砂の果実

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514073

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】中森明菜「少女A」、チェッカーズ「哀しくてジェラシー」、郷ひろみ「2億4千万の瞳」、荻野目洋子「六本木純情派」…きらびやかな数々のヒット曲を彩った斬新な言葉たち。その時代を疾走した作詞家が回想する、80年代の輝ける日々。作詞家生活35周年記念出版。

感想・レビュー・書評

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  • 売野雅勇の名前を意識したのは、80年代、中森明菜をよく聴いていた頃。当時私は10代なりたてだったが、大人っぽくリアルで、子供ながらに言葉のインパクトが強い人だなと感じていた。
    80年代がブームの今、当時のエピソードをぜひ知りたいと思い手に取った。コピーライターだった売野さんが、どういうきっかけで作詞家になり、ヒットメーカーの階段を駆け上がっていったのか…様々な大物ミュージシャンが登場し、エピの一つ一つがとにかく煌びやかだ。
    転機となった中森明菜の「少女A」誕生秘話は、別の本で売野さんへのインタビューを読んではいたものの、改めてゾクゾクする。盟友となった作曲家の芹澤廣明氏とのタッグで、チェッカーズのヒット曲を次々生み出す過程は、もう最高!!誕生の裏に、こんなストーリーがあったなんて…。当時の音楽に多大な影響を受けてきた者としては、ホントたまらないです!!
    本書は文庫にもなっているけど、私はこの単行本の、80年代の空気が感じられる装画が大好きだ。軽やかでお洒落だけど、なかなかに熱くて勢いのあった時代だったのだなとつくづく思う。

  • 1980年代を代表するヒットメーカーとなった作詞家が、デビューから80~90年代を主に回顧したエッセイ集だ。

    私とは同郷(栃木県足利市)でもあり、この人に親しみを感じている。そんな贔屓目を差し引いても面白い本である。

    売野雅勇にはヒット曲が山ほどあるわけで、その舞台裏を逐一書いたら数倍の分量が必要だったろう。ゆえに、自らにとって画期となった仕事に的を絞っている。

    「少女A」「涙のリクエスト」の舞台裏エピソードはドラマティックだし、矢沢永吉、坂本龍一とのコラボ・エピソードはスリリングだ。

    まあ、いかにもバブル前後らしい、チャラついたバブリー・エピソードも多くて、そのへんは読んでいてゲンナリしてしまうのだが……。

    タイトルは中谷美紀の同名曲から。
    作曲・プロデュースを坂本龍一が担当した中谷美紀の一連の作品については、1つの章を割いて詳述されている。
    《中谷美紀さんに書いた作品のすべてを、ぼくはいまでも自分の代表作だと考えている》と……。

    「砂の果実」もいいけど、何と言っても「Mind Circus」は神曲だよなァ、と私は思う。同曲の舞台裏についてもたっぷり綴られている。「Mind Circus」は売野の造語で、ジョン・レノンの「Mind Games」にインスパイアされたのだという。

  • 著者、売野雅勇さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    売野 雅勇(うりの まさお、1951年〈昭和26年〉2月22日 - )は、栃木県足利市出身の作詞家。麻生 麗二(あそう れいじ)の別ペンネームでも活動している。所属事務所はフェブライオ・エ・メッツオ、ディヴァイン。

    で、本作の内容は、次のとおり。(コピペです)

    【文学/日本文学評論随筆その他】中森明菜「少女A」、チェッカーズ「哀しくてジェラシー」、郷ひろみ「2億4千万の瞳」、荻野目洋子「六本木純情派」…きらびやかな数々のヒット曲を彩った斬新な言葉たち。その時代を疾走した作詞家が回想する、80年代の輝ける日々。作詞家生活35周年記念出版。

    80年代歌謡曲、何やら、懐かしい響きですねえ。
    私の80年代は、年齢が20~30歳位ですね。
    ただ、多忙だったので、歌謡曲とはちょっと距離がありましたかね。
    それでも、歌謡曲が流れてくるのは日常のことで、ヒット曲は自然に耳に入ってましたね。

  • 売野さんの歌詞が好きだ。
    さすがにリアルタイムでは80年代以降の
    アイドル時代からしか知らないけど。

    ブランド品のように様々な有名人が出てくる。
    「なんとなく、クリスタル」を読んだときの記憶が
    よみがえったw(褒めてるんですよ)
    「夏のクラクション」の件がたまらなく良かった♪

  • night tempoの興奮冷めやらず、80年代歌謡曲ばかり聴いているこの頃。レジェンドのひとりである売野雅夫先生の著作を読んでみました。
    
    黄色のワーゲンに乗ってアメリカンハウスに住む大瀧詠一に会いにいった話とか、人違いで会ったのがビーイングの長戸大幸だったとか、キラキラしたエピソードがいっばい。
    
    (表紙は大瀧詠一エピソードがモチーフだと思われます。そして、80年代歌謡曲の本を作るなら表紙は鈴木英人だなと思っていたのですが、同じこと考えてる人がやっぱりいた!)
    
    麻生麗二を探して仕事を依頼してきたのが井上大輔で、そのまま彼と同じ会社に所属してしまうとか、来生姉弟のものに決まりかけていた中森明菜のセカンドシングルが偶然やってきた研音の人によって第二候補だった『少女A』にくつがえったとか、でも肝心の明菜が歌いたがらなかったとか、『ギザギザハートの子守唄』が思ったより売れなくて落ち込むチェッカーズを「ビートルズだって2曲めから売れたんだ」と励ました話とか。
    (井上大輔が亡くなっていたの知らなかった。あらためて『哀・戦士』聴くと悲しい。)
    
    あとから書いているのでなんとでも言えるわけではありますが、出会いを運命に変えているというか、その出会いを幸運に変えていく力が感じられる売野さんの人生です。
    
    今なぜ昭和歌謡が若い人たちにまで受けているのかという話を先日知り合いとしたのですが、今のJ-POPの歌詞の中身のなさ、言葉の薄っぺらさに物足りなさを感じている若者からすると、「昭和かっこいいよね」となるのかもと。
    
    今の文化を否定しても意味はないですが、売野さんの歌詞のストーリー性、情景描写の豊かさ、心象風景、色気が今のJ-POPから失われているのは残念なことだと思います。
    
    「つまらない歌謡曲なんてつくらないぜ、という気持ちが、大袈裟じゃなくて、社員の人たちの歩き方にまで出ていた。」
    

  • 70〜80年代の音楽関係思い出話の本では、私は大滝詠一氏が出て来る場面さえあればOKだと思ってる。だってそこが一番ドキドキするんだもん。ほか、まあ、下の世代が羨むようなキラキラしたリア充エピソードを書くのは青春録の使命ですから、怒らず割引いて読みましょう。気持ちのいい散文を書かれるので、私は著者のこと好きになりました。長門氏の話とか大好きですね。でも、こらー、川上弘美をナンパするなー。

  • バブル以降の世代からすれば、フワッとしてんなぁと思うが笑、羨ましい限りだ。

  • ゴロウデラックスを見て。好きな曲の裏話など読めるかなぁと。
    バブルな感じ。作詞と文章はまた違うのだろうけど、前半は知らないこともあってちょっと読み進めるのが大変でした。自分が知ってる曲のお話や作詞という仕事のお話は興味深く読んだ。

  • チャーミング、素敵という単語が多く、食傷気味になりました。
    売野さんの詩はもちろん好きですが、作詞と散文を書くのは違うことを確認できます。
    大瀧詠一の章は人柄がわかり、よかったです。

  • 面白かった。

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著者プロフィール

1951年生まれ。作詞家。上智大学文学部英文科卒。コピーライター、ファッション誌副編集長を経て、82年、中森明菜「少女A」の大ヒットにより作詞活動に専念。90年代以降は映画・演劇にも活躍の場を広げる。

「2023年 『砂の果実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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