- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022510044
作品紹介・あらすじ
臨床40年の経験を結晶させた、ふだんのカウンセリングでは伝えきれない著者の考え。回答がそうであるように、質問内容にもこれまでのカウンセリングのエキスが詰まっている。家族(親子、夫婦)、仕事、友人など多岐にわたる、28の問いと答え。
感想・レビュー・書評
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家族の悩みって相談しにくいからこそ第三者が関わるべきと思う一冊。2012年に発売された本ですが現代にも通じる相談が多数あります。どれもとても深刻な家族の悩みで「こうすればスカッと解決!」というものはないというのが読んでいて人生や人間関係の難しさを感じさせられました。困ったら医師へ相談といっても現実は解決できないことが多いですよね。カウンセラーって自称できてしまうがゆえに玉石混交なのかもしれませんが合うカウンセラーなら決断の推進力になる可能性があると考えさせられました。
●「手を上げる」といわない
それは暴力 といいます。その認識だけでも重要だと感じました。家族だから大目に見る、しつけとか相手に過失があるとか理由は問わないところが重要です。
●悩みは比べられない
被災者の苦悩に比べたら私の悩みなんて… その比較は無意味だそうです。悩みは比べられないので、いつでも悩んでいいのです。
●家庭内の暴力で悩まれている方のなんと多いことか
凪良ゆうさんの本を読んでみんな何かしらあるというのは感じていますが…。本当に悲しいことです。何かをきっかけに別フォルダにあった記憶が蘇ったり、その記憶が決断を邪魔したり…そういう方にきちんと寄り添うカウンセラーが報われてほしいと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
雑誌「一冊の本」2010年6月号~2012年3月号連載したものを単行本化するにあたり加筆修正しました。
悩み相談とその回答ですが、実際の相談をもとに作成したものです。
震災関連が必然的に多くなります。
信田さんは本当に頭のいいかただと改めて思いました。彼女の本は何冊か読んでいます。
私は相談を読むと「大変だなあ」としか思えませんが、理路整然と分析、相談者以外のかたの心をも解説、どのように対処するか冷静に、でも優しく提案されています。
「妻の浮気」を読むと「なんて酷い妻!」と思いますが、彼女の想像を読むと「なるほど。そうかもしれない」と頷いてしまいます。
「アルコールがささやかな楽しみと語る女性」も、彼女の次の文に納得してしまいます。
>ここまでお読みになってヒトミさんはショックを受けられたかもしれませんね。アルコールが記憶障害(ブラックアウト)を起こすせいもあり、本人の認識している体験と、周囲から見た本人の酔い方とのあいだに大きな落差があるのがアルコール問題の常態なのです。娘さんたちが母から距離をとってきた背景には、このような事態が起きていた可能性は高いと思われます。
ただ、読み終わって疑問を残したままのことがひとつあります。
トラウマとフラッシュバック。
信田さんは次のようにいいます
>蓋をしていただけであって、過去のものになっていたわけではないのです。もう一度正面から被害経験を扱う必要があると思います。
どんなに苦しくても思い出したらラッキーだ、と私はクライエントに伝えるようにしています。(略)過去を精査し過去を処理することなくして未来はないと私は考えています。フラッシュバックは置き去りにされた過去の記憶がその人を呼んでいるのかもしれません。
ご自分に起きていることが「正常な反応」であり、過去のトラウマに向き合うチャンスがめぐってきたのだとお考えになり、トラウマや被害経験を扱うことのできるカウンセリング機関を利用されるようにお勧めします。
何かをきっかけにゴミ箱をひっくり返して、過去の嫌な思い出が浮かび上がるのは私にもわかります。
私たちにできるのはゴミ箱をひっくり返さないこと、あるいはゴミの上に痛みを感じない記憶をたくさん積み重ねるしかないと思っていました。
でも優れたカウンセラーがいてくれたら、過去としっかり向かい合って解決することができるのでしょうか?
トレイシーローズの手記を読んだとき、そういう世界があるのかなと思い始めていたところでした。 -
146.8
カウンセラーとしての見地からのアドバイス -
良書。