北朝鮮へのエクソダス―「帰国事業」の影をたどる

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制作 : 田代 泰子 
  • 朝日新聞社 (2007年5月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022502551

北朝鮮へのエクソダス―「帰国事業」の影をたどるの感想・レビュー・書評

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  • 北東アジアの国際政治に現在進行している危機の中に今もこだましている。
    北への帰国者の大半が実は北でなく最南端、済州島の出身者だった。韓国に言わせれば、自分たちこそ半島における唯一の合法政府である朝鮮人はすべて自国公民であり、自国の中の一時的に敵の領土下にある地域に自国公民を帰国させることなど問題外としかいいようがない。
    総連が帰国についての噂話をあれほど急速にそして効果的に広めることになったのが民族学校のネットワークである。帰国準備のためにあちこちで朝鮮語の学習が始まった。

  • 帰国事情がそれまで建前としては「日本人」として単純労働力として利用していた韓国・朝鮮人を政府の負担を減らすため日本から追い出すための政治家発・官僚立案による陰謀であることはあまり驚かないが、それに「人道的」な理由づけをするために赤十字が関わっていたというのはかなり衝撃的。

  • 1960年代に活発化した、日本から北朝鮮への「帰国事業」をたどる本。在日朝鮮人を「危険因子」と見なして「厄介払い」したい日本の保守派、「帰国」を「支援」することで自分自身の中に「人道主義」を見出して安心したい日本の革新派、そして朝鮮総連に日本赤十字社などなどの各者の利害がある程度一致してしまったために、「帰国事業」はあんなにも「盛り上がり」を見せてしまった、ということでしょうか。「日本のサヨクは『帰国事業』を煽っていたくせに、その過去に頬被りをしている」といった批判がある種の人々から時々聞かれますが、そうやって「サヨク」だけに罪を押し付けようとすることがいかに不当であるか、ということが本書を通してわかります。(たとえもっと洗練された言い方であったとしても)「社会の邪魔者を〈ソト〉に排除する」という点で、右も左も含む多くの日本人たちが協力して、「帰国事業」をプッシュしていた、ということではないでしょうか。精神的に苦境に立たされている外国人力士に向かって「国に帰りたいのならば、力士をやめて勝手にさっさと帰ればよい」などという発言が簡単に出て来てしまうのですから、この点に関わるこの国の人々の感覚は、いまでも当時とほとんど変わっていないように思えます。そう思うと、いろいろと気が暗くなるような本ではあります。いや、それはすなわち「よい本」だ、ということなのですけどね。(20070814)

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北朝鮮へのエクソダス―「帰国事業」の影をたどるの作品紹介

日本、北朝鮮、韓国、米国、ソ連、中国、そして赤十字-。冷戦下、それぞれの思惑が絡みあい、「帰国事業」は始まり、歴史は隠蔽された。東京、ジュネーブ、平壌、済州島、大村、新潟…と世界を旅しながら、息をのむ展開で、帰国の「物語」を読み解いていく。日本と北朝鮮の関係に今も影を落とし続ける歴史の真相が明らかになる。

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