インディアナ、インディアナ

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制作 : 柴田 元幸 
  • 朝日新聞社 (2006年5月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022501875

インディアナ、インディアナの感想・レビュー・書評

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  • 時計の振り子がゆっくりと左右に大きく振れて、向こう側がうっすら透ける扇形の白い幕を広げては閉じてゆく。そこへ描き出されるのは水底に沈んでいた記憶の断片で、明確で鮮明な輪郭をもった水彩画の趣がある。ときおり血が迸る。炎が吹き上がる。憤怒と悲嘆が垣間見える。失われた物と喪われた人の面影ばかりがひるがえってひらめく。けれども、その一幅一幅がどうしようもなく美しくて私の目には涙が滲んでしまう。
    いとしいノア。いとしいオーパル。
    二人が交わした色褪せない言葉の花びらが瞼の裏で止まない雨のように降りしきっている。

    私はこれまで起きた出来事をできるだけたくさん覚えていたい。それが繋がるのが明日なのか一カ月後なのか十年後なのかわからない。そのいつかのために覚えていたい。

  • 主人公のノアの記憶の中をゆっくりと行ったり来たりしながら、人物の関係性や過去が次第に明かされていく。
    問題を抱えた人間の純粋さや生きにくさが哀しいが、この物語は、とても美しい。

  • まだ新しいのに絶版なんですね
    『優しい鬼』がとても好きだったから、探してみたらすでに絶版で中古でなんとか手に入りました。

  • 切れぎれの回想、現在のノアの心理、ノアの父ヴァージルや母ルービーをめぐる一連の奇妙な逸話等々…。年老いて病んだ男の人生の喪失感とユーモアが美しい、人気翻訳家が惚れ込み、ポール・オースターも絶賛の本邦初翻訳小説。

    友人に勧められた作家/訳者だが、勧められた作品が図書館になかったので、同じ作家/訳者の違う作品を読んでみた。残念ながら何の魅力も感じず、久しぶりに途中で断念。
    (E)

  • -思い入れの深い訳書を挙げて下さい
    たくさんありますが、レアード・ハントの『インディアナ、インディアナ』を挙げます。僕が翻訳した中でも、とても美しく、悲しく、素晴らしい本です。そして、一番売れなかった本のひとつです。

  • どこを切ってもきれい。あとがきで、柴田さんが数年前、これだと思ったアメリカ作家3人にケリー・リンク、ポール・ラファージ、レアード・ハントを挙げているけれど、そのなかでも情感を揺さぶる鼓動をいちばん強く感じた。モノクロの風景の中に、ぽつんと取り残されたような寂寥感。透明度の高い文章に、ゆったりと浸る感覚。ちょっと不思議な手触り。もちろん、いい意味で。

  • 最後まで「いつになったら真相の種明かしが・・・」と思いつつ結局明確なみちしるべなく。ふつうだったら投げてしまうところだがなぜだかさいごまで(休憩をはさみつつも)ストレートに読ませてしまう謎の引力。

  • 「インディアナ、インディアナ」(レアード・ハント:柴田元幸 訳)読み終わった。いいね。いいね。静かに静かに降り積もる雪のように、彼の紡ぎ出す少し切ない文章が積み重なり折り重なって独特な世界を創り出している。久しく忘れていた、包み込まれるような沁み込んでくるような感動に出会った。

  • 薄い薄い膜に包まれた世界。
    そこには哀しみと少しの喜びと静謐さが詰まっていて、僕らは眺めることはできるけど、それに触れることはできない。
    でも、実は僕らの中にもそれは。

  • 失われたものへの想い。少しずつ明らかになる過去。お気に入りの一冊です。

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