教育再定義への試み (岩波現代文庫) (岩波現代文庫 社会 199)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006031992

作品紹介・あらすじ

人は生まれてから老いて死ぬまで、多くの人々と関わりながら自己教育をつづける。「いかに生きるか」という問いが、その営みをゆたかにする。いまこそ「教育」は、人々が人生の課題に立ち向かうときに支えとなるものとならねばならない-。自らの人生を真摯に振り返りつつ、教育が本来もつ深い意味を鮮やかに示す。

感想・レビュー・書評

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  • 自分ならこうする。ぶれない軸をもった持論こそが、人への最高の教え。

  • 小学生の息子から、自殺をしても良いのか、と問われた著者は、自殺をしても良い場合があるとして2つの具体例を挙げて答えた。これは著者自身がさまざまな痛みを伴う人生の体験を通して探り得た自分だけの答えであり、決して学校教育で教えられる模範解答のようなものではない。私自身親として子供からこのような切実な問いかけをされたとき、ある種の覚悟を持って自分の言葉で答えることができるのか、しばし考えさせられてしまった。

  • 難しい。最近読んだ本が殆ど実学系のものばかりだったからか、この本は本当の評論という感じがしてとても難しい。学者、しかも哲学者の著作という感じ。自分の問題を作る、という一節があった。その方が学校の成績は良くなるとも書いてあった。著者もそこには反対の考えを述べている。これも今から20年以上前の本であることを考慮すると、この国では教育も殆ど変化ないんだな、と思う。
    自分で問題を発見し、仮説・検証を試み、解決の方向へ進めていく力、これは自分で切り拓き、身につけていくしかないのだろう。教育という言葉はどうも上からの施しのように聞こえて気持ち悪いが、自己教育とか訓練という言葉に置き換えて試行錯誤の中から自らの血や肉にしていきたいし、子供達にも勉強とはそういうものだ、ということを経験を通して実感していってもらいたいと思う。

  • 不明(白金)
    キャビネ保管(横浜)

  • ラジオの番組で紹介されていたので何となく読み始めてしまったのだけれど、示唆に富む、そして何度も反芻しないと自分のものにできない言葉がたくさんちりばめられている本だった。もう一度読み返したい部分に線を引きながら読むということを久しぶりにやった。

  • twitterでの高橋源ちゃんの紹介で重要なエピソードについては読んで、知ってたので、改めて読む楽しみはそれほどなかった。構成についての分かりにくさはあるけど、考え始めるヒントは沢山あるし、鶴見さんの語りの魅力は感じられた。

  • 著者の鶴見さんの半生を振り返りつつ、教育というものの真の意味にたどり着こうとする論考エッセイです。むずかしい言葉でがちがちになっていなくとも、ちゃんと物事の深みを表現して伝えることができるという良い見本のような文章でした。むずかしいことはむずかしいという部分はあるのですが、時間をかけて読むことできっとイメージはつかめるという感覚。巻末の芹沢俊介さんの解説を読むと、ああそうか、とそれまで読んできた言葉がすっと胸に入ってクリアになります。まず、痛みによる教育の試みだといいます。痛みは身体的なものも心的なものもどっちも。そうして、著者が自分で経験した痛みからくる教育を披歴していく。そこで読者は、著者の経験に自分の経験や記憶を照らし合わせて、自分の内に著者の考えを落としこんでいくことになる。

  • 第1章「教育とは何か」がたいへんいい。

  • 教育者養成にとってのたいせつなこと、子どもが好きだというのが、成績より前に来るのが当然、

    1,必要に応じた明晰、
    2,成長のゆとりをのこすあいまい、

     この二つの理想の共有、よむたびに胸をどきんとさせられるこの言葉たち。

     

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著者プロフィール

922−2015年。哲学者。1942年、ハーヴァード大学哲学科卒。46年、丸山眞男らと「思想の科学」を創刊。65年、小田実らとベ平連を結成。2004年、大江健三郎らと「九条の会」呼びかけ人となる。著書に『アメリカ哲学』『限界芸術論』『アメノウズメ伝』などのほか、エッセイ、共著など多数。『鶴見俊輔集』全17巻もある。

「2022年 『期待と回想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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