f植物園の巣穴

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022505880

感想・レビュー・書評

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  • 植物園で働く佐田豊彦は何年か前に妻を亡くし、一人で下宿先と職場を往復する日々を送っている。

    突然襲ってきた歯痛のために通うことになった歯医者。
    植物園から時折聞こえてくるという赤ん坊の泣き声。
    幼いころに下女として世話をしてもらった千代。
    亡くなったと思い込んでいた妻の千代。
    大事にしていたウェリントン・ブーツの行方。
    カエル小僧へ芽生えた思い。

    迷いこんでしまった巣穴での不思議な出来事。

    本当に不思議な話。。。
    最後まできっちり読まないと結末もなんだかよくわからない感じ。

    下女だった千代は突然姿をくらまし、妻は亡くなったと思っていたが
    実際は下女の千代は川に流され溺死したのを目の前で見ていたし
    その千代と同じ名前である妻は改名して今も一緒に暮らしている。

    現実にいる筈なのに空想と妄想のなかをさまよっている感じ。

    実に読むのに時間がかかった!!!!!)^o^(

  • たくさん本(小説)を積み重ねて、つまみ食いするみたいに、次々と読んでいく。
    そうやって読んでいく本の中で、梨木香歩の作品というのは、野菜とかあっさりスープみたいな位置づけなんだけど、その中にごろっと、「うん?」と首をかしげるものが入り込んでいて、面白い。

    日常→幻想の境目を跳び越えるのが、あまりにもあっさりしているもんで、ぼんやり読んでいるとたまに目を疑うような言葉に引っかかって、んんん~?と数行バックする。そういうことの繰り返しでした。

  • 月下香の匂ひ漂ふ一夜。歯が痛む植物園の園丁は、誘われるように椋の木の巣穴に落ちた。前世は犬だった歯科医の家内、ナマズ神主、烏帽子を被った鯉、アイルランドの治水神と出会う。動植物と地理を豊かに描き、命の連なりをえがく会心の異界譚。「BOOK」データベースからの内容紹介。
     新聞での文庫紹介から、やっぱり図書館のネット予約で借りて読みました。読んだのは去年の10月のこと…そろそろ寒くなって来ていて、通勤の地下鉄で読むと…なんとなく周りがうす暗く感じてくる。不思議な穴に落ちた彼はどこへ?何を探しているの?
    彼の迷いこんだそこはどこ???とにかく、一語一句漏らさず読まないF植物園から出てこれなくなります。
     最後の章にたどりつくと安堵…楽しい読書タイムでした♪

  • なんとまぁ…やられました。

  • いつもの梨木香歩さんならではの不思議世界。
    どこまでが現実でどこからが幻想の世界なのかよくわからないまま、主人公はなぜか馴染んでいる。

    封印してきた過去が目の前に突きつけられ、これまで関わってきた何人もの重要な人物と再会し、今まで気にもしなかったことの意味に気づかされる。

    途中頭がこんがらがってしまうところもあったけれど、主人公がそういう不思議世界を旅しながら、人間として成長し、ハッピーエンドに収まったので、読後感はとてもよい。

  • 人であるものが人外のものに朧に滲んでいく、人外のものが人と成っていく…。
    夢なのか現なのか、心象風景か幼き頃の記憶か…。
    確かなものなどなにもなく、全てが欠片のごとく散らばって、下り坂、自分を形成しているものを解き放ち、残った欠片、散った欠片。再び自分を成す為に袋に自分の、欠片を詰め込む、千代の、千代の、千代の欠片、また坂を下る。

    植物や虫達の描写も、全てが滲んだ景色の中で美しい。げえろっぱ、と呟いて涙ぐむ。ああ、もう本当に目の前が滲むほど大好き。(でて来る植物の写真を巻末にまとめてくれたら!最高。)

  • いつから現実と乖離し始めたのだろう、と思っていたら。歯の痛み。抜歯のその深いうろ。覚めても覚めてもまだ夢を見ているような。中盤からぐいぐい引き込まれ、そしてやっと帰ってきた現実。途中でなんとなく坊の正体はわかったけど、それを現実に伝える相手がいて、よかったなぁと。読後感さわやか。

  • 男の人は皆さんいっぺんこの巣穴に落っこちた方がようございます。 楽しみました。

  • 『家守綺譚』を彷彿とさせる、クラシックな文体が雰囲気出ています。
    意識の混沌へ引きずりこまれるような不思議な読感。

  • ふむ

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著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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