火男

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 62
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022511348

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】永享13(1441)年。関東管領との戦いに敗れた鎌倉公方・足利持氏の遺児が幕府に反乱を起こした。総州にある古河城もそのひとつだ。火を自在に操るひょっとこ顔の異形のサムライ俵藤藤太は、古河城の姫・伽那を助けたことから入城することとなる。やがて反乱軍鎮圧のために、鎌倉の軍勢10万が押し寄せる。籠城するのは山賊野伏なども混じえた混成部隊わずか85名。起死回生の奇策はあるの!?

感想・レビュー・書評

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  • 読みやすかった。
    火薬を使った合戦は迫力があった。
    「誰も住まぬ島を取り合い、百万の人間が死ぬようになるだろう」は余計。朝日時代小説大賞、朝日新聞出版。。。
    総大将と敵本陣で一騎打ちもあり得ない。案内する敵将も、受ける大将もどうかしている。遠巻きにして討ち取るべき。
    まぁいいや。

  • ほぼ経験のない「時代小説」を読む。
    経験がないからか、他のかたの書いている「王道っぷり」がストレートにひびいて、わたしは好き。不覚にも涙目になったところも。
    ぶちゃいくだけど何故か人の心を一瞬で奪い去る不思議な魅力のある主人公、
    圧倒的ゲスな城の主たち、
    将来への希望などとうに無くした家来たち、
    意外と良いやつな敵。
    登場人物が個性あるキャラクターで読みやすい。

    刀と刀で心を交じらせながら戦う時代はもう終わり。
    これからは、少量の火で何千という人が死ぬ戦になる。
    そうなったとき、その戦に心はあるのだろうか。

    主人公の圧倒的な力を前に、ふとつぶやくシーン。
    戦に心、という時点で既に?だったけれど
    たしかに昔は
    お互い名乗っての、いざつっての、タイマンなわけだから。
    相手をたたえながら相手を殺していたのだろうね。

    戦での心のやりとり、=生きている感覚
    だったから、家来たちもみな、戦がはじまると生気を取り戻したんだろうね。
    爺さまなんて目をきらきらさせちゃって。
    あぁ生きているぞ!俺はここだ!なんて叫んじゃって。

    さいごに言いたい。
    カナチャン、毎度つかまりすぎだろ。

  • 2015.08.30

  • 多勢に無勢の攻城戦というと、どうしても「のぼうの城」を思い出してしまう。あるいは硫黄島…

    圧倒的不利な側に「火薬」という秘密兵器を持たせ、その秘密兵器の使い手に好漢をもってきた設定はベタだが好みである。一途なヒロイン、有能なサブキャラにライバル。嫌われ系の敵も味方もいる。鉄砲伝来直前の室町時代という時系列もなかなか見事なもの。
    クライマックスの戦闘シーンは中々残酷、映像化するならあまり阿鼻叫喚極めないほうが良いくらいの大迫力。

    全体的に大きな瑕疵はないものの、いま一歩のめり込めないような読了感。
    あと一味なんかスパイス利かせてくれたら満点☆やねんけどなぁ。

  • 80人で鎌倉軍12万人を打ち負かすという歴史時代ものとしては楽しめる、でもよくあるパターン。昔の戦に現代の火薬を使った戦争で圧倒していくという意味では戦国自衛隊を思い出した。面白い本だけど、面白いパターンをいくつも踏襲しただけのような感じがちとどうだろうと思わないでもない。勧善懲悪、美女と野獣、宮仕えの苦渋、男同士の絆などなど一通りてんこもり。

  • 男は顔じゃない。ひょっとこの面のような顔の藤太を最初は皆が笑っていた。しかし、話が進むにつれ皆、藤太を火の神として認めていく。あるものは畏れ、あるものは神だ殿と崇める。孤独に生きてきた藤太が彼らのために奇跡のように戦い抜く。楽しかった。

  • 10万の鎌倉軍と戦うのは僅か85名。勝敗の鍵を握るのは炎を操るひょっとこ顔の男。第5回朝日時代小説大賞の時代物エンターテイメント。

    ひょっとこの語源は火男から来ているという説もあるみたいだし、そこから起草したのかな。あの腐れ外道の件は納得。

  • 読みやすく、エンターテイメントとしては申し分なし。もうちょいひねったタイトルにすれば受けがよさそうなのに…

  • 「のぼうの城」(和田竜)のような、少数精鋭で城を守るというエンターテイメント小説ですが、比べると、どうしてもキャラクターの個性に弱さを感じました。

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著者プロフィール

一九五七年茨城県生まれ。二〇〇五年に「キタイ」で第六回ホラーサスペンス大賞を受賞し、デビュー。『ラスト・セメタリー』『赤い糸』『祭りの夜、川の向こう』などのホラー作品を執筆。初の時代小説『火男(ひをとこ)』が、一三年に第五回朝日時代小説大賞を受賞し、このたび『炎が奔る』と改題して文庫化。

「2021年 『炎が奔る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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