星の子

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著者 : 今村夏子
  • 朝日新聞出版 (2017年6月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514745

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星の子の感想・レビュー・書評

  • 『あひる』からネガティブな感情をもらったので、この本の予約もとても迷いました。手にして読んでみるとあっさりしている。文中で出てくる、とあるものの「見えた」「見えない」の(一見すると無意味のような)繰り返しに一人でイライラして、一体何を言いたいのか訴えたいのか、わからなくてネタバレや他の方の感想を見て、初めて“なるほど……”っと思いました。

    今まで当たり前だと思っていたこと、学校とかから教え込まれた価値観がねじれるような感じ…がする。白黒つけにくい事柄、ふだん目をつむって見ないようにしている物事などをテーマに持ってくるので、とても感想を書きにくくて…淡々としているから読みやすいんだけど、とてもしんどいと思う。

    私は、つい雄三おじさんになって読んでしまったけど、宗教にのめり込んでいる両親にもなれるし、家出した姉にもなれる。南先生の反応は悲しかったけど、そういう自分も、きちんと私の中に存在している。見守ってくれる友人のなべちゃんになることも出来る。生きているこの世界で、色々なものに縛られているけど、心はもっと自由でありたいと思うし、のびのびしたい…と願う。

    あとからじわじわ…としみてくるというか、目に見えない細かい棘が刺さっているようで、気持ちが落ち着かない。この作家さんの本を読むといつもこうなるから困る。参っちゃう…。あと不思議なんだけど、自分が子供だった頃、昭和50年代にスッと戻る気がして、懐かしいような胸が苦しくなるような…そんな気分になる。ほんと不思議だと思う。

  • なるほど、なるほど…。

    今回の芥川賞候補作として発表されたこちら。

    何より装丁が素敵。
    色が良い。

    内容は新興宗教ものなのでだいぶデリケートなんだけど、
    切ない暖かさがつまっている。

    友達、みんなこんな風なら良いのにね。
    そうしたら色んなこと乗り越えられるね。

    愛するひとの信じることを自分は信じられるのか。

    お友達の、みんな騙されてるのかもしれないという話のくだりに哲学を感じた。


    ラストの余韻が凄い。
    きっとあの夜のあと、色んなことが変わるんだと思う。
    良い方向ばかりでは無いかもしれないけれど。

    あえて描かれない部分に深い奥行きを感じる作品だった。

  • 新興宗教にのめり込む両親に育てられた娘の日々を描いた、芥川賞候補作。

    熱心な信者である家庭で育った子どもの問題は、じつに難しい。
    物心ついたときから親の盲信する宗教が身近にあった主人公も、成長とともに周囲とは違う環境に身を置いていることに気づく。が、多少の混乱はあるものの、深く悩んだり拒絶したりすることもなく、現状を受け入れ続ける。救いは、まともな親戚と友人の存在だ。
    判断力のない子どもには、選択する余地がない。まして、そこに親の愛情が注がれているならなおさらだ。本人は両親の愛にくるまれていることが心地よく、外の世界には踏み出せないのだから。

    たとえ居心地のよい場所であっても、インチキ商法や強引な勧誘、リンチ事件などから、宗教団体の正体はうかがえる。ラストシーンも表面上は美しいけれど、そこには親が盲目的に信じるものに娘の一生を封じ込めようとする恐ろしさがある。
    でも、その異常性は終始温かみのある優しい文章のオブラートに包まれて、見えにくい。作者はマインドコントロールするかのように、読者をも煙に巻こうとしている。じつに巧妙だ。
    初めての作家だったが、他の作品も読んでみたくなった。

  • 初めての作家さん。
    主人公の女の子の体が弱かったことから新興宗教らしきものにはまっていく両親。異常な世界を、わりと冷めた目で眺めつつも、主人公自身、普通の人からみたら奇妙な行動をとってしまう。
    そのはざまで、もがいている感じが少し恐い感じがしました。ラストはどうとでも解釈できる終わり方で、これから主人公はどうなってしまうのか...考えさせられて終わります。
    不思議な世界観の本でしたが、自分では気がつかないだけで、傍から見ると自分もこの主人公と同じではと感じさせる本です。

  • 人が突いてほしくないところを突いてくるなぁ、今村さんは。『こちらあみ子』や『あひる』ほどではないけれど、相変わらずざわざわする。
    南先生とのエピソードが辛くて、それが凄く良かった。
    春ちゃんの彼氏が宣誓の時間に放った言葉は一見素敵だけれど、信じるもの=新興宗教だと思うとやっぱり怖い。
    ラストはどう解釈すればよいのかわからなくて、もやっとしてます…

  • 今村夏子さんだから一筋縄ではいかないぞ、と身構えて読んでもなお驚かされる。
    あからさまにうさんくさい新興宗教にハマった両親、耐えかねて家を出た姉、様々な反応の周囲。
    ヒリヒリする世界を、主人公はただ生きていく。
    宗教団体サイドを単に悪者ともせず、周囲を迫害するだけのやはり悪者ばかりともせず、そのバランスがかえって怖い。
    今後の作品も楽しみだ。

  • あひると違って明らかに異常な家族を描いてるけど、全ては良かれと思ってやってることで、理想的な家族という幻想を目指す全ての家庭に当てはまる恐ろしい物語だった。
    宗教というのはそこにつけ込むもので、つけ込んでる側もつけ込んでるつもりはなかったりするけど、ちゃんとそこに意識的な人物も登場する。
    本人達が幸せなんだったらいいじゃん、というのは占い、水素水、民間療法…などの話題でよく耳にする言葉だ。
    そういう人たちは家族に取り込まれるということの恐ろしさを皮肉たっぷりに良き事として描かれたあのエンディングをただ美しいだけの場面と捉えてしまうだろうか。

  • 次女の病気をきっかけに新興宗教にのめりこんでいく両親。
    ありがちなテーマだけど、宗教団体をひとつの小さな社会としてとらえ、その中と学校の中と二重の生活をおくる子供たちの奇妙な自然さと不自然さが淡々と描かれているのが薄気味悪くて今村夏子らしい。

  • 両親を不審者に間違われ、二匹、と数えられたり、と、また細部でざわざわさせられる。
    たまたま奇跡のように感じられたことで、信仰に繋がるというのは、恐ろしいけどリアル。

  • 『あひる』で芥川賞候補になった今村夏子の最新作。
    一見、ほのぼのとしていながら、背後に控える闇は深い。ちょっとホラー的というか、そういう傾向が強い作風だと思う(〝あひる〟の時も似たようなことを書いたような気がするが……)。

  • あれ?この結末は?
    これで終わりか。そんな印象。
    残念ながら子は親を選べない。
    ハッキリ言って怖いです。人間は簡単に洗脳されてしまうのですね。
    主人公のクラスの子達が案外、主人公に対して普通に接しているのが意外だった。
    最後に出てきたツダさんが、一波乱起こすのかと思いきや。何もなく。南先生は、まぁ不快だったけど毎時間似顔絵はなぁ。

  • 「えっ、ここ?」ってところで終わってしまった感が。なんかもっとドロドロした話を想像してた。

  • その人なりの、その世界で、自分なりにがんばってるんだよ。

  • 第137回芥川賞候補。新興宗教の熱心な信者を両親に持つ女の子の話。主人公は信仰を生活の一部として受け入れている様子が自然で、モデルがいるのかなーと思いました。素直な両親は、親切そうな落合さんに利用されているように感じました。人気者の南先生の性格も良くないし、様々な表と裏とか、本当と嘘とか、淡々とした物語の中に複数の面が描かれていて、読後なんとなく考え続けてしまいます。夜の散歩のエピソードは、両親との別れかなーと私は感じました。主人公は納得しないかもしれないけど。物語の先にいろいろな可能性があって、良い結末だと思いました。

  • う~む。これで終わっていいのか?奇跡の水を信じる両親のもとで育つ少女のただの半自叙伝的な内容。☆2つでもよかったか。

  • 病弱なちひろの湿疹を治した「金星のめぐみ」。ちひろが授業中に描くのは、南先生ではなく、ターミネーター2に出てくるエドワード・ファーロング。両親が変な宗教に入っていても、近所の人たちに噂されていても、ちひろにとってはそれが日常で、そこには親子の愛がしっかりある。最後の星空のシーンがすごくいい。

  • 終わり方が特徴的なんですよね、今村さん。
    読者に最後のところまでになると想像させる、、、あの感じ、、、


    芥川賞候補作品

  •  私はこの物語のラストは、親と主人公が一緒に過ごす最後の夜だったのだなと思いました。
     最終的に親は、主人公を兄弟の元に送る決意をして、こどもの親離れを、流れ星の見えた見えないで改めて認識する、切ないラストシーンだったと思います。
     こどもの為を思って生きてきたけど、いつのまにか親から独立していく普遍的な悲しさがテーマだと思いました。

     それにしてもこの作者は、1冊に1回は笑っていいのかあかんのかわからないけど、たまらなくおかしいシーンを入れてくれるから面白いです。今回は『匹』と『かっぱの皿』にニヤニヤしました。 

  • おもしろかったー。
    両親の変な真っ直ぐさといい。
    楽しそうに見えるんだけど
    なんだか不気味。
    この人の小説全部おもしろいけど
    なーんか不気味

  • 新興宗教にはまり込んだ家庭の子供って、こんな感じなんだ。
    この終わり方は、その後が気になってしまう終わり方だね。

  • 興味深く読めた。
    宗教にハマりきった両親。それを否定するでもなく普通に受け入れて過ごす15歳くらいまでを描く。
    宗教での行事、家庭での出来事など、どこか楽しみを見つけて素直に喜ぶ主人公。
    周囲の出来事を否定せずに、ありのままに描かれている。

  • きっかけは,自分の病気を治すための水だった.怪しい宗教にどんどん囚われていく両親,世間からはずれていくが,宗教の中に入ってみると,そこには案外居心地の良い世界がある.姉のまーちゃんは家族に見切りをつけて出ていくが,ちひろは両親に対しても宗教に対しても案外寛容だ.むしろ親和しているといっていい.だがこの宗教にも何やら黒い影が差してきて,こういう幸福の形があってもいいかもしれないと思わせながら,暗い予兆を感じさせて終わる.
    そしていかにもいじめられそうなちひろが,マイペースな中学生活を送っていて,そこが良かった.

  • 第157回芥川賞候補作
    今村さんの本は2冊目。前回も思ったけど、この人の本はちゃんと終わらない。登場人物たちの人生はこれからも続いていって、それは物語にしなくてもわかるというか、その後の人生を重要視しているわけではない。方向性が仄めかされているだけ。だと、なんとなく不完全燃焼で、ちゃんと終わりを作って欲しい。一つの終着点を。
    病弱なちーちゃん。心配した親は知り合いの落合さんの紹介で特別な水を使うようになり、そのおかげで病気が少しずつ良くなる。小さい頃からのくせで、日々のうんちの状態やそれ以外のことも逐一報告する林家。こんな気軽に話ができるおうちっていいな。でも、まーちゃんにはそれが合わなかった。最後のほうの両親。少しずつ我に返ったのだろうか。でもそのきっかけは?少し言葉が足りないようにも思う。
    ”変な”宗教に属しているわりに、ちーちゃんの周りの子供たち優しいな。とそこが羨ましかった。

  • この人の作品好き。
    ぐいぐい引きこまれます。この感じなんかわかる~!って痺れます。

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