春に散る 上

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著者 : 沢木耕太郎
  • 朝日新聞出版 (2016年12月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514417

春に散る 上の感想・レビュー・書評

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  • この作品とても面白いです。最近書かなけど今回わ書く。☆5つ! もちろん誰が読んでも面白い、という保証わ無いです。でも、日頃ボクの感想文をちょっぴりでも読んで「あ、こいつ面白いかも」とか思っていただけている方ならこの本面白いかも!です。

    で、ここで天邪鬼的に話題を変えて。

    じつわ先に読んだ貴志祐介著『エンタテインメントの作り方』に書かれていた、面白い小説の書き方、みたいなノウハウを全部実践している小説だな、となんとなく思いました。

    沢木耕太郎はプロの作家なのだからそんなのあたりまえでしょう、と思いつつ、いやいやでもなかなかどうしてここまで読みやすくて面白い小説わなかなか書けんのでしょう、などと上から的失礼な目線で読んでいました。

    必要なことを最小限の言葉で伝える、これが一番大切なことですな。でもこれがなかなか難しい。書き足りないとわからないし、書きす過ぎるとそりゃあもう読み辛くてどうしようもない作品になってしまうのです。

    沢木わルポライターが本職だから、そういう無駄を省いて事実だけを伝える様なテクニックにわとても長けているのだろう。

    で、とにかく面白いので、たぶん下巻わすいすい読んでしまって、ああもう読み終わってしまうのか残念、とかなる。m(_~_)m(すまぬw)

  • 孤高で極限の精神を鋼の肉体で纏った選ばれし者、それがボクサーのチャンピオン。一人の勝者と残りすべての敗者、リングは栄光と挫折の目撃者でもある。40年ぶりに帰国した元ボクサーで主人公広岡は、当時同ジムで各階級の王者三人と共同生活を始めるが・。いづれも往時の勢いは影を潜め、時の経過は老いという現実へと後押しする。引退後の余生、老いを必然と受容するか抗するべきか万人に訪れるこの難題を模索する中、赤い糸かゴングのロープかに引かれる如く青年が・・。老いと対峙するボクサー魂が時間、肉体との狭間を揺れ動く心理描写は流石

  • 沢木耕太郎さんが高倉健さんのために書いた映画の原案が、御蔵入りしていたが、小説という形で蘇った。また、沢木耕太郎さんがボクサーを書くとなると、『一瞬の夏』を青春時代に読んだオールドファンには期待という言葉以上の昂ぶりを覚える。
    今回は新聞連載で読み終えた。

    ともにチャンピオンを目指した昔の仲間たち4人が同じ家に住み、才能あふれるものの挫折した一人の青年にボクシングを教える。青年は自信と素直さを取り戻し、チャンピオンへの成長を見せるが、眼に故障を抱えてしまう。
    主人公の藤原仁は再びグラブに手を通すが、若いころと異なる心の状態に気づく。若い頃はチャンピオンになりたい、何者かになりたいと念じ、ボクシングに熱中していたが、年老いた今は違う。現在の自分自身に意識は向けられ、今自分はどう”あるべき”なのかを問い、実践している。

    どうありたいのか。
    中年を迎えるころから自分も”あり方”を考えることが多くなった。
    一つの指針として本書を読んだ。

  •  沢木耕太郎の小説を読むのは初かもしれない(いや、きっと初)。大学生の時に『テロルの決算』を読んで以来、ノンフィクション、エッセイと数々の著作を読んではいたが、我ながらちょっとびっくり。ま、ほとんど小説書いてないってことだと思うけど。

     要は苦手分野なのかなんなのか、確かに沢木の小説が良かったとの評判はあまり聞かない。本書も最初は『三匹のおっさん』+ボクシングかっ!?と、いかにも今風で分かりやすい人物造形、TVドラマ向けの舞台設定(登場人物たちが共同生活する都合よい物件など)に、やや鼻白む。装丁、挿画が劇画調というのも現在(いま)の読者を掴むには止む無しなんだろうな~と、早くも☆ひとつかふたつ減じて読み始めた。
     が、アニハカランヤ、単行本上下巻一気読みくらいの勢いであっという間にのめり込んでの読了だった。

     さすが『一瞬の夏』『敗れざる者たち』と著者がノンフィクションの題材としてずっと追いかけていたボクシングのお話だけに、ボクサー(現役、引退した者含め)の心理描写、ボクシング界の歴史・変遷、練習風景や試合運びのリアリティが見事だった。丁々発止の拳の応酬、秒にも満たない瞬間を見事な筆致で描いていてシビれた。
     ただ新聞連載(毎日新聞2015/4/1~2016/8/31)という回数制限の故か、下巻の物語の展開があまりにも急で、もう少しじっくりと書いて欲しい箇所が多々。これでも「連載から大幅加筆」とあるから、新聞連載時は相当端折っていたのかと要らぬ心配もしている。

     主要登場人物は40年前の全盛期に四天王と言われた真拳ジムのボクサー4人。それぞれにワケありの人生を過ごし60代で再会を果たし共同生活を始める。当時のジムのマドンナだった”お嬢さん”も登場(白木葉子かっ!笑)。世話好きなヒロインとして不動産屋の女性が絡み、マスコット的に合宿所にかわいい仔猫を登場させるのも相当アザとい。そして才能を秘めた若きボクサーと彼らが出会うところまでが上巻。
     かつて自分たちがなし得なかった世界チャンピオンの夢を若者に託し、4人のおじいちゃんたちがそれぞれの必殺パンチを伝授、若者がマスターしながら世界チャンプへの挑戦という階段を登っていくという、実に分かりやすい先の見え見えの展開ではあった。必殺パンチを短時間でひとつひとつ習得し実践で披露し勝利していく様は「週刊少年ジャンプ」のノリだったよ。下巻はその過程を一気に描き切る。
     タイトルからもう結末さえも見え見えなんだけど、アクセル全開の飛ばしっぷりに途中下車も出来ずに一気読みで、けっこう滂沱できました。上下巻のバランスの悪さや伏線の張り方の甘さと回収の拙速さなどはあるのだけど、やっぱ男ってボクシングの世界観、好きなんだね~。あと、沢木節のかっこいい台詞に時折「おぉ!」と唸らされ、2017年新年1冊目としては十分満足の作品でした。

     上巻でやや倦まされたのは、スピード感や甘い設定等に加え、すごく作者が透けて見えたこともあったことを挙げておこうかな。
     やはりこれまでノンフィクション作家として読んできたこと、エッセイとして作者の素の思想、感情に触れてきたこともあり、いろんな場面場面で発せられる言葉、風景描写が小説の中の登場人物のものでなく沢木耕太郎のものと思えて、なかなか物語の中へ入っていけない気がしてならなかった。
     おそらく主人公の広岡仁一は年齢設定的にも著者の分身でもあったろうし、沢木自身も後進に、若き世代に夢を託す年齢になっている。その他、映画の話、街の移り変わりに対する感慨など、ほとんど沢木のエッセイを読んでいる気分。主人公が今の時代の歴史小説を読むクダリがあるが、描写が淡泊と主人公に言わせるのも、当然沢木が感じていることなのだろう。
     それと現代(いま)風の味付けとしては、身寄りのいない年寄りたちの共同生活の形を描いている点。さらには、若い登場人物たちも家族の絆が希薄なこと。これは核家族化を通り越した、この先の日本の在り方を著者として示唆していたのかなと深読みできなくもない。

     おまけにもひとつ。主人公が昔の仲間を山形は酒田の先のローカル線に乗って訪ねるシーンは、沢木のJAL機内誌での連載、フォトエッセイの確か初回を思い出させる。2年近く前のことだったか、羽越本線に乗って水田に映りこむ鳥海山を車中から撮った写真と文章。その風景のままの描写がこの作品にも出てくる。ひょっとしたら、機内誌のエッセイは本書のそのシーンの取材のために訪れた時のものだったのかもしれない。

     いろんなところ(特に上巻)で著者が顔を覗かせる小説でした。沢木耕太郎、小川軒のレーズンウィッチも好きなのかな~(笑)

  • 2017.5/6 能力のあるものが頂点を取れずに散った先の老い...枯れているのに、主人公広岡の渋さと礼節にしびれて読み進められる♡下巻へなだれ込みたいが図書館予約番号3。ちょっとおあずけ。

  • 沢木氏の小説は初めてだが、期待通りの内容で満足。本書はチャンピオン候補と期待されたものの不公平なジャッジに憤慨し日本を捨て米国へ渡った元ボクサーの物語。日本に戻ってきて昔の仲間と再会し、不遇な状況にショックを受け、なんとかしようと奔走する。新しい生活が始まろうとする時に、若く才能あるボクサーに出会い、再び情熱が蘇る、というところ。主人公は還暦を超えたジイさんで、それまでの人との関わりを振り返るが、その出来事が読み手にメッセージを伝える仕掛けになっていて考えさせられる。

  • 親から無理やり貸し出された本。
    新聞連載の時もしつこく読めって言われたけど、
    あんなちまちま毎日読めないわ...。
    貸されたのも単行本で、こんなん重くて通勤バッグに入れたくないわと
    思いながら、暫くの間積ん読してたけど、ようやく読みました。
    面白かったっす。
    ちょっと都合よすぎるけどね。

  • 沢木耕太郎といえば深夜特急を思い浮かべてしまう世代なので、著者の「小説」が未だしっくりきません。

    元ボクサーである主人公が渡米後30年ぶりに帰国し、当時のボクシング仲間を次々に探し当て、4人で共同生活を始めます。
    不幸なお爺達が集まって拳に賭けた青春を振り返る様が、退屈だし後ろ向きだしで少々不安に思いながら読み進めましたが、だんだんと未来を感じさせる展開になり、ほっとしました。
    ボクシングが主軸となるのか、それともお爺たちで新事業でも立ち上げるのか、はたまた不幸に追い打ちがかかるのか・・・はじめ読めなくって(笑)タイトル嫌な感じだしさ。

    淡々とした文体が読みやすいです。。

  • なんかわざとらしい。残念。下巻ばパス。

  • 面白いかも

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春に散る 上の作品紹介

【文学/日本文学小説】著者が半生をかけて追い続けるボクシング。そのすべてを込めた感動巨編! アメリカから40年ぶりに帰国した広岡は、かつて共にボクシングの世界チャンプを目指した仲間3人と再会する。共同生活を始めた4人が出会ったものとは──。

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