読み解き「般若心経」

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022506849

作品紹介・あらすじ

般若心経、白骨、観音経、法句経、地蔵和讃-詩人の技を尽くして画期的な現代語に訳していく。

感想・レビュー・書評

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  • 身内が病人となり、延命しない人生を看取るまでの姿を綴った本書、お経とともに描いた思いは身に沁みる。菩薩、如来など「般若心経」「観音経」、ブッダ、釈迦の「法句経」、特に「法句経」はむしろ人生訓、箴言集、自己啓発書という。「無常偈」にある「常なるものは何もない。生きて滅びる定めである。生き抜いて、滅び果て生きるも、滅ぶもないところに 落ち着く」は心に残る。

  • 日々の暮らしに仏教、般若心経をどう溶かしていくかのヒントがある。老い・人の向き合い方、男女関係、家族とはペットとは、など色んな要素が仏教には詰め込まれている。

    仏教はキリスト教などの一神教と違い、宇宙を意識した哲学的思想とわたし自身考えているのだが、それがエッセイになるとこんな日常に結びつくのが不思議だと感じた。まずはAmazon musicに入っている般若心経を毎朝聴くようにしてみたい。

  • 宗教に関する本、というと
    この煩悩まみれの自分が読んでもいいのであろうかと、
    なんだかかしこまった感じ、恐れ多い感じがして
    手に取るのを躊躇するのだけど、気になる…
    お経や祝詞の音やリズムは心地よいものがあるし。

    ざっくばらんに、俗人にもわかりやすく
    経を著者の言葉で紡ぎなおす。
    詩人の綴る言葉、リズムが美しい。
    その美しさはシミやしわさえも美しい、
    そんな奥深く、味わい深い美しさ。

    全く堅苦しくなく、
    ところどころでクスリと笑え、ほろりと涙する。

    信心深くなるわけではないけど、
    “そう思えば心も軽くなる”と感じる。
    宗教はそんなところに救いがあるのだろうと思う。

  • 昨年末に読んだ、
    「とげ抜き」があまりに面白かったので、
    これも読んだ。
    伊藤比呂美は「家族アート」を、
    以前読んで、あまり面白くなかったので、
    読まなかったけれど、
    「とげ抜き」と同時期に出た、
    これを読んで、
    やった! と思った。
    予想通り、文体が同じなのである。
    「家族アート」の時とはたぶん違うはず。
    この本も、素晴らしい語り口で、
    ん? 誰かに似てるっぽい、
    と思っていて、
    高橋源一郎に似ている。
    今回は般若心経。地下鉄の中で読む。
    翻訳がポップで素晴らしい。
    笑えるし。
    伊藤比呂美はもの凄く、
    今、面白い。最高です。

  • 信仰を持たない私ですが、中学の頃、美術の先生の口から初めて聞いた時から「色即是空」の4文字の魔力にとりつかれっぱなしで、それに、なんてったってこのお経の中には、私の名前の一文字もあったりなんかして。 (父よ、ありがとう。)
    そんな単純な理由で魅かれてはおりますが、たぶん「般若心経」を理解するのは、なかなか単純なことではないのでしょうね。
    てなことは、置いといたとしてもです!
    お経の訳とともに語られている伊藤比呂美さん自身のエッセイでは、その飾らない生き方や感性に触れ、私は何故か気がすっと軽くなりました。
    あぁ、私のしてきたことなど、まだまだヒヨッコww
    そして、そんな詩人の手にかかると、「般若心経」は
    たまらなくカッコイイ詩になってしまうのだーー!!

  • 意味、なんてものはどうでもいいようなもので、お経はコミュニケーションのためにあるのだと思いました。
    私事ながらうちは日本人にありがちな浄土真宗か浄土宗かもわからない浄土真宗で、帰省すると祖母だけが熱心に、亡くなった祖父の為毎日お経をあげます。祖母曰く、お経だけが死者と会話出来る共通言語だと、お経をあげることにより爺ちゃんは喜ぶのだと。私は全くそうだと思わないのですが、祖母の喜ぶ顔が見たいので祖母と一緒にお経をあげます。つまりお経ってのは生きてる者の為にあるような気がしてならないのです。

  • 般若心経を柔らかく感じることができた。

  • ひらがなを多用する彼女の言葉によって、死と仏教という視点で人生を振り返る。

    〇所感1:生きていることは、苦しく、愚かで、だけど楽しく、いとおしい。わたしは、ドタバタ、ジタバタを強いる、そんな乗り物に乗っているのだなと。生きていることを楽しもう。

    〇所感2:観音経の観音を、”You got a friend” のfriendと同じだと言っている、との見立てが秀逸!笑った。

    [愛すること]
    P124 出会えた。時間を楽しく共有した。会話や表情のあれこれ。とても懐かしい。そして、彼には、もう会えない。それはそれでいいのだと思われる。いつかはあたしもそうなる。そこにいく。

    P124 愛するということ-自分と相手とを「違う生である」と区別しない相手

    [四苦八苦]
    P133 
    四苦=生きる苦、老いる苦、病む苦、死ぬ苦
    八苦=愛する者と別れる苦、嫌な者に出会う苦、求めても得られない苦、(五蘊盛苦:五蘊盛苦)


    [法句経]
    〇なんとか菩薩、なんとか如来などは出てこない
    〇簡潔、常識的
    〇七仏通戒ゲ

     わるいことをするな
     よいことをしなさい
     きよいこころをもちなさい
     これがほとけのこころだよ

    P206 「われらはこの世において死ぬはずのものである」と覚悟をしよう。このことわりを他の人々は知っていない。しかし、人々がこのことわりを知れば、争いはしずまる。

    [般若心経]

  • 2015/11/6
    懐かしいお経に会えた

  • 般若心経の新約が秀逸。
    とても心に響いて、何度でも読んでしまう。

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著者プロフィール

伊藤比呂美
1955年、東京都生まれ。詩人。78年に現代詩手帖賞を受賞してデビュー。80年代の女性詩人ブームをリードし、『良いおっぱい 悪いおっぱい』にはじまる一連のシリーズで「育児エッセイ」という分野を開拓。「女の生」に寄り添い、独自の文学に昇華する創作姿勢が共感を呼び、人生相談の回答者としても長年の支持を得る。米国・カリフォルニアと熊本を往復しながら活動を続け、介護や老い、死を見つめた『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』(萩原朔太郎賞、紫式部文学賞受賞)『犬心』『閉経記』『父の生きる』、お経の現代語訳に取り組んだ『読み解き「般若心経」』『たどたどしく声に出して読む歎異抄』を刊行。2018年より熊本に拠点を移す。その他の著書に『切腹考』『たそがれてゆく子さん』『道行きや』などがある。

「2022年 『伊藤ふきげん製作所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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