老いの空白 (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006032791

作品紹介・あらすじ

現役をリタイアした後、長い時日を過ごすのは人類初めての経験なのに、その文化はまだ空白のままだ。未曽有の超高齢化時代を迎え、"老い"に対する我々の考え方も取り組み方も変化せざるをえないのに、"老い"が「問題」としてしか論じられてこなかったことこそが問題なのではないか。「日常」「アート」「顔」など身近な問題を哲学的なテーマとして論じてきた第一線の哲学者が、現代社会の難問に挑む。

感想・レビュー・書評

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  • 鷲田さんの本はときどき、これしかない、というくらいに読みたくなる。本書は新しく文庫になった本ということで偶然読んでみたけど、思いもよらず、鷲田さんのなかでもいいなぁと思えた本。
    こういう言葉を待ってたって、読んだあとでそんなふうに思える言葉に出会えたから、もうそれだけでこの本を読めてよかったと思う。そう、成熟とか、老いというのが、本当にせまい意味でしかいまはとらえられてないと思う。老いの意味を積極的に見出そうとする、そんな作業が必要であって。

  • 哲学、というものも面白いな、と最近思う。
    また改めて読んでみようと思う。

  • 私は若くて、周りからは「成長」の話をよくされます。
    でも、「成長」より「成熟」のほうはどうなのか、最近は気になっています。
    この本は「老い」についての本だけど、「老い」を分解していった先にあるいろんな要素、「できなくなる」「疲れる」とか「成熟」とか、人間として私も感じたことはある。
    できるつもりの自分との乖離とかいつも感じていてそれで疲れてる。
    「老い」を介護とか延命とかの高齢化社会の「問題」に限定して捉えず、人間的な生活のひとつの側面として扱っている本です。

  • 『「ラーニングフルエイジング」とは何か』>「第4章老いと学びの共同性」梶谷真司より。

  • 老い似ついての鷲田清一さんの本。ことばの使い方が繊細でわかりやすい。
    老い、よわいということ、介護、痴呆、、いろいろなことを哲学的に?解釈。
    プロ〜という前にという接頭語の話と、弱さのはつよさを失ったのとではなく、、、のいう話、面白かったので個人メモに引用。

    目次は下記に
    老いの空白
    目次

    はじめに
    1〈老い〉はほんとうに「問題」なのか?
    あたりまえの視点/「介護問題」としてせりだしてきた〈老い〉/〈老い〉をめぐる固定観念/高齢者介護の歴史的経緯/〈ケア〉についてのこれまでの語られ方/かつてこんな〈老い〉があった
    2できなくなるということ
    〈老い〉の重なり/〈老い〉の気づき/できなくなったという意識/〈老い〉と疲労
    3〈老い〉の時間-見えない〈成熟〉のかたち
    「大人」になれない社会?/成熟と成長/プロスペクティヴな時間/成長と衰弱というメタファー/消えた〈成熟〉のモデル/〈成熟〉の時間とは?/まとまらない時間
    4〈弱さ〉に従う自由
    〈老〉と〈幼〉の対称性/〈反世界〉のまなざし/他なるものの受容/「定年」はモデルにならない/みずからの存在への問いにさらされる?/「できない」ということ・再考/シュノイキスモス/相互依存と協同/「弱いもの」に従う自由
    5ホモ・パティエンスーべてるの家の試み
    「弱さを絆に」/奇妙なクリニック/「苦労をたいせつに」/「安心してサボれる会社」/語りあうことの意味、「再発」することの意味/「ひとりで勝手に治るなよ」
    6肯定と否定のはざまで
    「できない」ということ・再々考/「ある」を起点に/暴力としてのケア/逃げ場のないループ/置き去りにするケァ/ケアにおける「専門性」
    7「いるだけでいい」「いつ死んでもいい」と言い切れるとき
    「無為の共同体」/非全体性の思考/高貴なまでのしどけなさ/意味の彼方/「痴呆」というあり方/通り抜けるものとしての家族、あるいは「その他の関係」/受けとめと付き添い/選ばれるということ

    エピローグ 一枚のピクチュアへ
    あとがき

  • 無謬性への強迫観念への対処法など全く分からない.老いというものの本質を哲学的方法から追究する,難解な書.10年後に再読した際,どのように感じるだろうか.

  • 「社会」に分類されていますが・・・・「哲学」です。
    鷲田清一氏の哲学は好きです。
    ただ、この書物についてはまだまだ迷走されているようで、正直、あまりよくわからなかった。

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著者プロフィール

鷲田清一(わしだ・きよかず) 1949年生まれ。哲学者。

「2020年 『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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