- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022513441
感想・レビュー・書評
-
もう本当におもしろい! 新聞連載時もとても楽しみにしていたけど、こうやってまとまったのを読むと、あらためてその文章のチカラが感じられて、自分までテンションが上がる。好きだなあ。
「コンサバティブに用はない」と言い切る未映子姐さんが語る、「おめかし」のあれこれ。「モテ服」とか「年相応」とかのいじましい思惑なんか蹴飛ばして、自分がいいなあと思った服を着る。ハイブランドのバカ高さにパンチを食らったり、確定申告の時期にはあまりの被服費に青ざめたり、お母さんのパートの時給を思ってうなだれたり(こういうところが彼女らしい)しながら、それでも好きな服を買う。コミカルで笑える文章なんだけど、ファッションってなんだろう?って考えさせられる。ほんとにファッションってなんだろう。
夫の「阿部ちゃん(阿部和重)」は、「サン・ローランばっかり買ってるけど迷いがない」そうだ。作品を買うと思えば値段じゃない、という考え方らしい。一方著者は、やはり服を買うことにどうしても後ろめたさを感じる、と書いていて、それ、わかるなあと思う。だって、服はあるもの、タンスからはみ出るほど。でもなぜか今日着ていく服はない。だから買いに行く。いいなと思ったのを試着して、あら似合ってるかも?と思えたときの高揚感や、お気に入りの服を着ているときの気分の良さって、ちょっと他にないもののように思う。
でも、「たかが服」なんだよね。「心のなかにちっちゃい宮沢賢治がいるから(笑)。つねに過去の自分と、母親の時給のことを考える」という川上さんの感覚が好きだ。
とは言うものの、かのプラダが芥川賞授賞式用ドレスの提供を申し出たというエピソードをお持ちの著者のこと、カラーページで紹介されているお洋服はどれもかっこよく、ご自身もフォトジェニックな美貌の持ち主だ。経歴も、その作品世界も一般人とは別物なんだけど、どこか「大阪のお姉ちゃん」的な親しみやすさがあるところが、また魅力的なのだな。
連載時に読んであまりにおもしろく、よく覚えていたのが「ああ、金剛石よ!」という一文。ある撮影でつけた「ごろりとしたダイヤモンド」に魅了され、700万ほどするそれを、無責任な友人にけしかけられてもう少しで買いそうになった、という話だ。「『こ、ここで買ったらちょっと面白いのかも…』なーんて考えている自分がいるのである。恐ろしすぎるわ」とあって、笑った。この文章、本当に勢いがあっておかしく、ピカイチだ。
あと、ハリウッドセレブのパーティメイクを真似してみたら結構いけてる気がして、そのまま買い物に行ったら、すれ違う人がみな警戒している気配がする、「?」と思いつつお店の鏡を見たら「そこにいたのはあり得ないほど濃いメイクをして、なんかものすごく強そうな、そう、まんま『デビルマン』な人」だった、というのも想像すると可笑しいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一人旅をする新幹線の中で読んでしまった1冊。
面白かった。
「真夜中の恋人たち」が良かったので、へえーこのひとファッション詳しいんだ?と思いつつ手に取ったエッセイだったけど、タイトルが「おしゃれ」ではなく「おめかし」なのが絶妙だなと感じた。
ちょっと値の張るネグリジェがほしくなってしまった。 -
おしゃれ、と、おめかし、は違う。
-
エミリオ・プッチのコート(通称錦鯉)
-
フラリと入るのがティファニー!おぉ、さすが売れっ子作家は違いますわ~ってな感じですが、次のページを捲れば服を買いすぎて確定申告に怯えたとか書いてあったり、大阪弁のテンポの良さも手伝ってグイグイ読み進めました。
途中にエッセイで紹介した御自分の服を公開されていたり、対談も面白い上に示唆に富む内容。作者のファッションと言葉に対するセンス、鋭さが感じられてエッセイとは思えない中身の濃さでした。 -
面白かったです。なかなかハイブランド好きでこんな筆力がある人いないんじゃないんでしょうか。しかも、ファッションを語る上では見栄を張りがちですが、ちゃんと見栄を張らないぞ!という気概がよくよくわかります。
すごく読みやすくて、よかったです。 -
おめかしで気分が左右されるのは男女一緒ですね。
学生時代、寝巻きで大学に行ってヘラヘラしてた僕はおめかしを語れません、、、