- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006031268
作品紹介・あらすじ
圧政ゆえの悲話、それをはね返す歌謡、豊かな民俗芸能…。東京がオリンピックに沸く一九六四年、米軍支配下の沖縄で新聞社に勤める著者は、沖縄のなかでも最果てといわれた八重山から、島々の生活を歴史風土のなかで捉え返したレポートを送り続けた。後に反復帰論などで知られる著者が、復帰前の南島の根っこを見つめ、国家の虚妄を痛撃した記念碑的作品。
感想・レビュー・書評
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[ 内容 ]
圧政ゆえの悲話、それをはね返す歌謡、豊かな民俗芸能…。
東京がオリンピックに沸く一九六四年、米軍支配下の沖縄で新聞社に勤める著者は、沖縄のなかでも最果てといわれた八重山から、島々の生活を歴史風土のなかで捉え返したレポートを送り続けた。
後に反復帰論などで知られる著者が、復帰前の南島の根っこを見つめ、国家の虚妄を痛撃した記念碑的作品。
[ 目次 ]
与那国島
波照間島
黒島
新城島
鳩間島
西表島
小浜島
竹富島
石垣島
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ] -
「反復帰論」で有名な新川明による八重山地方レポート。これが昨今の明るく楽しい紀行文と完全に一線を画するのは、新川明が彼らしく、各島の民衆の苦難の歴史とそれでも生き抜くたくましさを徹底的に活写している点である。特に島々で歌われる「民謡」に注目し、そこに秘められた圧制の時代を生きる民衆の悲しみ、怒り、たくましさ、想像力を見出していく。民謡の他にも各地の民芸や祭祀についても同じような観点から語られている。
過酷な人頭税の苦しみを軽減するため役人に島の美女を差し出し人減らしを行う一方、島ぐるみで役人殺しを行った与那国島。西表に強制移住させられたり、遥か南の楽園・南波照間(ぱい・ぱていろー)に希望を託す波照間島。強制移住で恋人と引き裂かれ悲しみのあまり石になった女の物語り「ちんだら節」を歌う黒島。炭坑とマラリアの西表島で搾取され死んでいった炭坑夫や移民たち。島民一致して秘祭・アカマタ祭の秘密を守り続ける小浜島。経済的苦境ゆえに余儀なくされてそうなった村落の風景が本土人を感動させる竹富島・・・・・・などなど。
もちろん筆者は過去の話をただ掘り起こし記録しているだけではない。過去の教訓から現在の沖縄や八重山の状況を考え直し、民衆が本来持っていた健全で強力なエネルギーの復興を求めて本書は書かれたのだと思う。
本書は70年代に筆者が新聞連載をしたものを78年にまとめたものであり、そういう意味で八重山各地の現在の姿を知るには不適当だし、各地の文化や歴史についても最新の研究の観点からすれば間違っている点もあるかもしれない。しかし、上記のような観点から書かれた本と考えれば現在でもなお普遍的な価値を持つ一冊と言える。 -
課題の為に読んだ一作。岩波現代文庫ってメッチャたけー。講談社文庫なら500円のところの厚さだぜ。倍なんだぜ…!
まあ本は高くても許す。
で、内容としては島島の失われつつある文化とか、過去の話とかなんだけど。
何分これ自体が40年前に書かれたものなのですよね…。だからまだ手が届く過去に、2006年現在では完全に絶えたものがあるのですよー。だから物悲しかったなあ。
今まで沖縄のことなんて殆ど興味なかったけど(蝦夷も然り。だって日本じゃ無い)凄く興味深かった。小さな島の生活って、シビアだなあ…。凄かった。