嘆きの美女

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 234
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022508935

作品紹介・あらすじ

生まれつき顔も性格もブスな耶居子は、会社を辞めほぼ引きこもり。顔のにきびをつぶすことと、美人専用悩み相談サイト「嘆きの美女」を荒らすことが最大の楽しみだった。ところが、ある出来事をきっかけに「嘆きの美女」の管理人のいる、お屋敷で同居するハメに…。美しくても、美しくなくても、たくましく生きる女性たちの姿を描く。外見、趣味、食べ物、男性からの視線-。生きてきた環境があまりにも違う彼女たちが、いつの間にか繋がっていく。女の人たちの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 蔵書します。
    文句なし!★5つです。
    おもしろい!!金太郎飴のように、どこを読んでもいい。
    登場人物が、みんな魅力的でいい。
    人はみんな、白い部分と黒い部分がある。
    それを乗り越え、成長していく過程が爽快!
    耶居子のご飯日記もグッド
    無印にゴーします。

  • やっぱり柚木麻子さんのお話は、大好きです。
    引きこもりのニートだった耶居子が変わっていく様がおもしろかった〜。

    あとがき風に耶居子のごはん日記が載っていてランチのアッコちゃんに出てきた黒川敦子さんが登場しておっっと思いました。
    耶居子は、無事にバレンタインデーにチョコを渡せたのかな!?いいところで終わってしまった感じが惜しいです。

  • 洗面器大の手作りエンゼルパイ。
    水のかわりに、いちめんアップルゼリーを固めた庭のプール。
    実物の3倍の大きさで焼き上げた、コアラのマーチ。

    光を纏ったような美女たちと、その美を維持するための暮らしぶり、
    カロリーや栄養を考慮した健康的なメニューも描かれてはいるけれど
    本気でダイエットしようと決意している人、「身体的美女」を目指している人は
    今は読まないでおくほうがいいかもしれません。

    だって、ヒロイン耶居子が作る料理やお菓子の引力があまりに強すぎて!
    夜中だろうが明け方だろうが、コンビニに駆け込みたくなること必至なので。。。

    仕事を辞めて以来、実家の6畳の和室に引きこもり、ジャンクフードとコミックに埋もれ、
    幸せそうなブログを荒らすのだけが楽しみという、耶居子、25歳。

    美人ならではの悩みを綴ったサイト「嘆きの美女」をとりわけ憎み、
    彼女たちのオフ会の様子を悪意をこめてネットに晒してやろうと張り込んでいたところを
    予想外の事故に巻き込まれ、なんと美女たちの恩人として
    プールつきの豪邸に同居することになるのですが。。。

    髪をとかし、服を着せ、薬膳料理をひとさじひとさじ「あーん」して
    かいがいしく世話を焼いてくれる美女たちに、耶居子が心の中で
    つぶやき続ける毒舌の凄まじいこと!
    ところが、耶居子としては皮肉や怒りをぶつけているつもりが、
    美女たちには、胸のすくような発言と取られたり、図らずも救いになってしまったり。

    心やさしい美女たちの影響を受け、このまま耶居子も
    『クリスマス・キャロル』のスクルージ化してしまうのか?!と思いきや、
    儚げな美貌そのままに、言動もまるで天使のようだったサイトの管理人ユリエが
    突如として耶居子化し、暴言を吐き始めるあたりから俄然面白くなってきます!

    ヘルシーな生活と食事で、ある程度美しくなれることを知っても
    簡単には改心(?!)せず、明星 一平ちゃん夜店の焼きそばをこよなく愛し
    ハッピーターンの魔法の粉や、カロリーメイトを手作りすることに執着する
    耶居子の暴走エネルギーがパチパチ弾けるような快作でした♪

  • 女なら誰しも憧れる美女。そんな美女を目の敵にし、美人専用悩み相談サイト「嘆きの美女」を荒らす、顔も性格もブスな耶居子。引きこもり。好きなモノは本とスナック菓子、インスタント食品、お洒落ブログを閉鎖に追い込むこと。

    自称「美女」たちを叩こうと画策するも、「嘆きの美女」の管理人であり、幼馴染だったユリエを偶然とはいえ助けてしまい、美女たちとユリエの豪邸で暮らすはめに……。

    豪邸の持ち主でモデルのユリエ、グラドル並のスタイルの元看護師 優子、ボーイッシュな売れっ子美容師 葉月、バツ2の料理研究家 玲子と彼女の娘 まーちゃん。
    本物の美女たちに囲まれるうち、いつしか耶居子も綺麗になりました・・・という単純なお話ではない。ぶれないブスは自分を曲げず、強くたくましく、美女たちを圧倒していく。

    プールをゼリーに・・・ていうのは「おひめさま がっこうへいく」(大好きだった!)が最初だと思っていたけど、「あしながおじさん」だったのか。

    ドラマ化を見逃したのが惜しいほど、軽快で小気味よい。現実はこんなに、全てハッピーな展開にはならないかもしれないけどええじゃないか。

  • ブスはブスなり、美女は美女なりに
    黒い部分も悩みもいっぱい抱えて生きてるんだなぁ、というところと
    人から見られてる姿と、自分で思う自分のギャップ。
    そういう部分の描き方がものすごく巧い。
    単に美人なだけ、ブスなだけではなく、ちゃんと裏がある描き方に
    各々のキャラクターの魅力を感じた。
    というかブスブス連呼しておきながら難だけど、
    あたしは耶居子がブスだとはこれっぽっちも思わない。

    耶居子の生活態度が自分とそっくりで、ちょっと複雑な気分。
    ネット上で誹謗中傷を書き込んで炎上させたりはしないけど
    人と接することで相手のいいところを汲み取っていく度量の広さが
    自分には決定的に足りないので、なんか悲しくなった。
    作中でどんどん綺麗になっていって、
    エイジや宗佑に好意を持たれる耶居子が羨ましいと思うと同時に
    誹謗を恐れず自分の意見を主張できて、
    恐らく耶居子本人は気づいていないだろうけど
    周りの人たちをリスペクトできる人なのだから
    この流れは至極当然なんだろうな、という納得感もあった。
    お料理日記に出てきたヒガシとの関係がどうなるか、すごく気になる。
    寸止めなんだもんなぁ。狡いよ(爆)。

    ユリエもただの美人さんかと思いきや、
    いきなり振り切ったように豹変する辺りがカッコよかった。
    最初はなんだコイツと思った奥沢エイジは
    登場人物の中で誰よりも人を見る目が確かだったんだ、と思う。

    ドラマは見てなかったけど、黒沢かずこさんの耶居子は大ハマりな気がする。たぶん。

    柚木麻子さんの本を読んだのは初めてだったんだけど
    内容はむしろ期待以上に面白かった。
    CREAでの対談で触れられていた『私にふさわしいホテル』も読んでみたい。

  • 面白かった~。美人を敵みたいに思っているヤイコが、いつの間にか美女たちと仲良くなって、家のことや仕事までやることになってるとか。やってみたら料理も企画も抜群の腕前だったとか。
    全然前向きじゃないし、隙あらばダラけたいと思ってるような主人公だけど、まわりに恵まれてなのか、なんだかいろいろうまくいきすぎかもしれないけど、私は読んでいて気持ちよかった。美女たちも感じよく、あまり悪い人が出てこないせいもあるかな。
    恋もがんばれ!チョコ投げちゃダメだよ、ヤイコ~。

  • 鬱々としていた時期に何とな〜く読んだら、とても楽しめた。読んで良かった本。
    はじめは「嘆きの美女」を恨むヤイコの性格ブスっぷりに引いたり、ちょっと共感したり…でも美女たちは美女たちなりの悩みが沢山ある訳で。
    みんなやっぱり誰しも「隣の芝生は青い」んだなぁと胸が苦しくなった。

    全体的にはマンガ。でも本当に楽しい。
    いつの間にか自らの力で輝くヤイコ、本当に大好きになってしまった。
    女子会をした後のはしゃぎ疲れた楽しい余韻が残った。



     

  • おもしろかったー!!
    ブスで引きこもりな耶居子(やいこ)ちゃんが、
    ブログ「嘆きの美女」を荒らすのが生き甲斐としていた。
    そんな中、ブログの管理人である、ユリエと
    他の美女と共に共同生活をすることとなる。
    だんだんと耶居子ちゃん自身の気持ちにも変化が出てくる。

    耶居子ちゃんが、美女や美男子たちに
    ズケズケと本音を言うところが、たまらなく
    カッコよかったー!!
    ユリエとの小学校の頃からの友情が、続いていたのだなーと
    感じられるのが、なんだかほっこりしたよー。

    あと、さすが柚木麻子さん。
    カップ麺やジャンクフードが食べたくなる描写が
    多すぎるー笑
    これじゃぁー、お腹空くよー( ノД`)…

    最後、耶居子のごはん日記に、アッコさんが登場したので、
    テンション上がっちゃいましたー!!
    こういうのされると嬉しいー!!

    • shintak5555さん
      読むことに決定!
      読むことに決定!
      2022/02/02
    • ほくほくあーちゃんさん
      ダイエット中の私には、食べたくなる物がたくさん過ぎて酷でしたー笑
      本当に柚木さんの食べ物の描写はうますぎるー!!
      ダイエット中の私には、食べたくなる物がたくさん過ぎて酷でしたー笑
      本当に柚木さんの食べ物の描写はうますぎるー!!
      2022/02/03
  • 美女たちが美人であるが故の悩みや苦悩を語り合い、慰めあうサイト『嘆きの美女』。
    ひきこもりで根暗で性格の歪んだ不細工な主人公・耶居子はそのサイトを荒らすことを生きがいにしている。

    参加者の写真を撮ってネットでばら撒こうと、オフ会が開かれるケーキ屋で待ち伏せをしていたら、
    事故に巻き込まれて美女たちの住む屋敷で同居することに。
    そしてそのサイトの管理人ユリコは主人公の小学生時代の同級生だった。

    美人ながらそれぞれ悩みとコンプレックスを持つ人たちとの同居生活の中で、
    耶居子はしぶしぶ人間的な生活と社会とのつながりを取り戻していく。

    ブスがだんだん綺麗になっていくというのはよくあるストーリーだけれども、
    耶居子は大して綺麗にならない。
    性格もキツイし、素直じゃない。

    でも他の人の強さや弱さを素直に認め、自分以外の価値観を受け入れる柔軟さを取り戻していく。

    ギャグみたいな展開だし、ひたすらぶっとんでいる。
    あまりリアリティはない。
    でも勢いで読んでしまえる文体と長さだから、こういう話もアリかなと。

    そして元がアエラネットでの連載だったそうで、
    連載時の2011年的なコネタがいろいろある。
    芸能人の名前や食べ物、本のタイトルなど固有名詞バンバン使っているのもそのためかと。
    ストーリー展開にもマッチしていると思う。
    web小説だったら確かに面白かったかもしれないけど、
    今回紙の本で読むとそういう時代感に少し冷めてしまった。

    確かに掲載された瞬間はとてもフレッシュだったかもしれないけど、それは逆に旬を過ぎた瞬間古臭さの源になる。
    十年前の写真を見て古いと思う感覚に似てる。
    時代にフィットして最先端であればあるほど後から見ると古さが目立つ。そんな感じ。

    だからこれはとても十年残る本ではない。
    刊行は昨年末なのに、今でさえぎりぎり。結構寒い。
    来年でも無理かも。

    電子書籍で売って終わりにするのが潔かったんじゃないのか。
    極端に言ってしまえばこの本は読み捨てられ消えていく類だろう。
    そんな役割の物語にも価値はあると思うけど、そういう作品は紙媒体にはなじまないのではないか。
    今後こういう傾向の本が増えていくとしたら、余計に紙の本は売れなくなってしまうのじゃないかしら。

    ページを開かれなくなった本は悲しい。
    それが想像できてちょっと切ない。
    おこがましい言い方をしてしまえば、今私が読んであげてよかった。

    今しか書けない本はパワーがあると思う。
    でもそれはたった今流行している文化やタレントを使うということではないでしょう。
    いい本は古くならないんだから、時代におもねることないのに。
    内容よりもそんなことに考えがいってしまった。
    なんだかな。

  • ユリエの黒い部分が出てきたシーンが好きだった。美女はやっぱりずるいし妬ましい。美女のほうが世間に優しくされている分、性格も自由奔放で明るいのではないかと思う。でも、完全に性格が良い人なんていないよなあ。私はヤイコ寄りの性格、他人の粗探しが好きだし自分を正当化しがち。でもだいたい人間そんなもんだと思ってる。ただ、そんな人々が好きなのは、自分を知ってくれる人、自分を大切にしてくれる他人。だから好かれたければ相手のために尽くすのが良い。みんなのために頑張ることを覚えたヤイコだからこそ幸せになれたんだと思う。私も自分本位すぎないように気をつけたい。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

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