砂の文明 石の文明 泥の文明 (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006032470

作品紹介・あらすじ

二〇〇一年の9・11事件とアフガニスタン・イラク戦争に触発されて書かれた比較文明論。民族と風土のあり様を「砂の文明」としてのイスラム圏、「石の文明」としての欧米、「泥の文明」としてのアジアに分類。それぞれの文明の本質をネットワークする力、外に進出する力、内に蓄積する力であると述べ、この十年の世界の動向をふまえて「文明の衝突」論を批判し、「泥の文明」の可能性を追求する。

感想・レビュー・書評

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  • 三つの文明に分類して比較考察するという、大まかな構図には賛同できるが、新書・文庫本なので細部の例示、論証は少し雑なところがある。
    しかし、巨視的に世界(主にユーラシアだが)の文明を把握しようとするには大いに参考になる、刺激的な本である。

  • 世界の文明をその土壌の性質から分け、各文明の特徴を提示する試みが面白い。
    一方で、序論で提示された21世紀において
    「3つの文明の祖形はどういう意味を持つことになるのか」という問いに関しての答えは曖昧でやや期待はずれであった。

  • 最近歴史に興味があるので、普段はあまり読まないような本を読んでみた。

    歴史や、文化・文明には色位な捉え方があると思うが松本さんの捉え方も一理あるなと感じ、面白かった。

    #ポイントまとめ
    - 文明と文化の違い
    文明(civilization): 都市や国家の形成とともに生まれてきたもの、民族を越えて広がる
    文化(culture): 民族の生きるかたち

    - 3つの文明
    砂の文明: イスラム圏 「ネットワークする力」(砂漠起源)
    石の文明: 欧米 「外に進出する力」(牧畜起源)
    泥の文明: アジア「内に蓄積する力」(温暖湿潤な泥起源)

    ※1992年のロス暴動 最終的には、黒人の攻撃先は韓国人コミュニティになった => アジアの「内に蓄積する力」に対する反発

    # 日本の特徴
    - 江戸時代から都市化は進んでいた
    - 中国文明、インド文明の両方が混じり合う
    - 内に蓄積する力
    - 身軽な旅文化
    - 原理的技術を、高いレベルに押し上げる(外からの技術を取り入れる、相手用にカスタマイズする)

  • 2012-8-26

  • 中西輝政さんの『なぜ国家は衰亡するのか』において中国は「石の文明」である旨が記載されている。それってどういうこと?と思い、探した時に見つけたのがこの本。おそらく、文明のタイプのことを言っているのだろう。

    ということでMust Read!

  • 題名を見た瞬間にそうかー、と思った。
    石の文明の本質は自然を変えて外に進出する力、砂の文明はネットワークする力、泥の文明は自然を畏れ敬い内に蓄積する力。
    文明は文化をも乗り越えたものだから、確かに理解し合うのは難しいに違いない。
    でも、やはり多くの文明論同様ユーラシア大陸に限った話だから、500年前くらいから断絶があり、現代の全てを説明しきるには無理がある。
    最後のガンジーの美の抵抗の文明的意義も情緒的でよくわからなかった。
    砂の文明から見たら、砂漠は清潔なわけで、アジアの人がなんであんな「不潔」な所に住むのかわからない、という観点にはなるほど。

  • 砂の風土との戦い
    文化と文明の戦い
    石の文明 外に進出する力
    砂の文明 ネットワークする力
    泥の文明 内に蓄積する力
    「泥の文明」の中の日本
    文明としてのインド再発見
    「砂」と「石」と「泥」の現在

    石の文明
    外に進出する力 牧場 ヨーロッパ 
    砂の文明
    ネットワークする力 砂漠 アラブ アフリカ イスラム
    泥の文明
    内に蓄積する力 モンスーン アジア 

  • PHP新書初版という感じはする。
    著者の分野外の思いつき発想学。
    アイデアは和辻哲郎で、ご本人は違いを指摘していますが、そもそもアイデアこそ99%重要。
    意味もなく上野千鶴子と同僚だったことを自慢したり(上野自身は、その女子大に勤めていたことを恥ずかしいと思っているが)していることに代表されるが、時折入る自慢っぽい発言はわずらわしい。
    知識はあるのだろう。
    その知識をひけらかすのはどうだろうか。
    発想はおもしろいが、めあたらしくもない。

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著者プロフィール

松本健一(まつもと・けんいち)
1946年群馬県生まれ。東京大学経済学部卒業。
現在、麗澤大学教授。評論・評伝・小説など多方面で活躍中。
2011年3月11日におきた東日本大震災のときの内閣官房参与として、
『復興ビジョン(案)』を菅直人首相(当時)に提出。
著書に『白旗伝説』『北一輝論』(以上、講談社学術文庫)、
『近代アジア精神史の試み』(岩波現代文庫、アジア太平洋賞受賞)、
『開国・維新』(中央公論新社)、『砂の文明・石の文明・泥の文明』(PHP新書)、
『評伝 北一輝』(全五巻、岩波書店、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞受賞)、
『畏るべき昭和天皇』(新潮文庫)、『天国はいらない ふるさとがほしい』(人間と歴史社)、
『海岸線の歴史』(ミシマ社)など多数ある。

「2012年 『海岸線は語る 東日本大震災のあとで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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