聖なる怠け者の冒険

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著者 : 森見登美彦
  • 朝日新聞出版 (2013年5月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022507860

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聖なる怠け者の冒険の感想・レビュー・書評

  • 「僕は人間である前に怠け者です」

    この一言にやられました。
    ぐわぁ…そうくるかぁ。
    なんかすごくカッコイイ気がするのは単なる気のせいなのか。

    温泉に入って「あぁ~」と声を出してしまう瞬間のような、渇いたのどに水(やら何やら)を流し込む瞬間のような(く~ってやつですね)、そんな物語。
    荒んだ心を宥め、癒し、肩に入った力を抜いてくれます。

    道に迷って何が悪い!
    怠け者で何が悪い!

    「我々に必要なのは思いやりの心である。」

    そうです。
    その通り。

    この混沌とした世界で、いかにして生きるか。
    なんていうと大げさかもしれないけど、私はこの物語のノリで生きていきたい。
    そう思ってしまいました。

    それにしても、新聞連載時とはかなり違う話になっているようで、それが気になって気になって…。
    これはこれとして、連載時の方も出版してください。

  • この本を出版するにあたり、森見氏のサイン会が梅田で開催される事となった。私はそれを非常に楽しみにしていたのだが、私の勘違いで、気付いた時には整理券は定員に達しており、サイン会に参加できなかった。悔しいので(単なる逆恨み)本は買うまい!と思っていたのだが、発売当日書店でこの本を見た途端、持ってレジに向かってしまったのだった。それほどにこの本のカチッと四角い装丁が気に入った。表紙の質感も好きだし、カバーを取った中表紙も可愛い。この本にサインしてもらいたかった…。

    さて内容は祇園祭宵山の日に、世間を揺るがすぽんぽこ仮面(善人)を追いかける追走冒険劇。
    森見作品らしく、万華鏡のように次から次へと溢れ出てくる不思議な世界。宵山の一日にぎゅっと濃縮された森見ワールドを堪能した。京都の地理はなんとなく頭に入っているものの、Google Map片手に読むのも面白かった。

    購入してから読み終わるまで時間がかかったのは、内なる怠け者のささやき故でした。私も主人公の小和田くんに負けず劣らず怠け者だ。

  • いやぁ〜
    久方振りにワクワクが止まらない
    森見ワールドにズッポリハマったなぁ〜(^O^)
    (村上春樹の初期の短編にある牧歌的雰囲気と「夜は短し歩けよ乙女」のあの冒険の匂い、そして「有頂天家族」や「宵山万華鏡」とのリンクもあります)

    鳴り響く祇園囃子に包まれ、
    さぁこれから何をしようかと心弾む
    休日の朝のワクワク感。

    そんな身悶える感じが
    読んでる間中続くのですよ(嬉)
    ↑何のこっちゃ


    旧制高校のマントに身を包み
    狸の仮面を被った正義の怪人、
    ぽんぽこ仮面。

    ぽんぽこ仮面に
    跡を継げと言われるものの、
    狸みたいに怠け者でいることに幸せを感じる
    主人公の小和田君(こわだ)。

    鼻血が出るほど充実した休日を過ごすことに血道を上げる
    恩田先輩と恋人の桃木さん。

    ぽんぽこ仮面の正体を追う
    私立探偵の浦本と
    その助手で「週末探偵」の女子大生、玉川さん。

    某巨大組織のドンである
    謎のアルパカ男。

    そしてスキンヘッドの後藤所長。

    宵山で賑わう京都の町を舞台に
    思惑入り乱れる
    キュートな変人たち(笑)。
    (フジモトマサル氏による挿絵もまたステキ過ぎる!)


    個人的には
    金魚模様の手拭いと狸の絵が描かれたがま口と
    ヴァイオリンケースに入った達磨を操る(笑)
    週末探偵の玉川さんにハート持っていかれたなぁ〜。


    万能のお祈り言葉「なむなむ」、
    怪しい酒「テングブラン」(偽電気ブランの別名です!)など
    森見作品を好きな人なら
    ニヤリとできる小ネタもたっぷり。


    イノダコーヒ(「タレーラン…」にも出てましたね)、四条通りの大丸百貨店、鴨川沿いの納涼床、河原町OPA、信楽焼きの狸が目印の八兵衛明神、北白川ラジウム温泉、老舗レトロ喫茶スマート珈琲店など
    実在する京都の名所も
    ファンなら軒並み巡りたくなること必至です。


    誰もがのんびりした自分だけの休日を手に入れるために戦っている。

    小冒険を笑う者は
    小冒険に泣くのだ。

    休日の朝のピクニックに似た怠け者の冒険譚を
    右手には焼き鳥の串、
    左手には生ビールをお供に
    (もしくは熱い珈琲にタマゴサンドウィッチ)

    小和田君に負けじと
    思う存分ぐーたらな妄想特急
    暴走させちゃいましょーっ♪

    いざ、冒険に向かって飛べ〜!

  • ユーモラスな森見ワールド☆
    とぼけているけど、破天荒な面白さです。

    正義の味方「ぽんぽこ仮面」に跡継ぎと見込まれたのは怠け者の小和田君。
    なぜか、ぽんぽこ仮面を追う人たちが現れて‥?
    宵山の土曜日に、京都の町で巻き起こる大騒動を描きます。

    勤め人の小和田君は、家ではひたすら寝ていたい人。
    ぽんぽこ仮面に跡継ぎになるよういわれますが、断り続けています。
    ぽんぽこ仮面とは、かわいい狸の手作りのお面をかぶり、旧制高校のマントをはおって、小さな親切をして歩いている謎の人物。
    怠け者の小和田君はいっこうに興味がわきません。
    家ではゴロゴロ寝ているか、「将来お嫁さんを貰ったらしたいことリスト」を作るのが楽しみというのが、笑えます。

    週末に探偵の助手をしている玉川さんという女の子が、ぽんぽこ仮面を追っています。
    かなりグウタラな浦本探偵が、ぽんぽこ仮面の正体を突き止めるよう依頼されていたのです。
    何者が何の目的で‥?

    恩田先輩と彼女の桃木さんは、土日を充実したものにするよう、いつもスケジュールぎっしりに計画しています。
    小和田君の先輩なので、毎週声をかけてくるけど、小和田君が応じるのは3週に一度ぐらい。
    この対照的なカップルの行動と、方向音痴な玉川さんが絡むことで、事態はどんどん動いていき、さらに、他の作品に出てきた京都の秘密のようなことが絡んできて‥?

    ぽんぽこ仮面の正体と、追っていた人たちの意図は‥?
    学生の集団も出てきて、初期の作品を思い出したり。
    事件の渦中に小和田君が本領発揮して眠り込んじゃうのが、おかしい。

    新聞に連載された作品を全面改稿したとのこと。
    じつは連載を読んだはずなのだが、思い出せない‥
    元のストーリーを知りたくなったけど、まあ作者が忘れてほしいんでしょうね。
    意外と集大成的な、まとまった話に変わっているような。
    森見作品を読むならば「夜は短し歩けよ乙女」「有頂天家族」「宵山万華鏡」がオススメで、この3作を読んだ後のほうが、この作品はわかりやすいです。「太陽の塔」も関連ないこともないかな。
    全然読んでないと、SF並みに独自なイメージの奔流って印象になるかも? 大冒険じゃなくて小冒険、と作者が言ってる通りなんですけども(笑)
    あ、「ペンギン・ハイウェイ」もいいんだけど、こちらは別系統の話です☆

  • 久しぶりの新作!とはいえ、3年前の新聞連載を一から書きなおしたものらしく、
    新作ともいえない位置づけなんでしょうか。

    京都の町に現れた謎の怪人「ぽんぽこ仮面」は、困っている人を助ける正義の味方。
    最初は怪しい風貌から警察に通報されていたけれど、次第に認知されていく。
    そんなぽんぽこ仮面の後継ぎにと見込まれた、怠け者の小和田くん。
    土日はだらだら過ごしたいから後継ぎなんてまっぴらごめんと断っていたところ,
    ぽんぽこ仮面を捕まえようと躍起になっている組織との争いに巻き込まれてしまう。


    有頂天家族と宵山万華鏡とリンクしていて、でも忘れているとこも多く、
    これはどうだったかなぁと思いながら読んだ。
    雰囲気は有頂天家族に近いけど、有頂天家族ほどの疾走感やハチャメチャっぷりはない。
    でも古風でいて軽妙な言い回しがたくさん、もりみー節は健在。
    現実なのに、ふとした瞬間から幻想に紛れ込む、その交錯がいいなぁ。
    ぽんぽこ仮面もナイスミドルでお茶目でかわいいし、探偵助手で方向音痴の玉川さんの天然ぷりがまたいい。

    しかし、この主人公、あまりにぱっとしない。
    「僕は,人間である前に怠け者です」
    の姿勢は好きだけど(笑)。
    でも怠け者とはいいつつ、やや半端なのですよ。
    もっと怠けてよいのにと思ってしまった。そしたら物語は始まらないのだけど。
    もりみー、現実世界にてかぐや姫を得て、昔のような強烈な自堕落さや
    卑屈さが薄れてきているのではないだろうか(笑)

  • 京都を騒がす謎の怪人・ぽんぽこ仮面。
    ボロボロの旧制高校のマントをまとい、かわいらしい狸のお面を付け、困っている人々に手を差し伸べる正義の怪人です。
    そんなぽんぽこ仮面の後継者になぜか選ばれてしまったのが、本書の主人公で目が覚めるほどの怠け者・小和田くん。
    舞台は京都・宵山の日。
    長い長い土曜日の幕開けでございます…。

    いやぁ、待ちわびておりました、登美彦氏!
    『宵山万華鏡』で幻想的で魅惑的、何が起きても不思議ではない宵山を描かれていましたが、それと通じる物語でした。
    『宵山~』のほうはやや不気味さを感じましたが、こちらは好奇心を刺激される冒険譚です。

    宵山の日は世界の境界線がゆるゆるほどけ、見知ったはずの町は姿を変える。
    誘われるがままに、導かれるままに、ただただ転がる方向に転がっていくのが怠け者の冒険スタイル。
    小冒険を嗤う者は小冒険に泣く。
    世の怠け者諸君、小和田くんと一緒になすがままに転がろうではありませんか!

  • ☆ 1つぅ!

    まづわ、とてもおかしな事が作者自身の手で巻末の「あとがき」に書かれている。要約すると、朝日新聞連載時のこの作品は壮大なる失敗作だったので、時間を掛けてのっけから書きなおしたという意味のこと。

    結論から先に言うと、書き直しても再度失敗作である。どうしようもない。

    物語の舞台設定に、ありし日の名作『有頂天家族』の雰囲気を感じ取ったわたしは、読前に過大なる期待を持ってしまっていた。すまぬ。その期待は木っ端微塵に打ち砕かれた。あまり内容には触れたくないのだけれど、電気ブランの代わりに登場するのがテングブラン。何じゃそれ?ワロタ。今も実在する電気ブランへの対抗馬としては全くの愚作である。

    そして森見くんは現在不調である。みなさん、しばらくは暖かくいや冷やかに見ていて遣りましょう。でも本人自らがこのまま消えて行くならそりゃ勝手にせい!ってことで。

    なんだっけ、人事を尽くさづに天命を待つ! そういうオフザケな執筆態度で本当に良いと思っていそうなところが森見くんには有る。おまけに作品のなかで「お嫁さん欲しい」って何度もなんども言うな!

    一から修行して出直して来なさいね。待ってるよ。あいや、次の時までもし覚えていればね。

  • 森見ン、お帰り~~!
    待ってたよぉ~~。(#^.^#)

    人間である前に怠け者です、と言い切る主人公・小和田くんとぽんぽこ仮面、週末探偵の玉川さん、アルパカそっくりの“五代目”など、あはは・・・もう何がなんだか、京都・宵山のお祭りに呑み込まれていくようなぐるぐるの眩暈感をたっぷり楽しんで読むことができました。

    これまでの作品中、『有頂天家族』や『宵山万華鏡』はもちろんのこと、『夜は短し歩けよ乙女』や『四畳半…』のあれこれが、何とも贅沢に差し込まれていて、ファンにはたまらないゴージャスなミックスジュース。(#^.^#)

    とても大物に見えた“五代目”が土曜倶楽部(なんか凄い怪しさ面々の描写が面白くてくらくら。(#^.^#))のメンバーで、でも、その上には日曜倶楽部というものがあり、その上に月曜倶楽部、火曜倶楽部、と続き、金曜倶楽部で上がりかと思ったら、別の土曜倶楽部がある、なんて、このエンドレス感が森見ンだよね~~~。(#^.^#)

    朝日新聞連載時も楽しみに読んでいたんだけど、正直、途中から筋を追うのが大変になってきて、途中からはグダグダに…。(汗)
    だから、今、まるっきり新しい長編として書き直しました、と言われると、おぉ、なるほど!と納得した次第。

    森見ン、体調は大丈夫ですか。
    聖なる怠け者、として、まだまだ私たち読者を楽しませてほしいです!

  • これでもかってくらい、ザ・森見ワールド。
    愛嬌のある文体や、個性的な登場人物たちも、かわいくてちょっと不気味な異界の雰囲気も。

    しかし森見さんの京都舞台の本を読んで思うのは、これって京都を全然知らない人が読んだらどんな感じなのかしら、ってこと。
    位置関係とか、その場の雰囲気とかの説明は全然ないので、「寺町通り」とか「北白川」とかはたまた「向島」とかの地名が出てきたとき、その場所と距離感がはっきりイメージできるのと、さっぱりわからんのではまた味わい方が違う気がするのだよなあ。

    自分は京都に住んだことがあるので、地名だけで景色が浮かんでこの舞台セットをどっぷり楽しめるクチなのですが、そうでない人には登場人物たちが今どこを歩いているのかがよくわからんのではないだろうか、と老婆心ながら軽く心配になりました。
    とくに今回はかなり詳細に通りの名前などが出てくるので、地図あったほうがいいんじゃあ・・・と思うくらいで。

    まあそれを抜きにしても充分に楽しいお話なのですが、ここまでがっちり分かちがたく土地と結びついている小説も珍しいのではないかしら。
    一切の説明を加えないのがある意味作者の勇気でもあるのかもしれんのですが。

    ほかの森見作品でも見覚えのある面々も登場します。
    腐れ大学生たちもちょこっと出てきて、「閨房調査団」とかもなつかしい。
    登場人物たちの台詞まわしとかが独特で、みんながみんなキュートでたまらん。

    怠け者、大いに結構!

  • おひさしぶりの森見氏でしたが、森見ワールド全開でした。
    読中、ああ...このバカバカしい感じ、やっぱりすき!と、何度思ったことか。

    「僕は人間である前に怠け者です。」
    主人公で、ぽんぽこ仮面の二代目候補である小和田くん。
    方向音痴の週末探偵、玉川さん。それから謎の怪人ぽんぽこ仮面。
    小和田君の上司であり、週末のスケジュールがぎっちぎちな恩田先輩と、恩田先輩の恋人、桃木さん。
    今作も登場人物がとても魅力的。

    物語自体はなんとも形容しがたい内容でしたが、森見氏らしい構成で、あれよあれよとのめり込ませる筆力。なんだか変な術でもかけられたかのよう。次第に訳がわからなくなり、なんの話だこれ?と迷子になるのも森見ワールドならでは。

    スマート珈琲や京都タワー浴場、糺の森など、おなじみの名所が出てきたり、
    マトリョーシカのような狸の蝦蟇口や、テングブラン、とても臭いお香などのアイテムもオモチロイ。

    あ~。また京都行きたくなっちゃったなあ。

  • 「なむなむ」
    「何をなむなむ言ってんの?」
    「万能のお祈りの言葉なのよ。なむなむ」

    「独身寮にある愛すべきパソコンが桃色データの負荷に耐えかねて、やけに発熱するようになってしまった、どうしてくれよう。」

    『ああ、素晴らしきものよ、汝の名はお布団なり。』

    「多くの人は、ただ漫然と動くのを止めさえすれば休むことができると思いこんでいる。しかし我々に必要なのは、じつは動きを止めることではない。正しいリズムを維持することです。マグロのように泳ぎ続け、疲労の向こう側へ突き抜けること。これがコツです。」

    「若いうちに遊んでおかなかった人間というものは、歳をとってからヘンな汁が出てくるのです。男汁は若いうちに出し切っておかねば、ワタクシのようにステキなおっさんにはなれません」

    「気をたしかに持て。部屋に籠って『将来お嫁さんを持ったら実現したいことリスト』なんて阿呆なものを作ってるから、そんなふうに思い詰めるんだよ。」

    『黙って逃げる若い女と、追いすがる若い男。傍目から見れば「痴情のもつれ」以外のなにものでもない光景を一瞥して、道ゆく人々は「なんだ痴情のもつれか」という顔つきをした。』

    「みなさん。他人の妄想を邪魔する者は、馬に蹴られて死ぬそうです」

    「宵山なのに温泉なんかに入る。これが宵山温泉」
    「よいやまおんせん」
    「二人は仲良し」
    「ふたりはなかよし」

    「本当にアルパカにそっくりだったんだよ」
    「どうせ大げさに言ってるんでしょ!」
    「アルパカによく似た人か、もしくは人によく似たアルパカだな。きっと前世はアルパカだ。そして来世もアルパカだろう。」

    『恩田先輩の言う通り、前世から来世に向かう束の間に、たまたま人間界に立ち寄ったかのような、みごとなアルパカぶりだった。』

    「我々は人間である前に怠け者です」

    「眠るのではない。少しばかり目を閉じて、α波を出すけれども気にするな。眠るのではない」

    『内なる怠け者の歴史は長い。我々は人類であるよりも前に、まず怠け者であった。ご先祖様が木の上で暮らすのをやめたのは、木に登るのが億劫だったからである。勤勉な猿たちが木登りテクニックに工夫を凝らして高みを目指していたとき、木登りを苦手とする怠け者たちは地べたでグウタラしていた。ある日、幸運にも落雷がこんがり焼いてくれたイノシシをみんなで分け合いながら、「あれ? 木登りできなくても問題なくない?」と気づいたパイオニアがあり、人類史に栄光の新地平を切り開いたのである。』

    「小和田君、だらしないことを言うなよ。人間として恥ずかしくないのか?」
    「僕は人間である前に怠け者です」

    『あくびというものは伝染する。あくびとは内なる怠け者の咆哮である。』

  • 図書館より。

     困った人には手を差し伸べる、狸の仮面をかぶり
    黒マントで京都の街をかっ歩する怪人ぽんぽこ仮面。
    そんな彼に突然後継者として指名されてしまったのは、
    休日は怠けることがモットーの社会人二年目の若者
    小和田君だった。宵山でにぎわう土曜日に小和田君は
    不本意ながらぽんぽこ仮面をめぐる冒険に巻き込まれ
    てしまい…。

     キャラクターの雰囲気や行動、怪しげな団体が
    登場したり、また言い回しなんかはいつもの森見
    さん節全開なのですが全体的にとっ散らかっていて
    今一つ物語に入っていけなかったかな、というのが
    正直な印象でした。

     言い回しもユニークさはあるものの、他の作品の
    ような思わず「プッ」とくるというところまではいかず。

     地元民としては知ってる地名や店名が随所に出て
    くるのがうれしかったです。

     この本は簡単にまとめてしまうと、休日はごろごろ
    したいインドア派と、予定がないともったいないと
    感じるアウトドア派(リア充派)の対決ということに
    なるのかなあ。
     どっちの欲求も間違っているとは言えないですが、
    作中の恩田先輩並みに予定を詰め込むのはちょっと
    病的だな、と思わなくもないです(笑)。
    恩田先輩の誘いにたまに応じる小和田君くらいの
    ポジションが一番憧れますね。

    2014年本屋大賞9位

  • 森見さんの作品に 割と共通して感じることなんですが、前半は あまりの意味不明さ(ぽんぽこ仮面ってww)に なかなか進みませんでした。後半 それぞれのエピソードが絡まりだしたあたりから俄然 面白くなり、お約束の不思議な森見ワールドへ、そして読み終わる頃には すべての登場人物たちが愛おしくて仕方なくなっているという感じ。

    「北にはさんざん騙されたから、北は信用していない」という玉川さんの方向音痴トークには思わず苦笑。ものすごく身に覚えがあります。もしかして森見氏も?

    宵山祭り、行ってみたいなあ・・・。

  • 一見、主義主張になんの関係もなさそうな人々が、夢に現にさまよいながら大騒ぎ。根底を繋ぐのは「ぽんぽこ仮面」なる怪人――と書いてヒーローと読む――だが、しかし各々がやっていることと言えば、休日を楽しむことだけ。人も場面もめまぐるしく変わるのに、終わってみればたった1日の出来事で、読後に妙な充実感。これだけ“ぎうぎう”に詰め込まれた1日を過ごしながら、まだ翌日に休みが残っているなんていう幸福感も、舞台を土曜日に設定したステキなところだ。

    ところで私は、森見ワールドには、「有頂天家族」から入った。かく言う今作も、有頂天家族とのリンクがあると聞き及んで、手に取ったものである。実際、随所にそれが窺えて満足なのだけれど、中でも、作中に登場する探偵が、私の大好きな井戸の蛙にしか見えないのは、果たして気のせいだろうか…。

  • 森見登美彦的、京都世界の全容にして、素晴らしき土曜日賛歌。

    怠け者賛同者よ刮目せよっ笑

    ぽんぽこ仮面なる善良な怪人から二代目を見込まれた小和田君の、
    宵山における一日の出来事です。

    世界で一番怠け者な探偵とか、
    その助手の方向音痴な女子大生とかでてきます。

    あと、八兵衛明神様。

    きれーいに話の収集がつくわけではない感じも、世の条理というか、
    わたしはすきです。

    朝日新聞の夕刊連載から全面的に改稿されたらしいです。

    最近、がつがつ働いてたので、ちょっと肩のちから抜けましたー
    ゆっくり休んで、また月曜日から働くのだっ!

    休日用のプロトコル
    「充実した土曜日の朝は、熱い珈琲とタマゴサンドウィッチから始まる」

  • 京都を騒がす正義の怪人ぽんぽこ仮面と、怠惰の化身小和田くん、それらの周囲の人々が巻き起こす、ある土曜日のお話である。

    森見登美彦氏が前著を出版してから三年あまりが経過し、このたび久々の新刊が読者の元に届く運びとなり、森見登美彦氏の文章を愛読する者は喜びに湧いた。
    そしてその三年あまりの間で、わたしは京都の紹介本を四冊熟読し、実際その地へ四回旅した。下鴨神社の緑を堪能し、祇園で抹茶甘味を楽しみ、鴨川の川床を眺め、伏見稲荷大社をくぐり、水路閣をうろつき、哲学の道をふわふわと歩いた。そうして、自宅に帰ると登美彦氏の小説を再読した。
    今回の冒険では、そういった趣味の経験がいかんなく脳内イメージに影響を与えた。私の小冒険は、たいへん満足にその幕を閉じた。だがこの目で、この足で宵山を歩かねばならぬと、強く思った。たとえ道に迷っても、狸山に迷い込めるかもしれなければ、それは楽しみだと言わざるを得ない。

  • 森見さん節全開!
    待ったかいがあった。軍鶏のゴージャスさん。相変わらず言葉選びのセンスがことごとくツボでした。小和田君と八兵衛明神の掛け合いが面白かったー!また京都行きたくなっちゃった。

    248,255,291

  • ひっさびさの王道を行くモリミー小説。待ってました!という感じで。
    森見ファンにはたまらないアイテムがあれこれ出てきてニヤニヤが止まらない。
    そして、なんといっても私は玉川さんに親近感湧きまくり!
    彼女の迷いっぷりを「こんな迷い方するわけない」と思った人に、私は言いたい。
    「ありえます!」と。
    そしてモリミー小説を読むといつも京都に行きたい病が全身に蔓延する。
    怪しげで魅力的で奥が深くて不可解な京都に、行きたくて行きたくて仕方ないぞ!

  • ぽんぽこ仮面をはじめとして出てくる人みんなチャーミングで良い。私は本作の登場人物の中だと小和田くん要素の強い怠け者なので、はりきる玉川さんにそっとしておいてくれと思いつつもなんだかんだで週末の冒険をとことん楽しんでしまった。祇園祭の最中にこんなに奇妙なことが起きていたとしても不思議じゃないかもと思わされるのは、夏の京都の熱気のせいかもしれない。八兵衛明神のもとから逃げ出す二人の前に現れたねじ曲がった京都の風景を想像しながら読むのがとても楽しかった。スマート珈琲久しぶりに行きたいなあ。

  • 森見登美彦といえば京都。その期待を裏切らず、京都を舞台に個性あふれる登場人物たちが多少のSF的ニュアンスを漂わせながら大冒険する話。ヒロインあり、変わった先輩あり、人間じゃない人もおり、森見登美彦のフルコース京狸添え。

    個人的に人生3冊目の森見登美彦。四畳半は留学中にハマりアニメまで見る始末。逆に夜に恋せよ歩けよ乙女(?)は数ページであわやこれ以上進むと魔境から出てこれなくなりそうな恐怖感からリタイア。

    それからというものファンタジー要素に恐れを抱き、避け続けてきた森見登美彦だったが友人のオススメで森見押されてしまい、オススメ教えてく
    れといった手前断れず、泣く泣く読むことに。

    電子書籍で購入。香川出張のお供にしましたが、焦らず急がずマイペースな文体が心地よく、また最終的にどんでん返しもないとわかっているため安心して歩を進められる感覚。

    ポカポカした天気の日に何も考えずに読むに最適。得るものはないかもしれない、しかし退屈な日々を過ごすのだって大切だろう?退屈な日常がいけないなんて誰が決めた?

  • 22/02/15
    怠けたいも役立ちたいも、わかるわかる。
    森見節全開、ワンダーランド京都の冒険譚。宵山祭りに八兵衛明神、スマート珈琲に柳小路、、京都に行くときはぽんぽこ探しにぜひ。

  • 現在も作品を書き続けている現役作家の中でも、作家買いするほど好きな作家はそうそういなくなってきたが、森見登美彦はその中の一人である。

    森見登美彦は『文体』の作家だと思っている。
    文体の妙が、彼独特の少々時代がかった台詞回しをより生き生きとさせる。
    以前、『エッセイは文体』である。と書いたことがあるが、小説もやはり文体である。
    しかし、時として独特の文体は読者にとって作者が描く物語に没入することを邪魔する場合がある。
    そういう意味では、作者の文体と自分の感覚が合うかどうかということは読書という行為の中で、非常に重要なファクターなのだ。

    この森見登美彦の文体の場合は物語はとても面白いのに、文体が独特であるが故に読者を選んでしまうタイプかもしれない。

    本書、『聖なる怠け者の冒険』はまさに森見登美彦の描く物語の中でも王道中の王道である。
    なにもしない主人公。
    奇妙な変人・怪人。
    リア充な友人。
    まっすぐだけど少々ずれているテッテケテーな少女。
    狸。
    京都のお祭り。
    街を挙げての大鬼ごっこ。

    デビュー作の『太陽の塔』、『四畳半神話体系』、『有頂天家族』、『夜は短し歩けよ乙女』と京の街を舞台装置に繰り広げられる現世と常世が微妙に重なる摩訶不思議な世界観。
    そして、バタフライ効果のようにちょっとした蝶の羽ばたきが、巡り巡って京の街を覆い尽くすような大騒動といったプロットはマンネリかもしれないが、いちばん森見登美彦の特長を活かせる物語である。
    本作も期待を全く外さない。

    今回も存分に森見ワールドを堪能した。
    昨年秋の京都旅行の街巡りもまだ記憶の中にあり、よぉ〜やく森見ワールドの世界と現実の京の街のイメージを繋ぎ合わせながら世界観を共有できた感がある。

    京都好きにはたまらない物語。
    是非、常世と現世が繋がる妖しの京の街を多くの人に堪能して欲しい。

  • 読めば読むほど天狗ブランで酔っ払ってるかのように天と地がぐるぐる回るような世界観が癖になりそうな一冊。
    まるで主人公っぽくない小和田くんがたまらなくよいです(^_^)b

  • 念願の『聖なる怠け者の冒険』!
    森見登美彦作品を敬愛するいちファンとして発売前から今か今かと楽しみにしていたのであるが、発売からもうしばらく経っても諸般の事情によりなかなか読めていなかった。

    率直に申し上げると、本を開く度にこれほどまでに眠気に襲われる作品は「えいえい!」と自身を奮起させながら読み進めた夏目漱石の『吾輩は猫である』以来である。
    主人公らしからぬ本作の主人公小和田君に呼応して、自身にも潜む「内なる怠け者」がむくむくと頭角を現してくるのだろうか。おかげで平日の業務に支障を来す。
    というのは「怠け者」お得意の「必殺・責任転嫁」に他ならない。人間である前に怠け者なのである。なんて清々しくなんて素敵な名言。

    前半はともかく、後半の不毛に不毛を重ねる混沌っぷりは流石の森見世界である。
    追いつ追われつくんずほぐれつ歩けど歩けど堂々巡りはもはやお約束。森見世界はしばしば我々の思考の範疇を超越する。
    これが全てたった土曜日一日の出来事ですか!おやまあ!

    森見作品は全て追いかけているけれども、だんだん自分の好みがわかってきた気がします。
    問題は登場人物が阿呆な大学生であるかどうかでなく。純粋すぎてひねくれてひねくれてねじ曲がって歪んだ恋愛観があるかどうからしい。
    その証拠に、この『聖なる怠け者の冒険』は小和田君と玉川さんがイイフンイキになるかなどうかなと思わせて微塵もその様相を見せないわけなのだが、小和田君の先輩である恩田さんが電話口で勝手な勘違いをするシーンについて。その部分を読んだときに「あっ!これが私の好きな森見だわん」と思ったもので。
    「恋」ということになると純粋すぎるが故に途端にぶっ壊れる森見キャラが愛おしくてオモチロクて私は大好きみたいです。
    あの恩田さんは面白かったなぁ。笑った笑った。

    同じ宵山を舞台にしたものとして、『宵山万華鏡』を再読したい気持ちになりました。宵山の京都に行ってみたい。こんなに不思議で素敵なお祭りは他にないのじゃないかしらん。
    いや、物語でしか宵山を知らない私はまた八兵衛明神ならぬ狸の神様(作者ともいう)森見登美彦氏に化かされているだけかもしれない。

  • 図書館で借りたもの。
    久しぶりに読む森見節にわくわく♪いいですね~
    登場するキャラクターがみんな魅力的。特に恩田先輩と桃木さんカップルが好き。
    最後の方は狸に化かされてる感じ。
    京都の地理が分かればもっと面白く読めたんだろうなぁ。

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聖なる怠け者の冒険に関連するまとめ

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聖なる怠け者の冒険の作品紹介

【文学/日本文学小説】「何もしない、動かない」ことをモットーとする社会人2年目の小和田君。ある日、「ぽんぽこ仮面」なる怪人から「跡を継げ」と言われるのだが……朝日新聞連載時より大幅に加筆修正をし、ダイナミックに一新! 著者3年ぶりの単行本。

聖なる怠け者の冒険の文庫

聖なる怠け者の冒険のKindle版

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