- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006031480
作品紹介・あらすじ
いじめに遭った青年の手記や映画を素材に、いじめる者、いじめを耐え忍ぶ者、傍観者の心理と行動を分析する。さらにヴァルネラビリティ、有徴性、スケープゴートといった概念によりながら、特定の民族や集団に対する迫害、差別、悪の深層構造の分析へと論を展開し、文化の中の光と闇の存在を指摘して、いじめから脱出し挫折をバネにする方途をさぐる。
感想・レビュー・書評
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文化人類学の教授による本。具体的な「いじめ」に関する記述は前半のみで、中盤以降は筆者本人の体験を中心にしたエッセイのようなテイスト。読みやすいといえば読みやすい。
海外や動物との対比も交えながら、「人や集団は自分(自分達)と異なる相手を恐れ、排除しようとする」生き物であることが綴られている。
30年以上前に書かれた本だが、「人という動物」の有りようを根本的に分析しているので普遍性がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
正直めちゃくちゃ読むのが苦しかった。文章自体は難解ではなく、講演会の文字起こしなどなので読みやすい。
ヴァルナビリティについては頭では理解できるけど心のどこかで認めたくないという気持ちがあってもっと知りたいという思いを抱いた。 -
『学校という舞台―いじめ・挫折からの脱出」(講談社現代新書)に収録されているいる文章のほか、3編の論考をまとめている本です。
著者のスケープ・ゴート論を学校におけるいじめ問題に適用するとどのような結論がみちびかれるのかという関心があり、手に取ったのですが、あまりにも当てはまりすぎるためなのか、予想を越える内容には出会えず、すこし期待はずれに感じてしまいました。
著者の自伝ともいうべき内容となっている「脱教育のすすめ」「教育は対決」は、おもしろく読むことができました。 -
講演録の書き起こし中心の構成のためか、この作者にしては、分析の切れ味が悪い。論旨が行ったり来たりで、ページ数の割には突込みが甘い箇所が目立つ気がしてならない。普段の文章はかなり練られているのだな、ということがよくわかる。
講演の時点も少し古いものが多く、論点も今となってはそれほど新しい視点という印象はない。正直に言えば、同工異曲のものも多く、07年2月という現在のタイミングでこの本を出す意図がよくわからないのが正直なところ。