新島襄 (岩波現代文庫)

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著者 : 和田洋一
  • 岩波書店 (2015年10月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006032944

新島襄 (岩波現代文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 戦前同志社で学び、戦後同志社で教鞭をとった著者が、等身大の新島像を描こうとしたのが本書である。その背景には、60年代の大学拡張期(高度経済成長期)に「学生たちは、新島襄が使命感に燃え、祈祷の中で神に祈りを求めながら同志社を創立し発展させたことについて、教えられないまま大学を卒業していく」状況があったようだ。

    従って本書は、日本近代のあけぼのの時期に、目標をはっきりと見定め、迫害・抵抗勢力にも屈せず、日本を「良心」溢れた「自治自立」の人民の国にするため、人民の手に依って設立する大学の実現にすべてを投じてきた、彼の真摯な姿勢と強い意思と行動力が描かれている。それは「新島襄はいったいそんな偉い人だったのか」と著者が同志社中学時代に疑問を呈した新島観とは、全く反するものと言っていい。

    新島が敬愛される理由は、同志社創設者やキリスト教宣教師としての面もさることながら、むしろそれらを支えてきた高潔な人格と日本国民を愛する一途で真摯な姿勢と行動力にあるように思う。新島の人格に触れた人物評伝は枚挙にいとまがない。
    浮田和民は「自分たちは先生をいじめたけども、然し先生の誠意親切は我々も深く感じたわけで、此点先生の人格については勿論深く信頼を有っていた」(p.198)という。
    徳富蘇峰は「人間の価値は奉仕する心の純潔と熱誠とに依って、定まるものであるという事を教えたのは、新島先生である」(『蘇峰自伝』)そして「未だ新島襄の如き、真醇熱烈なる愛国者を見たことは無い」(『新島先生と徳富蘇峰』)と評している。

    新島は1890(明治23)年、最後の正月に病床にて筆をとり、最後の七言絶句をしたためた。
    「送歳悲しむことやめん/病弱の身鶏鳴はやすでに佳辰を報ず/劣才たとい済民の策に乏しくとも/なお壮図を抱いて此の春を迎う」

    最後の最後まで、「良心」に満ち溢れた国民を養成する大学の設立を願って止まなかった。それは、日本を愛し、日本国民を強く愛するが故の私立大学の設立であり、当時の国家の為の大学(官立大学)ではできない教育であった。柏木義円は「(新島は)利害の人に非ずして主義の人なり」と評し、その主義とは「日本を英仏米の水準にまで高めようとする志に支えられたものにほかならない」と評した。
    当時と同じように価値観が流動的な今の時代に生きる者にとって、「良心」に裏付けされた「主義」をもって生きることの大切さを改めて教えてくれるように思うのである。

  • 新島襄の名前は知っていたが、どんな人で、どんなことを行った人であったかは知らなかった。
    そんな人にぴったりの入門書だと思う。

    新島襄は苦労もしたが、比較的恵まれた人生を過ごした人だと思う。彼の生活費がアメリカのボードからの寄付金で賄われていたことに驚いた。けっこう裕福な暮らしをしていたようで批判もあったようだけど。

    一番印象的だったことは、彼がキリスト教主義学校を設立することにかけた情熱だ。こんな熱い思いで作られた大学だと今の学生は知らないと思う。全同志社の学生に読んでもらいたい本。

  • 距離を置いた視線に好感が持てた。偉人伝ではない。ヒトとしての新島が理解できた。命を縮めるほど苦労があったのだということも、よくわかった。

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新島襄 (岩波現代文庫)の作品紹介

同志社大学の創立者新島襄は、キリスト教の信仰と伝道に生涯を賭けた宗教家、教育者。幕末に脱国してアメリカに渡り、西洋の文化、学問にふれた青年は、日本で最初のキリスト教主義大学の設立を決意する。帰国後、多くの困難、迫害に立ち向かいながら、布教と学校設立に挺身する。その人と思想は、日本の近代思想、教育に多大な影響を与えた。本書は、様々な資料を使いながら、新島襄への共感を込めて描かれた最良の評伝である。

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