明治・妖モダン

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.26
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022511126

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】江戸が明治に改まって20年。煉瓦街が並び、アーク灯が夜を照らすモダンな銀座に立つ、掘立小屋のような派出所。巡査の滝と原田は、市民からの相談事に乗り出すが、そこには、明治の世では消えてしまったと思われている妖たちが跋扈していた!

感想・レビュー・書評

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  • 畠中恵の和風ファンタジー。
    明治に入って20年、いつの間にか消えたかのような妖(あやかし)たちは、そこかしこの闇に潜んでいる‥?!

    第一話 煉瓦街の雨
    煉瓦街にりっぱな建物が並び、アーク灯に照らされた銀座の一等地。
    一つだけ掘っ立て小屋のような派出所があった。
    巡査の滝と原田は、名コンビ。
    行きつけの牛鍋・百木屋で、三味線の師匠お高ら常連と、仲良く過ごしている。
    すっかり近代化したように見える町並みですが、今でも何かと妖怪の噂も‥

    第二話 赤手の拾い子
    拾った幼女がどんどん成長する。
    引き取った男性はその不思議にもかまわず惚れ込んで、妻に迎えたらしい。

    第三話 妖新聞
    妖しい出来事について記事を集めようとしている新聞記者が‥?

    第四話 覚り 覚られ
    議員に立候補するため、箔をつけようと動いたり、群がって金を手に入れようとする人間達。
    議会政治の草創期に、あやかしが絡みます。

    第五話 花乃が死ぬまで
    巡査の顔が、若い頃の婚約者にそっくりだという女性が現れ‥?
    切ない愛の物語。

    妖怪といっても、「しゃばけ」シリーズのような、ほのぼのした雰囲気とはちょっと、違います。
    小さな妖怪がその辺をちょこまか動いているようなことはなくて。
    ややホラー系の、大人っぽい、ちょっとだけ色っぽい印象。
    洋菓子屋さんの「アイスクリン強し」や若様組の話のほうが、時代は近いんですね。
    滝と原田は、ちょっと佐助と仁吉にだぶるけれど、関係あるわけじゃないのか、どうなのか‥??

    活気ある明治を舞台に、江戸の空気をどこかに残しているような人情や生活ぶりが描かれます。
    妖怪にもそれぞれの心意気やこだわりがあり、善人には優しい。
    関わる人々同様に‥
    さらりと読めました。

  • 簡単に人は死ぬし、救われることもない。初期のゲゲゲの鬼太郎みたいな雰囲気。「骨と灰まで愛おしんであげる」薄ら寒さと照れがすごい。

  • 時代設定は面白いし登場人物たちのキャラクターもなかなか個性的で面白い。ただ読み始めから途中まではやや混乱。ん?誰が妖?原田と妖・原田の違いは?みたいに頭の中がハテナだらけになってしまった。何とか理解できたので次作に続く。

  •  江戸から明治になって20年。
     銀座は煉瓦街となって、アーク灯が灯るモダンな街になったが、そこにある巡査派出所は掘っ立て小屋そのもの。
     そんな派出所に勤務する原田さんと滝さん。
     鎌鼬だの、瞬く間に成長する女の子だの、不思議な事件がたびたび起こる。
     文明開化とともに妖は消えたと思われていたけれど…。


     5話の短編。
     徐々に正体というか真相が分かっていく感じで、うっすらとした怖さや不思議さが漂うお話です。
     確実な正体は最後もちょっとぼかされた感じだったけれど、それがよかったのかな。
     シリーズ第2弾があるみたいなんで、そっちもぜひ読みたい。

     何気に赤手さんが好きです。

    ------------------------------------------------------------------

    ネタバレになるかもですが、気になるので…。
      ↓
      ↓
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      ↓
     第三話の原田さんの件、1つの体に、妖のほうの原田さんと、そうでないほうの原田さんがいたということでいいんですかね?
     で、『そうでないほう』の原田は死んじゃったわけで…、滝さんたちにしてみれば、自分のお仲間の原田さんが残ったわけだし、妖のほうの原田さんがいると知らない人にしたら、今までと変わらない姿かたちの『原田さん』がいるから、『そうでないほう』の原田さんがいなくなったとは気付かないわけで。
     死んでしまった『そうでないほう』の原田さんが無念というか、切なすぎる。

     あと、第一話のみなもさんの件は、それきりなんだ。もう現れないの?
     みずはさんがみなもさんだとか、そういうことではないんだね。

    • amazakeさん
      私の受けた印象は違うので、私の印象をお話しますと、第一話のラストから察するに、原田さんは、一つの体でなく、本物の原田さんと鉢合わせしないよう...
      私の受けた印象は違うので、私の印象をお話しますと、第一話のラストから察するに、原田さんは、一つの体でなく、本物の原田さんと鉢合わせしないように、あやかしの原田さんが現れたり、消えたりしていたんじゃないでしょうか?姿を影に隠してしまえるような描写が最終話に出てきますし。とても上手にやっていたってことですね。本物の原田さんも気づいていなかったようだし、でもなりきるために、影になって側にいたのかもしれないですね。奥さんと子供のその後が、ちょっと気になりますが。

      あと、みなもさんは、みずはさんかもしれないし、違うかもしれないし、という含みを持たせて、読む人の想像にまかせてるのかな、と思いました。
      2016/05/20
    • 如月久美子さん
      >nebusokumamaさん

       なるほど。2人で1つの体ではなく、それぞれが体を持っていたということですね。
       でも、そうだとして...
      >nebusokumamaさん

       なるほど。2人で1つの体ではなく、それぞれが体を持っていたということですね。
       でも、そうだとしても、『そうでないほう』の原田さんはいなくなってしまったので、奥さんと子どものその後も気になるし、『そうでないほう』の原田さんが無念と思ってしまいます。。。

       みなもさんも、妖であれば通常死なないだろうし(原田さんたち、何度も蘇ってる…)、死なないのであれば、また出て来てもよさそうなところ…と思っていたので、気になってました。

       この2つの件、続編と合わせても、それきり触れられてないから、さらなる続編が出ても、このままなのかもしれませんね。

       コメントありがとうございます。
       私は頭が固いので、1度自分でそう思ってしまうと、なかなか他の考えが思い付かないんで、参考になりました(*^_^*)
      2016/05/21
  • 畠中恵、ノンシリーズ。しゃばけシリーズよりちょっと血生臭くて、得体のしれなさが勝った作品。こーゆーのも、キライじゃないぞー。

    ほんわかした作風のくせに、結構ダークな人の心の裏表とか、欲望とか犯罪とかを描くのが、この作者だ。今回はそのブラックなところがかなりにじみ出てる。連作一作ごとに、・・・こいつも、そいつも化け物かよー!となるんだけど、またこれが名前も定かでない化け物なのだ。いや私が無知なだけかもしれないけど。

    ミステリとしては消化不良気味だけど、最後の書き下ろしはちょっと萌えましたね。異種恋愛譚とゆーやつ。言葉も心も通じるなら、妖も人も共存していけるんだろう。今もどっかそのへんにいたら面白いな。現代なら、妖怪アパートみたいになるかもね。

  • メインキャラが全員妖っていうのは最後の最後に種明かしだったので、それまでなんか辻褄合わないなぁと感じる箇所が多くて読みにくかった。畠山さんの作品にしては、魅力的なキャラが少ない印象。

  • 2014.10.06 再読

    妖シリーズ第一弾

    ◎登場人物
    巡査 原田
    巡査 滝
    三味線師匠 お高さん
    煙草屋 赤手
    牛鍋屋「 百木屋 」百木賢一
    妹みなも、みずは

    • 煉瓦街の雨
    どしゃ降り雨の中 暇潰しに聞いたお話。
    かまいたち、だけど 元話は「ムジナ」

    • 赤手の拾い子
    赤手さんがよく育つダイヤモンド付きの赤子を拾いました。
    鬼女
    いろんな原田さん?

    • 妖新聞
    原田さんご結婚。照れ照れ
    新聞記者に付き纏われます。
    原田さんは、2人?鎌鼬?

    • 覚り覚られ
    赤手さんが無自覚な行方不明になりました。
    さとりは、お高さん?

    • 花乃が死ぬまで
    滝さんと花乃さん。
    滝さんは何者ですか?

    みなさん、何者ですか?

    今までのしゃばけでは素性がはっきりしてたけど 今回のは、常に何者??がついて回る。

    2014.10現在 続編が連載中とのことで、次巻が待ち遠しい…

  • 結局よく分からず仕舞いなとこも多々あり。
    「汲んでくれ」といった雰囲気に終始呑まれました(笑)

  • 前に出た「若様組」や「アイスクリン」の続きかなと思っていたら、あまり関係がなかったので、残念。そしてよく分からなかったところもあり。うーん、残念。

  • 週刊朝日に続編「 明治・妖キタン」が連載されてます。
    登場人物の謎の続きが明らかになるようです。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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