- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022510303
作品紹介・あらすじ
小学六年生で母が死んだ。その二年後、父は逮捕された。非行に走り、ホームレスになり、自殺未遂を繰り返した著者がたどりついた答えとは…衝撃のノンフィクション!
感想・レビュー・書評
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母親を父親によって殺された息子(著者)。被害者家族であり、加害者家族でもある。父親には死刑判決が出たが、生きていて欲しいと強く願うことははたして叶うのか。死刑制度について、私たちはもっともっと真剣に向き合い、考えなければならないと深く思った。著者については、顔や実名を公表したことで書かれている以上の嫌がらせやバッシングもあっただろう(進行形かな)心ない人の言葉に深く傷つくこともあるだろう。でも、どうか強く、強く生きて欲しいと思う。韓国の『私たちの幸せな時間』を思い出した。こちらも是非読んで欲しい。
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2016.9.11
2人の殺人事件で被害者遺族になると同時に加害者家族になってしまった著者の苦しみ、最愛の母を殺した父に対する憤り、葛藤、そして愛が痛いほど伝わってきました。
文章はけして上手ではないけど、読んでて辛いシーンが多々ありました。
表紙の著者のスーツ姿が、この本を出版する決意みたいなものを感じさせてくれました。 -
失いたくないという理由で、実の父が母妻)を殺す。一人っ子の著者は加害者深く考えるあり、被害者家族…。
最高裁まで行っての死刑判決。廃止論者ではないし、妥当と思うけれど、著者の心境としてはどうだろう。生きている肉親を失うのはやはり受け入れ難いと思う。
子どもは親を選べないと実感した。自分や家族、大切な人への愛情の注ぎ方を深く考えさせられる一冊。 -
タイトルの通り、父親に母親を殺された子供の手記。
著者が6年生のときに母が「事故死」。
父とふたりで生きていこうとするも、実は父による殺人だったことが発覚する。
遺族の辛さやその表現は人それぞれで、死刑を望む人もいれば望まない人もいる。
死刑を望まないことと許すことはイコールではないし、望むにしろ望まないにしろ声を上げる人は色眼鏡で見られる。
遺族の気持ちを考えろと簡単に言ってしまえる人の多くは当の遺族の声を聞こうとしたことがない。
この本にも少し出てくる被害者遺族の原田さん(「弟を殺した彼と、僕」http://booklog.jp/item/1/4591082350も、そんなことを言ってた。
この人の場合は被害者遺族であると同時に、加害者家族でもある。
「母が死ぬ」だけでも大変なのに「母が殺された」という遺族の苦しみ、「母を父を殺した」という家族の苦しみ、「父親が犯罪者」というスティグマの苦しみまで加わる。
家族を殺されたから殺したやつを殺してやりたいと思うのも、
家族を殺されたからこれ以上家族を殺されたくない(たとえそれが殺したやつでも)と思うのも、
この本には出てこない意見も、被害者や遺族がそう感じたならそれらはみんな被害者や遺族として当然の意見だ。
この本で著者が訴えているのは、事件はそれぞれ違うから、遺族が望まない死刑もあるということ。
死刑についてきちんと考えて欲しいということ。
そこについては確かに考えるんだけど、それ以上にあまりにも傷ついた人に対するケアが不足している日本の社会について考えた。
この人はまだ20代だ。大昔の話じゃなくて、今世紀の話なのに。
事件自体が辛いのはどうにもできないけれど、この子に手を差し伸べる仕組みはつくれるはずなのに。
文章はあまりじょうずではない。
書いた時の時間と語られている時間が混在して、ちょっと読みにくい。
でも混乱も迷いも全部必死で伝えようとしている声はしっかりと届いてくる。
こんなに必死で伝えたい気持ちがあるってことを、受けとらなくちゃいけない。
終わりに付録として付いてある判決文の補足意見が、著者の訴えをきちんと受け止めたことを伝えようとしていて感動した。
あれはきっと、この人のために書かれた言葉なんだと思う。
関連
同じように母を亡くしたアメリカの子の話
「父がしたこと」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4774300969 -
図書館
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小学6年の時に父が母を殺し荒れた10代を送った筆者が父の死刑反対の活動をするに至るまでのドキュメンタリーでとっても考えさせられました。
私には筆者が自分が生きていくための杖として犯罪者の父に過度に精神的に頼っているように見えます。
心に傷を負った加害者家族、被害者家族にはカウンセリングを定期的に継続的に社会保障として受けて欲しいです。
そして彼が事件後温かい環境で育つことが出来なかった社会のあり方が変わることを望んでやみません。 -
死刑制度について、
今までは被害者目線からしか考えていなくて
死刑になるような事をしたのなら、
しょうがないと思っていた。
でも本を読んで、もし自分が同じように
被害者側と加害者側の間になるようなことがあれば、
きっと全力で死刑にはならない別の刑になるように尽くすし、死について考えると思った。
人間だれでも、自分の死を悲しむ人が1人でもいることを思い知った。 -
あまりにもタイトルが衝撃的で手に取った本でした。
著者の大山寛人さんが書いてある通り、人の数だけ答えは存在すると自身も同感です。
本を読み終え、大山さんのこれまでの苦しみもこれからの苦悩も簡単な言葉では言えるものではないと思いました。
ただ、母親への愛情、父親への強い想いは伝わってきました。
被害者家族であり、加害者家族であるという貴重な体験を知り、読むことができて良かったと思います。
大山寛人さんが今、幸せであることを願います。