ネット時代10年後、新聞とテレビはこうなる

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022502322

作品紹介・あらすじ

二〇一一年に予定されているテレビ地上波の完全デジタル化。数年後、テレビがネットにのみ込まれるや、その余波は新聞にも及び、ついには、日本のメディアはすべてネット上の仮想空間「eプラットフォーム」に吸収されていく。その時、新聞社もテレビ局も、メディア(媒体)という性格を失い、コンテンツ・プロバイダー(番組供給、記事配信)に後退せざるを得なくなる。ジャーナリズムは生き残れるのか。広告はどう変貌するのか。新しいメディアの盟主は現れるのか。著者・藤原治がリアルに描写する日本メディアの近未来。いま全マスコミ人が抱いているインターネットに対する「漠たる不安」が現実のものになる日は本当にやってくるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 2021/06/25

  •  
    ── 藤原 治《ネット時代10年後、新聞とテレビはこうなる 200702‥ 朝日新聞社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4022502320
     
    ── 藤原 治《広告会社は変われるか ~
    マスメディア依存体質からの脱却シナリオ 20070217 ダイヤモンド社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4478550212
     
     Fujiwara, Osamu 1946‥‥ 京都 /東大法学部卒、慶大大学院経営管
    理研究科(MBA)修了。1972 電通入社、新聞雑誌局地方部に勤務。1988
    世界平和研究所に出向。その後、電通・経営計画室長などを経て、2004
    電通総研社長兼電通・執行役員(2005 常務執行役員)就任。2006 退社。
     
    >>
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170925-00000001-withnews-bus_all
     電通過労死「落としどころ用意されていた」
     元役員、実名で“最後の独白”「現場が力を持つ独特の体質」
    (20170925)
     
     新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労自殺し、労災認定さ
    れたことに端を発した電通の違法残業事件。9月22日に開かれた初公判
    で電通の社長は「ご本人、ご遺族の方々に改めておわび申し上げます」
    と謝罪をしました。電通元常務執行役員の藤原治氏は「初めから落とし
    所が用意されていたとも思う」と言います。「電通の恭順の仕方は、過
    剰とも思えるほど」。かつて経営の中枢にいた電通元役員。”最後の独
    白”が訴えることとは?(朝日新聞記者・高野真吾)
     
    【マンガ】命より大切な仕事って…〝30秒で泣ける漫画〟の作者が描く
     電通社員の過労自殺
     
     マスコミ報道「扱い方、異常」
     
     ―9月22日に違法残業事件の刑事裁判が開かれ、出廷した電通の山本
    敏博社長は「企業のあるべき責任を果たせなかった」と話しました。社
    長自らが出廷する刑事裁判を古巣の電通が引き起こしたことを、どのよ
    うに捉えますか。
     
    「ヒト1人の命を奪う事件を起こした訳ですから、電通はこれまでの姿
    勢を改め、今後は遵法(じゅんぽう)精神でいくのでしょう。ただ、7
    月下旬に発表された『労働環境改革基本計画』を見ましたが、完璧すぎ、
    実行すればするほど、クライアントから文句が出ないかと恐れます」
     
    「さらに付け加えると、この初公判も含め一連の事件に対するマスコミ
    報道の扱い方は、異常だったとはっきり申し上げたい。昔の広告会社は、
    職業として三流扱いされていました。それが、経済のソフト化の流れに
    乗って広告会社は成長を遂げ、そのトップ企業である電通は誰もがうら
    やむ会社になりました。給料の高さや、一部社員の派手な振る舞いとい
    う要因もあるでしょう。良い意味でも悪い意味でも電通は目立つ、マス
    コミ受けする会社だということなのでしょう」
     
     電通「恭順の仕方、過剰」
     
     ―将来のある新入社員が過労自殺した事実は、その背景を含め広く世
    間に伝える必要があると思いますが?
     
    「社会正義の意識で報道してきた社もあるかもしれませんが、多くのマ
    スコミが新入社員の特性に飛びついたという側面は見逃せません。最高
    学府の東大卒であり、目立つ容姿の女性だったことです。また、安倍政
    権は『働き方改革』を目玉政策にしています。長時間労働を減らそうと
    議論している中、電通の行いはそれに逆行していた。電通をスケープゴート
    扱いにした感すらあります」
     
    「かたや電通の恭順の仕方は、過剰とも思えるほどでした。社員が過労
    自殺した他社の例からすると、今回の事件で社長の辞任などあり得ませ
    ん。略式起訴され、せいぜい現場責任者の首が飛び、さほど多くない罰
    金で終結するケースのはずです。ですが、電通では正式な刑事裁判が開
    かれ、今年1月に社長が石井直さんから山本敏博さんに交代しました」
     
     東京五輪控え「初めから落とし所が用意されていた」
     
     ―私が取材した複数の現役社員からも、藤原さんと同じようにマスコ
    ミはどうしてここまで報じるのか分からないという声を聞きます。
     
    「電通の仕事は、黒子です。広告を通して、クライアントを有名にしま
    すが、自分たちにはスポットライトはあたらない。だから、騒がれるこ
    とに慣れていない面があります。その上、クライアント命の客商売の会
    社です。電通が社長交代に乗り出したオーバーリアクションは、広告会
    社ならではとの感想を抱いています」
     
    「一方、広告業界に精通した私からすると、初めから落とし所が用意さ
    れていたとも思うのです。2020年に東京オリンピックがあるからです。
    東京五輪は、電通抜きにはできません。電通を追い詰めすぎ、公(おお
    やけ)の仕事ができなくなると、東京五輪も空中分解しかねません。厚
    生労働省や東京地検は、振り上げ拳での追及の手を緩めないでしょう。
    ですが、色々な力学のもと、『そこそこ』での手じまいがある時点で
    『ビルトイン』されていたはずです」
     
     社員「優秀だけに面従腹背する」
     
     ―東京五輪絡みの話の真偽は私には分かりませんが、電通は自社の
    「働き方改革」に取り組んでいます。7月下旬には、先ほど藤原さんが
    話に出した「労働環境改革基本計画」を説明しました。
     
    「ペーパーを拝見しましたが、一読するに管理部門の『社内官僚』が、
    机上の理想論をまとめたに過ぎないと感じました。最初の方に、『法令
    遵守(じゅんしゅ)・コンプライアンスを徹底』と出てきますが、仕事
    の中身を変えない限りは、現場は今までのやり方を続けざるを得ない。
    電通の社員は優秀です。仮に管理部門が締め付けを厳しくすると、面従
    腹背で表面上は従うけど、こっそり抜け道を探すでしょう。そうしたこ
    とにならないか心配です」
     
     ―今年2月には外部識者3人を呼び「労働環境改革に関する独立監督委
    員会」を設け、「助言および監督、ならびに施策遂行を通じた改善実態
    の検証を行う」としています。
     
    「有名な人を呼んで格好をつけるという、広告会社らしいやり方です。
    自分たちでできる自信がないからでしょう。外部識者たちが、きちんと
    広告会社の現場の仕事を分かって助言、監督、検証をしているといいの
    ですが…」
     
    「現場が力持つ独特の企業体質」
     
     ―先ほどからお話の中に、「現場」という単語が頻出します。
     
    「私は1972年に電通に入社し、34年勤めた後、2006年に退社しました。
    最後の肩書は、本社の常務執行役員と電通総研の社長の兼務でした。入
    社時に新聞雑誌局で地方紙を担当し、15年ほど現場で経験を積みました。
    電通は現場が力を持っている独特の企業体質です。指導者は、その現場
    の働き方や思いが分かってないと、電通という会社を動かせません」
     
     ―藤原さんは電通を辞めた翌年の2007年に「広告会社は変われるか」
    (ダイヤモンド社)を出版しています。
     
    「本の中で、広告会社は2010年代に経営管理の抜本的な見直しを迫られ
    ると予測しました。従来型の経営管理では、ネット広告のビジネスに対
    応できないからです」
     
    「その2010年代半ばに東大の後輩でもある若い女性が、まさにそのネッ
    ト広告の部門で長時間労働を苦に自殺してしまった。近年の私は、電通
    OBの集まりにも一切出席せず、娑婆(しゃば)から離れ、静かに哲学書
    や美術書を読みふける日々を過ごしていました。しかし、今回の事件は
    とても他人事として放置することはできません。顔出しでインタビュー
    を受けることは、もう最後になるでしょう。元電通幹部として、自責の
    念を抱えながら、私が知る電通の全てを洗いざらい『遺言』として語り
    ます」
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    (20170925)
     

  • 13019

    新しいメディア、さあどうする…30年前みんなが頭を悩ませた〜中本正勝他編著『情報で町づくり』
    図書館で地域活性に関する本を探していたらまさにぴったりのタイトルの本が見つかり、借りてきて読んでみたら80年代後半に出版された本でした。30年近く前かよ・・・。

    当時の社会のIT化(そのころはマルチメディア化といった)への取り組みの実例が本書には列挙されているが、会議に会議を重ねた末、出てきた結論は商品の流通VANだとか、駐車場案内システム、CATVなどが精一杯というところだったようだ。いや、あの頃はそれでも大革命だったんだろうけど。牧歌的な時代でしたねえ。

    本文中、コンピューターをどう使うかについて識者が語るコメントには、いわゆるオカミからの標語みたいな大層なフレーズは頻出するのだが、具体的に何をどうしたいというところはほとんど出てこない。新しいものにうとい一般庶民はそれを聞かされてもますますそっち方面には興味をなくすんじゃないかみたいな・・・。

    マルチメディアという言葉が出てきたということは逆にいえばそれまでの社会は単一のメディアによって動かされていたわけで、情報は新聞・テレビのような大企業、権力側から一方通行に流されるものとされていた。そんな状況ではコンピューター利用についての発想の貧弱さはまあ仕方ないところでしょう。いきなりコンピューター回線でエロ画像を流そうなどと考える人もごくわずかでしょうし。

    マルチメディアの新たな利用法が開発されるには。その後のインターネット隆盛などによる世の中の変化を待たなければならなかったわけです。僕が見てきた感じでは、その変化、つまり「面白い使い道」は、お役所主導というよりも、ネット上の名もなき2ちゃんねらーやユーチューブ、ツィッター、SNSのメンバーたちが作っていった印象が強い。

    この本はC&C文庫の一冊、発行はNEC日本電気文化センターになっている。当時はパソコンメーカーが出版業に乗り出すほどコンピューターの分野は急成長分野だったことがうかがえる。

    ちなみにC&Cとは「コンピューター&コミュニケーション」を意味する頭文字。たしかNECの社内報タイトルにも使われていたはずだ。当時僕はこの社内報づくりに関わっていたことがあったが、制作にはDTPなんかいっさい使わず、下請けの印刷会社が活字を切ったり貼ったりの原始的な方法でつくっていました。ま、パソコンで世の中が変わると大合唱してたわりに実際はそんなものでした。

    http://rcnbt698.blogspot.jp/2013/02/blog-post.html

  • bk1の紹介文《アナログ地上波の停止が一大契機となり、201X年、誰も予想しなかった出来事が起こる…。新聞とテレビがネット上の仮想空間「eプラットフォーム」にのみ込まれる日を、綿密なデータを駆使して大胆予測。》

    新聞がネットを飲み込むという可能性は?まあ、いまの力関係では無理そうですか。

  • 2008年の現在でも、新聞はどんどんネットに替って行っています。

  • アナログ地上波の停止がもたらす変化について予想した本。なんだか想定内の変化という感じですね。ここ数年の変化から感じるに、もっと意外な変化が起こってくるのではないでしょうか?いや、起こって欲しい。図書館予約数は2(07/05/10現在)です。

  • 新聞やテレビなどのメディア業界の動向をつかむためにはお勧めの一冊。
    新聞やテレビの業界構造、課題、IT革命の波が押し寄せる中、身動きのとりにくい事情を分かりやすく解説しています。

  • んー、目新しいことは何も書いてないなあ。ここで提唱している「eプラットフォーム」ってネーミングも数年前にどこかで聞いたことがあるような…。

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著者プロフィール

藤原 治
藤原 治:国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター研究企画室長

「2015年 『津波堆積物の科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤原治の作品

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