- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022511881
感想・レビュー・書評
-
偽疑惑をかけられた新人小説家と彼の担当新米編集者のペアによる、おとぎ話の解体&謎解きストーリー。
著者の「黒猫」シリーズでのポオ作品解体が好きなので、こちらも読んでみました。
よく知られたおとぎ話の解釈は、なかなか黒かったです…といっても、そもそもグリム童話などは恐いお話が多いから黒くなるのも納得。
「アンデルセンが『このウンザリな世の中め』と唾を吐いている最高なロックな小説」が「人魚姫」、との解釈には、従来の人魚姫の悲恋物語のイメージをひっくりかえされました。
よく知られている童話も、見方が変わると面白みも増します。
全体のストーリーは、できすぎている感が否めませんでしたが、そもそもおとぎ話だってできすぎた展開なのだと思ったら、そんなに気にならず読めました。
森晶麿さんの描く探偵役の男性は、みんな容姿端麗かつクレバーかつシニカル…と同じような傾向なのだけれど、それでも目が離せない私はミーハーなのかな…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
嫌いじゃない。こういうキャラクター。現実に身近にいたら遠巻きにしちゃうけど。
作中作を読んでみたいな。 -
「感傷と恋は似ているが、違う」
-
エピソードとして恋愛小説の香りも少しするけど、推理・ミステリー小説の要素あり、童話の豆知識あり。
-
2017.2.4 読了
-
恋愛小説家・夢宮宇多と、新米編集者の井上月子。
ふたりはシンデレラや眠り姫など童話に絡んだ事件と遭遇し、その謎を解き明かしていく。しかしそのうちに、月子は夢センセが何者なのか疑問を持ちはじめる。
夢センセの童話解釈が面白く、毎回楽しみだった。
装丁が可愛らしく、内容も気軽にさくさくと読める。 -
イケメン出したかったのかもしれないけど恋愛小説に本名散りばめるの痛すぎでしょ………。ラストのこれはこうでこうだったんだドヤァっていうのも納得の違和感バリバリな作中作の文体、意味の通らない文……これが恋愛小説として賞とれるわけないじゃん、と思うし主人公が褒めまくってるのも頭悪そう。
おとぎ話ベースの物語は大好きだしこの解釈もよかったけど少し軽すぎたように感じた。 -
新米の編集者である月子が初めてついた小説家は恋愛小説の新人賞をとった作家本木。第2作目のプロットを出してもらうもののどれもこれも第一作とは全く違うミステリばかり。それどころかおとぎ話の王道恋愛もの(シンデレラ、眠れる森の美女、人魚姫etc.)の恋愛要素をこっぱみじんにする解釈で月子を翻弄。
そんな中、本木にニセモノ疑惑と殺人容疑。それと同時に本木は失踪する。はたして真実は・・・
「本当は怖いグリム童話」とかでおとぎ話の新解釈が一般にも知られるようになったけど、この小説の中のおとぎ話の新解釈はかなり衝撃的だった。いやではないけど、こんな風におとぎ話を「分析」しながら読む人ってどんな感じなんだろう・・・
何かこのニヒルな感じが何かに似ているなぁと思ったら、「黒猫の遊歩あるいは美学講座」と同じ人だったのね。 -
「第一回晴雲ラブンガク大賞」を受賞して、華々しく文壇にデビューした恋愛小説家・夢宮宇多。その勢いを買われてか、恋愛小説のようにロマンティックな体験談を持つ女性を実際に訪ねて話を聞く、というネットテレビ番組のホスト役の仕事が入ってくる。担当編集・井上月子の説得で仕事を受けることとなったのだが、そこで出会った女性はまさに現代のシンデレラのようなエピソードをもつ女性であった。しかし、夢宮宇多は話を聞くうちにエピソードの隠された真実に気付いていく。
その一方で、夢宮宇多の受賞作は亡くなった彼の幼馴染みが書いたのではないか、という疑惑が浮上し、物語は意外な展開を見せるが……。
イケメンどS恋愛小説家と新人編集者・月子のドタバタブラックミステリー。シンデレラ、眠れる森の美女、人魚姫、美女と野獣の物語を絡めた連作短編集。ノリは黒猫シリーズと一緒。絡め方とかブラックなオチとかわりと丁寧で面白いし、先生のキャラも好きなんだけど、どうしても月子が好きになれなくてつらかった。下衆の勘繰りが過ぎる気がして、思い込みも強いし、猪突猛進だし編集者としてどうなの?と思ってしまって……。もうちょい地道に関係を重ねてラストにたどり着いてほしかったかな。黒猫より題材が親しみやすくて解体も面白いから、続編は楽しみだけれど……。 -
新人編集者・月子とデビューしたての恋愛小説家・夢宮宇多が、おとぎ話(シンデレラ、眠り姫、人魚姫、美女と野獣)をモチーフに謎解きをすると同時に、夢宮宇多のデビュー作「彼女」は亡くなった幼馴染みが書いたのではないかという疑惑も語られる。
わりとコミカルな作りで、普通の謎解き集だった。
ところで、本の奥付の著者名2ヵ所にシールが貼られている。本編と連動した仕掛けかと期待したが、どうやら校正ミスらしい。残念。
(図書館)