かもめが翔んだ日

著者 :
  • 朝日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784021000812

感想・レビュー・書評

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  • 【概要】
    リクルート創業者の江副浩正氏の①生い立ち②リクルートの成り立ち③ダイエーへ株式譲渡までが、江副氏の目線で書かれた著書。

    【内容・詳細】
    天才的な発想でリクルートを鮮やかに大企業へと成長させる江副氏の手腕とともに、後半では経営が傾いたリクルートが会社も人も自分の手から離れていくかのような孤独さ、切なさすら感じとれる一冊である。

    当時の生々しい会話内容などが原文ままではないという注釈はあるもののリアルに再現されているのが特徴である。
    ※なお、リクルート事件に関しては触れられていない。

    【こんな人にオススメ】
    ・リクルート(江副氏)の生い立ちを知りたい。
    ・経営者の苦悩、リアルを知りたい。

  • ・買った経緯
    独立したい〜!と思ってたら時期
    ・買った理由
    ベンチャーの歴史とかこれからを感じたかった。
    ・のこってる感想
    なぜかブルーハーツ思い出す。

  • ①リクルートの草創期と、②江副氏によるダイエーへの株式譲渡(そして引退)の内幕、の2本立て的な内容。

    起業家の下積み時代に、広告の営業そして唯一の趣味になったスキーをつうじて内向的で地味な性格だった江副氏が徐々に変わっていくさまが興味深い。
    同社の特徴である社内ベンチャー的な仕組みについて、氏は「私にはカリスマ性もなく、会社が大きくなるにしたがって経営が辛くなってきた。だからなるべく任せようと思った」と述懐している。今どきのありがちなリーダーシップ論とは対極に見えつつ、一方で最も先取りしていたともいえる。

    総じて、1980年代のビジネス常識・倫理はいろいろな意味で今とは大きく違うものだったのだなというのが読後感。著者がそれをブレークスルーしていった風雲児であり、昭和史を代表する経営者の一人だったことは間違いない。

    バブル前後を振り返る歴史教科書としても価値のある一冊であった。

  • リクルートの創業者江副浩正氏の著書。生い立ちとリクルートのこと、ダイエーへの株譲渡への一部始終のドキュメントと3部構成になっています。

    大学新聞での広告事業を譲り受けて起業した江副氏がアメリカの就職冊子リキャリアをみて、企業への招待を大企業はほぼ無償で創刊して事業を軌道に乗せ、様々な情報誌を発行していく同社ですが、PC制や事業プランコンテストのRINGなどは色々な情報を取得した中から施行したものであるとかドラッカーに強く影響を受けていることも本書を読んで知りました。

    あとリクルートコスモスとファーストファイナンスの人の思惑が複雑に絡んでそれに対する江副氏の葛藤は凄まじいものがあると感じました。各社社長、役員、マスコミ、同社社員、中内氏と様々な方の思いが交錯するなかでリクルートらしさを失わせない判断をしたことが今日の姿に繋がっていることを感じたと同時に今話題となっているダイエーの中内氏の懐の深さとダイエーの躍進を感じて、時代の変遷というものも読み取ることができました。

    読んで感じたのはカリスマとして扱われる氏が幾多の失敗をしてることや同社の社員から学びとっている描写が多く、非常に他者からの影響を強く受けている印象を受けました。

    日軽金ビルを取得してから同社の知名度があがったこと、企業への招待を創刊するときや読売が参入してきて住宅情報に危機が訪れたりと幾多の危機を乗り越えてきたり、その後1兆2000億もの借金を江副氏なくして返した同社が今般の上場でどういう軌跡を描くのか楽しみになる一冊でした。

  • *****
    江副さんの生い立ちからリクルートの成長の軌跡、
    そしてリクルート株を手放すまでを本人が綴っている。
    リクルート事件には触れていない。
    *****
    起業家精神豊かなリクルートのDNAは、自社が生き残るために必然的に生まれてきたものだったのだろう。そのために必要な制度仕組みは合理的に作ってきたに違いない。その制度仕組みに魂を入れられたのは、江副さんや他の創業メンバーの生き方そのものにあった、はずである。
    *****

  • 本書はリクルートのファウンダー江副氏の回顧録であるが、まるで経済小説のような話の展開にフィクションでは?と感じてしまった。特に後半のコスモスとFF(ファーストファイナンス)の不良債権の対応とダイエーの中内氏への株譲渡の話は緊迫感があった。関係者は全員リクルートのためを思っているけれど、立場が違えばそれぞれ考えも異なる。このような場面でリーダーとしてどのような決断をしたのか、江副氏の分析はとても参考になった。

  • リクルート事件によって、リクルート及びリクルートコスモスのイメージが悪化、それに加えてバブル崩壊も追い打ちとなり、リクルートはダイエーに身売りされることになった。かもめが翔んだ日とは、リクルートのシンボルマークがリクルートからなくなったことを指す。

    リクルート創業者江副に対する検察の強引な捜査手法は、その自白の信憑性や人権に対する侵害の疑義が向けられるきっかけともなった。堀江貴文の検察批判に伴い、このリクルート事件の顛末に再度注目が集まっている。

  • ★広告、土地、ダイエーとのかかわりが赤裸々に★江副ウイークの締めは最初の著作で。広告をニュースにする「リクルートブック」のビジネスモデルはいまの「ホットペッパー」に貫かれている。かつては取り次ぎを通さない販路を開拓するために本の売り上げをそのまま書店に渡しており、リクルートにとってはもともと販売収入はゼロだったと知った。
     社風は良く言えば外資系の実力主義、悪く言えばサークルの乗り。20年ほど前に会社をのぞいたとき、垂れ幕がひしめいていたのを思い出した。合わない人は徹底して合わないだろうが、こういう社風を作り上げたこつは分かるようで分からない。江副氏自身はそれほどカリスマがあるわけではなさそうに見えるのだが、実態は随分違うのだろうか。その後のリクルートの急成長でもカリスマがいる風ではない。大企業病に陥らないのはすごい。フィードバックの徹底や車内に小さなプロフィットセンターを作ることがそれほど機能しているのか。
     コスモスやファーストファイナンスの苦境からダイエーに支援を求めたときの悩みは生々しい。依頼をほぼ丸飲みした中内氏の太っ腹には驚かされる。ちょうどこのころ(94年)に見た江副氏はあまり元気がなかったが、事件以上にこの問題の処理でやつれていたのかと今になりようやく知った。
     全体を通して、江副氏はバブル崩壊前までは土地・建物で含み益を膨らませ、その後手痛い目にあったことが分かる。だからこその土地に関心が高いのだろう。創業初期には株でもうけたことも知った。

  • ■概要
    リクルートの創業者、江副浩正氏の自伝。
    3章構成で、1章は子ども時代から東大時代、2章は大学卒業後、リクルートの立ち上げと発展、3章は「ダイエーへの株譲渡」というタイトルで、
    リクルート事件後の出来事が記されています。

    ■仕事に活かせる点
    「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という社訓、それから
    「外酒、外飯」(極力社外の人と飲み/食事に行くこと)という言葉が記憶に残りました。

    「就職情報誌」という新しいメディアを作り出していく過程や、リクルートが独自の求人や取組みを行なっていくことで着々と成長を遂げていく様子は、
    仕事の悦びを感じさせるものでした。語り口が淡々としているのが少々もどかしいくらい、熱い思いやエネルギーを持っている方なんだろうなと思います。(さわ)

  • リクルートのDNAが出版されるまでは希少本として
    amazonで数千円で売り買いされていた本。
    江副さんの生い立ち〜R事件〜ダイエーへの株式譲渡までを
    描いた自伝的内容。
    個人的に現在Rで働いているのはこの本を読んでしまったから。
    そんな因縁(笑)深い本です。

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