夜をぶっとばせ

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 258
感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022509758

作品紹介・あらすじ

どうしたら夫と結婚せずにすんだのだろう。「思い切ったこと」がしたくなったある夜、ネットの掲示板に書き込んだことで、たまきの日々は「何かが決定的に」変わりはじめる-直木賞作家が掬いとる、あかるく不穏な恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • カメラマンのDV夫、雅彦。出会い系サイトで男を漁る妻、たまき。情緒不安定な二人の子供。どこかネジのおかしいたまきの友人、瑤子。登場人物全員が歪んでいて、何かが欠落していて、「悪いサイボー」に支配されている。共感出来ないし、そこはかとなく不快・・・なのに、なぜかずるずると物語に引き込まれてしまう。たまき側から見た「夜をぶっとばせ」は無彩色だけど、雅彦側から見た「チャカチョンバへの道」から急に彩豊かな展開になり、一周回って見事な着地へと誘われる。摩訶不思議な井上ワールドです。

  • 『夜をぶっとばせ』
    夫の雅彦は金も稼がずたまきに暴力を振う。
    息子は小学校で同級生から舐められ、娘は大学病院の小児心理室へ通う。
    夫と子ども二人を悩みの種にしてたまきは生きている。
    だから、たまきは出会い系サイトで遊んでみた。
    割り切った男たちと思い込みの激しい男との関わりのなかで、うまい具合に歯車がかみ合い、たまきは夫から逃げることに成功する。

    『チャカチョンバへの道』
    三年後、たまきと離婚した雅彦は瑶子と生活していた。瑶子がたまきの同級生と知らぬまま。
    雅彦がたまきとアフリカ人男性のつながりに気づくと、芋づる式に瑶子のおかしさが露呈する。一夫多妻制とは。

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    おかしな雰囲気のまま、一気に進んでいった。心地よかった。
    たまきさんが同級生の親に対して、学校と家で二度向かっていく場面でまずグッときた。
    三年後、状況が格段に変わっていて、瑶子がズレまくってることが最後まで読めなかった。一夫多妻制でDVは起こるのだろうか。
    説明しすぎない、こういう小説が好きだ。

  • 「夜を~」は面白しろかったけど、「チャカ~」はイマイチ。

    両方ともこの人っぽい、っちゃあ、この人っぽい(笑)

  • 荒野さんの本はたいていすきだったが、これは、、、うーん。

  • 後付けで話をまとめた感じ

  • 2012・10・3読了

  • 一話目と二話目は繋がっています。そして一話目と二話目で全く印象が違ってきます。二話目は何だか不思議な話で、でもハスキー犬と旦那さんがリンクするところで上手くオチた…とか言うと変だけど、自分ではうんうんと思ってしまいました。普遍的な事柄を独創的に描いてしまう荒野さん、面白い。

  • 「夜をぶっとばせ」と、その続編「チャカチョンバへの道」の二編。
    家庭に不和を抱える主婦の日常にパソコンがやってきた。
    ネットをつなぎ、メル友募集の掲示板に書き込んだときから、彼女のその日常は、何かが決定的に、変わってゆく。

    この「何かが」「決定的に」っていう感覚ものすごくよくわかる。何がかはわからない。ただ変わったことだけはわかる。決定的に。説明しろと言われたって不可能で、何かが、しかも決定的に、としか言えないような感覚。
    主婦のたまき視点で話は進むのだけれど、修羅場でもまるで他人事のようにボーッとしているのがおかしかった。ヘビーすぎるストーリー展開とうまい具合に対比していて独特の空気をつくりだしている。
    ふわふわとおとなしそうに見えて、たまきの中には「夜をぶっとばせ」ほどの煮えたぎる感情があったとしたら?と思うとなんだかゾクゾクした。

    続編はたまきの元夫が主人公なのだけど、話の性格はガラッと変わる奇妙さ。
    アフリカ人のチャカチョンバはメタファー?それとも元夫からしたらすべてが?

  • 歪み。誰しも抱えているようなちいさな歪みを抱えた人たち。行きすぎや、行き違いや、すれ違いや、嘘、ちいさなちいさな礫で変わってゆくことを、シュールに淡々と描いた作品。こういうテンポ、好きだなぁ。

  • 2つの話はつながっているんですね
    2話目を読み始めたとき、1話目は虚言?妄想?と
    思い始めたけれど、読み進めるとそうではなく
    もしかして全部が全部虚言??

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著者プロフィール

井上荒野
一九六一年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。八九年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞。二〇〇四年『潤一』で第一一回島清恋愛文学賞、〇八年『切羽へ』で第一三九回直木賞、一一年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞、一六年『赤へ』で第二九回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『もう切るわ』『誰よりも美しい妻』『キャベツ炒めに捧ぐ』『結婚』『それを愛とまちがえるから』『悪い恋人』『ママがやった』『あちらにいる鬼』『よその島』など多数。

「2023年 『よその島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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