聖なる怠け者の冒険

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022507860

感想・レビュー・書評

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  • 「僕は人間である前に怠け者です」

    この一言にやられました。
    ぐわぁ…そうくるかぁ。
    なんかすごくカッコイイ気がするのは単なる気のせいなのか。

    温泉に入って「あぁ~」と声を出してしまう瞬間のような、渇いたのどに水(やら何やら)を流し込む瞬間のような(く~ってやつですね)、そんな物語。
    荒んだ心を宥め、癒し、肩に入った力を抜いてくれます。

    道に迷って何が悪い!
    怠け者で何が悪い!

    「我々に必要なのは思いやりの心である。」

    そうです。
    その通り。

    この混沌とした世界で、いかにして生きるか。
    なんていうと大げさかもしれないけど、私はこの物語のノリで生きていきたい。
    そう思ってしまいました。

    それにしても、新聞連載時とはかなり違う話になっているようで、それが気になって気になって…。
    これはこれとして、連載時の方も出版してください。

  • いやぁ〜
    久方振りにワクワクが止まらない
    森見ワールドにズッポリハマったなぁ〜(^O^)
    (村上春樹の初期の短編にある牧歌的雰囲気と「夜は短し歩けよ乙女」のあの冒険の匂い、そして「有頂天家族」や「宵山万華鏡」とのリンクもあります)

    鳴り響く祇園囃子に包まれ、
    さぁこれから何をしようかと心弾む
    休日の朝のワクワク感。

    そんな身悶える感じが
    読んでる間中続くのですよ(嬉)
    ↑何のこっちゃ


    旧制高校のマントに身を包み
    狸の仮面を被った正義の怪人、
    ぽんぽこ仮面。

    ぽんぽこ仮面に
    跡を継げと言われるものの、
    狸みたいに怠け者でいることに幸せを感じる
    主人公の小和田君(こわだ)。

    鼻血が出るほど充実した休日を過ごすことに血道を上げる
    恩田先輩と恋人の桃木さん。

    ぽんぽこ仮面の正体を追う
    私立探偵の浦本と
    その助手で「週末探偵」の女子大生、玉川さん。

    某巨大組織のドンである
    謎のアルパカ男。

    そしてスキンヘッドの後藤所長。

    宵山で賑わう京都の町を舞台に
    思惑入り乱れる
    キュートな変人たち(笑)。
    (フジモトマサル氏による挿絵もまたステキ過ぎる!)


    個人的には
    金魚模様の手拭いと狸の絵が描かれたがま口と
    ヴァイオリンケースに入った達磨を操る(笑)
    週末探偵の玉川さんにハート持っていかれたなぁ〜。


    万能のお祈り言葉「なむなむ」、
    怪しい酒「テングブラン」(偽電気ブランの別名です!)など
    森見作品を好きな人なら
    ニヤリとできる小ネタもたっぷり。


    イノダコーヒ(「タレーラン…」にも出てましたね)、四条通りの大丸百貨店、鴨川沿いの納涼床、河原町OPA、信楽焼きの狸が目印の八兵衛明神、北白川ラジウム温泉、老舗レトロ喫茶スマート珈琲店など
    実在する京都の名所も
    ファンなら軒並み巡りたくなること必至です。


    誰もがのんびりした自分だけの休日を手に入れるために戦っている。

    小冒険を笑う者は
    小冒険に泣くのだ。

    休日の朝のピクニックに似た怠け者の冒険譚を
    右手には焼き鳥の串、
    左手には生ビールをお供に
    (もしくは熱い珈琲にタマゴサンドウィッチ)

    小和田君に負けじと
    思う存分ぐーたらな妄想特急
    暴走させちゃいましょーっ♪

    いざ、冒険に向かって飛べ〜!

  • 京都を騒がす正義の怪人ぽんぽこ仮面と、怠惰の化身小和田くん、それらの周囲の人々が巻き起こす、ある土曜日のお話である。

    森見登美彦氏が前著を出版してから三年あまりが経過し、このたび久々の新刊が読者の元に届く運びとなり、森見登美彦氏の文章を愛読する者は喜びに湧いた。
    そしてその三年あまりの間で、わたしは京都の紹介本を四冊熟読し、実際その地へ四回旅した。下鴨神社の緑を堪能し、祇園で抹茶甘味を楽しみ、鴨川の川床を眺め、伏見稲荷大社をくぐり、水路閣をうろつき、哲学の道をふわふわと歩いた。そうして、自宅に帰ると登美彦氏の小説を再読した。
    今回の冒険では、そういった趣味の経験がいかんなく脳内イメージに影響を与えた。私の小冒険は、たいへん満足にその幕を閉じた。だがこの目で、この足で宵山を歩かねばならぬと、強く思った。たとえ道に迷っても、狸山に迷い込めるかもしれなければ、それは楽しみだと言わざるを得ない。

  • 森見さん節全開!
    待ったかいがあった。軍鶏のゴージャスさん。相変わらず言葉選びのセンスがことごとくツボでした。小和田君と八兵衛明神の掛け合いが面白かったー!また京都行きたくなっちゃった。

    248,255,291

  • やっぱり森見登美彦さんの言葉の使い方が大好きです!出だしから「あ、この小説は面白い」と思って読んでみたらやっぱり面白かった。
    主人公の小和田君は兎に角怠け者なのですが、丸々一章寝ている事も。その夢の中でもやっぱり怠け者。怠ける為にはとことん頑固な小和田君、好きです。
    言葉の使い方が好きでそっちに注目しがちなのですが、私は分かりやすく美しい景色などの描写も好きです。
    それにしても天狗ブランてどんな味があってするんだろう。

  • 素晴らしい!
    「僕は人間である前に怠け者です」と言い切れる主人公とぽんぽこ仮面とぐうたら探偵とその助手で天才的方向音痴な女の子と…。もう設定だけでおなかいっぱい。

    森見さんの「有頂天家族」とか「宵山万華鏡」とか読んでるともっと面白く感じると思います。私はにやにやが止まらなかった。

    この一見まとまりのない混沌とした設定を見事ストーリーとしてまとめ上げるのはすごいと思います。何度読んでも楽しめそう。

  • 表紙がすごく素敵で購入しました。主人公が物語を進めていくのではなく、周りが動いていくことで物語が進んでいく新しい本です。狸やテングブランなど、それだけでワクワクする言葉が散りばめられています。話も面白かったですが、表紙や挿絵などがかわいくてかわいくて…!!

  • 待ってました新刊!!妄想ばんざい!\(^^)/モリミーの世界にどっぷり浸らせてもらいました♪妖しい宵山で繰り広げられる大冒険(^^)ステキにかわいい狸のお面をつけた ぽんぽこ仮面、怠け者の小和田くん、アルパカにそっくりの五代目などなど愛すべきキャラがたくさん登場(*´∇`*)♪ぜひオススメしたいけれど、妄想ダメな人には全く受け入れられないのが悲しい(--;)

  • 分厚くてなかなか読み終えれなかった。主人公なのになかなか本編に出てこない小和田君。最初は小和田君だけが怠け者な気がしてたけど、みんな怠け者だ。かくゆう私も怠けながらこの本を読んでいて、実に共感できた。言葉の掛け合いとか、語り手にまで魅力があってすごく好きだった。以前は森見さんののっぺり感が苦手だったけど、積読を消化していけそうだ。

  • 久々に、めくるめく“モリミーワールド”を堪能できて、満足です。
    なむなむ・・・。

著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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