私をくいとめて

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著者 : 綿矢りさ
  • 朝日新聞出版 (2017年1月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514455

私をくいとめての感想・レビュー・書評

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  • 黒田みつ子。もうすぐ33歳。
    「おひとりさま」を満喫している。
    楽しんでいるというか、誰にも邪魔されない生活が楽ちん。
    一人で生きていくことに、何の抵抗もなさそうにみえますが、
    ただ時々、もう一人の自分「A」に脳内で相談している…。

    脳内にいるもう人の自分と会話してるっていったら、
    ヤバイ!多重人格…って思ってしまいそうですが、
    自分の投げかけた問いに冷静に答えてくれる自分の中の自分の様なイメージです。
    自問自答は誰しもがいつもやってる事だけどみつ子のAは他の人みたいだった。
    Aが男性だと判明した時にはスッゴク驚いた~(笑)
    みつ子とAの会話?がとっても楽しいし、
    うんうん、そうだよねって共感出来るから凄くサラサラと読めました。
    みつ子もそうだけど、登場人物達も身近に居そうな人ばかりで
    親しみも凄く感じました。
    そして、文体…文章もとっても好きです。読み易い!

    それなのに、読後暫くして何故かとっても孤独感が増してしまいました(*T^T)
    だから★3つにしちゃった

  • 小学生の頃初めてこの人の本を読んだけど、綿矢りさも私も大人になったんだ〜という感じ

  • 生涯「おひとりさま」を自覚しつつある地味なアラサー女性みつ子。
    脳内でいつも会話をし孤独をまぎらわせてくれるのは、もう一人の自分であるA。
    特に恋愛において、消極的なみつ子のお尻をいつもたたいて励ましてアドバイスをくれるかけがえのない存在だ。
    もう一人の存在と会話、なんていうと統合失調症?みたいに思われがちだけど、まぁ実際脳内なら誰しもそういう経験あるかもしれない。
    小説を通してみつ子の成長がひしひしと感じられます。
    良くも悪くもふつうだった。ふつうのハッピーエンド。
    綿矢りさはもうこういう路線でしか書かないのかなぁ。がつんと殴られて心をわしづかみにされて震わされる、かつての綿矢りさのそういう瑞々しい獰猛さが好きだった。

  • 自分の中にいるもう一人の自分が、時に離反し、時におもねってくる。同じ自分なのに違った世界を作っている。おひとりさまの総本山として他人の目も気にせず平然としていたのに少しずつ崩れてくる。いい悪いは別としていつの間にか本当の意味での一人を獲得し、他者を獲得していく。なんでもない純粋に楽しい日常生活がそこにはある。

  • 面白かった!最後は意外にもほとんど泣きながら読んだ。全編毒まみれなのに下手なロマコメよりよっぽど幸せな気分になれた。主人公の独身OLみつ子は33歳だけど、私の時代なら25歳前後がこんな感じだったんじゃないかな。迷走していた自分の20代とみつ子の今が奇跡のように重なって自分のことかと思うほど。イタリアじゃないけど、行ったよ南仏ひとり旅…。そして、行きの飛行機のBGMが大瀧詠一とか、その感覚めっちゃわかる。そして災害のときにはとりあえず一瞬で先に死にたいよね?それもわかる。
    ノゾミさん、カーター、多田くんなど、脇役も楽しいし、「A、おまえは●●だったのか!!」というあの展開は神がかっていた。
    そして素敵なラスト。綿矢さんはこんな気持ちでお嫁に行ったのかな。だとしたら、本当におめでとう。
    (注:主人公は最後に結婚するわけではありません、ネタバレじゃないよ)

  • 久しぶりの綿矢りさ。

    お一人様こじらせ女子(笑)あるある過ぎて涙。

    この作品のタイトルである私をくいとめてのシーンがとても良かった。


    みつこは可愛げがあってよかった。

  • "大人女子"のための成長物語、と言った感じだろうか。
    自分の中に別の人格を持つというのは児童向けの物語の定番だが、そんなことは知ってても何歳になったって困った時は助言がほしいし、落ち込んだ時には慰めてほしいし、人と関わるのは怖い。

    今回も何気ない一文に心を囚われることがあって、これからも地下鉄の駅でふと思い出すんだろうな、と思う。

  • 迷っているとき、いつも相談相手になってくれてありがとう。私は、私自身にさえすがりつかなければ困難を乗り越えられないほど弱い人間だけど、Aがいたおかげで何度も乗り越えられたよ。これからは自分とは別の人間と、向き合って、体当たりで、ぶつかり合って生きていくよ。

    ことばのちょっとした表現や、会社での立ち位置、ノゾミさんとの会話がステキ。

  • 脳内会話に食い付いている感想が多いね。
    たしかに帯には「私の脳内には、完璧な答えを教えてくれる『A』がいるんだから」と書いてる。
    でも脳内のもう1人の自分とのコミュニケーションてだけでは何かありきたりで同工異曲なパターンだっていう閉じた解釈に陥る危険があったので、もう少し自分なりに広げて考えてみた。

    みつ子とAの関係って、何でもネット検索で答えを得ようとするネット民のメタファーなんじゃないの?
    ネット民って膨大なデータを自分で抽出できるというほかに、特筆すべき特徴として「自分に都合のよい記事のみを選択する(自意識の支配下による・よらないに関係なく)」というものがあると思う。

    誰もが経験してるはずだけど、検索結果を上から全部開いて読む人なんていなくて、見出しとか、ちょろっとした短い文を読んだ程度で、自分の感性に引っかかったものだけを抽出している。
    つまりネット民にとって一番参考になるとして選び出した意見は「一般的に最良」ではなく「自分にとって最良」なもの。
    したがって、みつ子が脳内で落ち着いた感じで優しく話しかける「A」の声が聞こえるというのと、みつ子がネットで記事を拾ってまるで自分にピッタリだと感じ、思わず「いいね!」をクリックするのとは、基本的に同質なものでは?
    それはみつ子が恋愛関係を一歩進めた後でも、Aは依然ほどではないものの完全に消滅はせずに、たまにみつ子の脳内に出現して相変わらず落ち着いた声で話しかけてくることでも裏付けられる。ネット民も恋愛が進めばもう検索は不要、ではネットからサヨナラ、ってことにはならないでしょ?

    こう考えたら、ふだん自分の頭の中で別の声が聞こえる人なんかほんの一握りのはずだから、この小説のプロットに自分を重ねられない人が多く生じているんだろうけど、おひとりさまが一人の部屋でネットを検索しまくって自分の気に入ったネタにヒットして一人でニヤッとしているのとあまり変わらないのでは?という考えもでき、そう考えるとこの小説の汎用度は高まる。

    それと私が個人的にこの小説を気に入ったのは「人が1人も死なない」こと。
    最近の日本の小説は、何とかの一つ覚えのように、誰かが殺されたり死なないと小説世界が成立しないかのごとくに雑に書き散らかされているように感じる。
    まったく寒い話だけど、いかに「普通」を小説で描くのが難しいかということに帰着すると思う。
    私も新聞連載を毎週読んでいたときはこの点について不安だったけど、綿矢さんは「普通」の小説を「普通でない」技法を交ぜて描き切ってくれた。それが好印象だった。

    ただし、普通を描く小説である以上、“色彩感”が欠けるのはある意味致し方ない。
    それを連載時に十分以上に補っていたのが、わたせせいぞうさんのカラフルなイラストレーションだった。
    それなのに単行本では、わたせさんのカットは表紙のみ。この点は遺憾。せめて数枚でも間に入れられなかったのかと惜しまれる。
    綿矢さんと直接関係ない話だけど、トータルの評価として星1つ減じる。

  • いい言葉がたくさんあった。

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私をくいとめての作品紹介

【文学/日本文学小説】黒田みつ子、もうすぐ33歳。男性にも家庭にも縁遠く、一人で生きていくことに、なんの抵抗もないと思っている。ただ時々、迷ってしまうことも。そんな時は、もう一人の自分「A」に脳内で相談をするのだが……。著者初の新聞連載小説。

私をくいとめてのKindle版

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