあると思う。

    少々文体が古くて読みにくい部分もあるが、本書全体が「学問と詩が融合した結語」(巻末より引用)であり、一度引き込まれると昼夜を忘れて読みふけってしまう。

    高校生程度の日本史の知識があれば読めてしまうので、興味をもたれたらぜひご一読頂きたい。

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