孤独死――被災地で考える人間の復興 (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006032524

作品紹介・あらすじ

誰にも看取られず、仮設住宅のなかでひっそりと消えていくいのち。ようやく生き延びたのに、なぜ?阪神・淡路大震災後、仮設住宅地に診療所を開設し、患者一人一人に寄り添ってきた著者は、不遇な死を遂げた被災者の生前の足取りを追い、人間疎外の現実を繙いていく。その後日本社会全体が直面することになる「孤独死」の問題にいち早く着目し、弱者切り捨ての実態を鋭くあぶり出した渾身のレポート。

感想・レビュー・書評

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  • SDGs|目標3 すべての人に健康と福祉を|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/719241

  • 震災と、それによって窮地に立たされ孤独死を迎える人々の現状について、医療現場からの視点で記述されている。
    震災復興を考えるにあたり忘れてはならない視点を思い出すための本。

    亡くなる前、延命治療をしながら遺書を書き残した被災者の事例がとくに心に残った。
    被災地という状況において、死ぬ前に本人の意志で活動させてあげられること、たとえば望まない一人での死を防ぐためのケア・アウェアネスが行き届くようにすることが重要であると考えた。

    現代日本の冷たさ、スピードがゆえに置いていかれる人、そのような人々を置いていかざるを得ない周りの人についてもたびたび言及されているが、難しい、しかし考えられなければならない問題であると感じた。

  • 「いわずもがなのことだが街の活性は、無機質のコンクリート・ジャングルによるのではない。人の息吹そのものではなかろうか。」

  • 貧困を襲った自然災害をめぐって濃密な記述が続く。地を這うような筆致。支援者のミクロの視点だ。政策者のマクロの視点ではない。

    社会のゆがみと個人の考え方のゆがみの双方が描かれ、そのどちらの改革も困難を極めるのだ。

    ところどころやりきれない悲憤がほとばしる。それは支援者だからだろう。支援は実り多いが、社会は無関心であることを感じるからだろう。それでも私も支援者でありたい。支援する限りバイブルとして携帯したい一書である。

  • 阪神・淡路大震災後の仮設住宅地域で診療所を運営していた医師による孤独死を論じた本。孤独死の提唱者的存在のようで、地震を機に急転直下で孤独死に至った人たちの事例は身につまされる。病気を抱えたあげく焼身自殺した50歳前の女性の事例などは気の毒だと思った。
    しかし、その一方で問題は孤独死ではなく、孤独に生きなければならない状況だろうとも思う。孤独に生まれ、孤独に死んでいくのが人だというし、こと切れる瞬間に一人かどうかはどうでもいいこと。それまで何のサポートもなく、死に至ってしまうことが問題だろうし、さらには懸命にサポートしても、そのサポートが相手に響かないこともある。こう考えると、一人で生き、死んでいく覚悟を決めておくことが大切なのではないだろうか。

  • 孤独死というのは独居死ではない。貧困、疾病、人間関係などの基本的な要素が重複して、孤独な死を迎えるのだ。
    死後数日に発見・・・というばかりが孤独死ではない。
    内容よりむしろ、著者の生き方、考え方に感動を覚えるかもしれない。
    人間愛にあふれた医師などなかなかいるものではない。

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